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【2024年4月】道理を考えればへらぶな釣りはラクになる。杉本智也のチョーチンセット釣りシンプル思考に学べ

松村計吾

朝夕、グッと冷え込んできて、海も川も池も水温が下がり、魚たちには快適な季節を迎えている。

今年は夏の猛暑期間が長かった分、秋が短く冬の訪れがすぐに迫ってくると言われているが、そんな短いであろう秋、そして冬へと季節の進行に伴って変わっていく魚たちとの駆け引きを楽しみたいものである。

特に内水面である湖沼では、海に比べると外気温の影響を受けやすく、冷え込みが続けば水温が急激に下がることも多々ある。

管理池のへらぶな釣りにおいてもその流れは顕著で、水温の変動にともなって釣り方がずいぶんと変わるのはご存じの通り。

さて、テレビ大阪系列で毎週土曜日朝6時50分から放送されている釣り番組「フィッシングDAYS」では、へらぶな釣りの名手にして、各種メジャー大会制覇の経験も多く持つ実力派アングラー・杉本智也さんが、得意のチョーチン釣りを披露。

中でも、夏場の両ダンゴ中心の釣りが盛んな10月初旬ながら、これから秋~冬のメイン釣法となるセット釣りを紹介していただいた。

杉本さんの信条は「へらぶな釣りをシンプルに分かりやすくしたい」である。

今回のチョーチンセット釣りの中でも、いかにシンプル思考で分かりやすく考えれば、ヘラブナ釣りがずいぶんとラクになる…という内容を中心に解説していただいたので、紹介してみたい。

杉本智也さんが考えるチョーチンセット釣りのメリットとは?

へらぶなのチョーチン釣りは、仕掛けの中で穂先の直下付近にウキを付ける釣り方で、必然的にウキ下は竿の長さで決まるというもの。

穂先の下にウキがぶら下がっているのが、チョーチン(提灯)に見えることからその名が付けられたと言われている。

さて今回、ロケの舞台は埼玉県羽生市にある椎の木湖。

ここは関東でも最大級の収容人数を誇る釣り場で、水深は池の岸寄りは3m前後、中心付近で5.5mほどと表示されている。

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広大な管理釣り場で競技会も多く開催される椎の木湖

当日はもっとも深い5.5mの場所での釣りを展開。

そこで使うのが「がまへら 天輝」の10尺。

全長が3mの竿なので、ウキ下は必然的に3mに満たないタナとなる。

ということは、水深5.5mの中層を狙う選択。

杉本さんにうかがうと「中層では、しっかりとへらぶなを集めることができれば、活性の高い大型のへらぶなが集まる。引きも強くて楽しめて、大型も連発するのがメリットです」と答えが返ってきた。

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椎の木湖はへらぶなの大きさでも定評がある。中層を狙ったチョーチンではさらなる大物も

この日のスタート時の仕掛けは、道糸が1号、ハリスは0.6号で、鈎はバラケ用がギガリフト9号(ハリス約10cm)、くわせ用がA1角マルチ5号(ハリス45cm)、ウキはボディー9cmのPCトップを使用。

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当日は「がまへら 天輝」10尺を使用した

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杉本さん曰く「私の基本はこれで始めます。その人によって違いはあると思いますが、問題ありません。要は釣りながら調整をしていって、それが合えば釣果も伸びる…という楽しみもありますからね」。

ちなみにスタート時のバラケ用エサとしては、粒戦(100cc)にとろスイミー(50cc)、セットガン(100cc)を混ぜたら、水200ccを加えて軽く混ぜ、しっかりとなじませる。

「冬場なら7分ほど置きますが、気温が高ければ5分もしないうちになじみます」とのこと。

その通り、数分もするとバラバラだったエサがまとまり、ボウルの底に引っつくようにして斜めにしてもまったく崩れないエサができた。

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当日の使用バラケエサ

しっかりと水分がなじんだら、そこへセットアップ(150cc)とセット専用バラケ(150cc)を合わせて、ムラがないように混ぜれば完了。

これを2つのボウルに入れ分けて置いておくことで、途中での調整が必要になった際にも、2つめのボウルのエサを利用することで、同じ元エサを使うことができる。

くわせエサは、力玉ハード(L)。

基本はバラケエサとへらぶなの位置関係。理想的な釣れ方とは?

チョーチンでのセット釣りの基本的な考え方は、バラケエサにへらぶなが集まり、バラけるエサを拾う中で、その下層にあるくわせエサを食って鈎に掛かる。

活性が高く、バラケエサに突っ込んでくるようなへらぶなの場合には、バラケ用の上鈎にもヒットするが、基本はくわせエサを食いやすいよう調整してやること。

「イメージとしては、バラケエサに対してのへらぶなの位置を考えることが重要です。そのイメージが合うだけでも簡単にへらぶなが釣れるんですよ」

イメージとは、バラケエサとへらぶなの距離感であるという。

つまり、バラケエサに近寄ってくるような食い方をするのか、遠巻きに見ていてバラけて沈んでいくエサを拾っているのか…でも距離は変わってくる。

もちろん、へらぶなにはくわせエサを食ってもらうのが基本なので、へらぶながどこに居るのかを把握することがヒットへの近道なのである。

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調整がばっちりと合えば心地よい快感がやってくる

バラケエサとくわせエサの位置関係がばっちり合っていると「ウキがエサの重みを背負ってトップいっぱいまで沈みます。そこからエサがバラけるにしたがってゆっくりと浮き上がってきますが、この途中でしっかりと重々しく目盛りを2節くらい沈めるアタリが出てヒットします。これが理想です」とのこと。

調整方法はハリスの長さと鈎の重さ。ウキへの反応で簡単見分け

理想的なアタリの出方で釣れる時は問題ないが、調整が必要な場面とはどんな時だろう。

「ツンとウキが入るのに掛からないカラツンが多発する時やスレ掛かりが多くなった時。ウキがなじんで浮き上がる暇がないほど早くアタったり、逆に反応が鈍く、アタリがない時などですね。それぞれの状況で考えられることをやっていきます」と杉本さん。

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思いついたら即行動が釣果を伸ばす近道

何もしないよりも、違和感を感じて思いついたらやってみる…のがよいそうで、「それが失敗に終わってもその方法を消去していけるので正解に向けて答えを狭めることができるんです」と。

そこで典型的な調整の必要な状況を挙げてみてもらった。

まずは「カラツン」や掛かっても「スレ」が多い時。

この場合は、バラケエサに寄ってきているへらぶなが、くわせエサ近くよりも上層に来ていることが多い層だ。

ハリスに泳ぐへらぶなの魚体が当たってカラツンになったり、アワセによってスレ掛かりとなっている場合がある。

そんな際にはバラケとくわせエサの距離を詰める意味で、くわせエサのハリスを短くする。

当日でいうと45cmから35㎝に短くすることで、しっかりとアタリが出るようになった。

アタリが遠い場面では、警戒心が高いなどの理由で、バラケエサと距離を開けてへらぶながエサを拾っていることがイメージできる。

そんな際にはくわせエサのハリスを長めに取る。

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エサの重みを受けて沈んだ状態

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バラケエサが解け堕ちてなくなり、ウキが浮いてきた状態

競技会などで周りに人が並ぶと人為的なプレッシャーにより警戒心が高くなる傾向にあり、そんな際に低反応な状況に出くわすことも多い。

難しいのは、ウキがなじむ前やなじんでバラケが解ける前に激しいアタリが出る場面だ。

「活性が高く、浮き気味のへらぶなで、夏場に多くて、本当はそんな状況下では両ダンゴの釣りが有効なんですが…」と杉本さん。

対処としては、さらにくわせのハリスを短くして寄ってきているへらぶなにダイレクトに食わせるのか、逆に激しく寄ってきているヘラブナを無視して、遠巻きで落ち着いてエサを食べているであろうより大型のへらぶなを狙う。

いずれにしても、バラケエサのハリスは長さを変えることは不要で、食わせる位置を探るという点では、グレなどのフカセ釣りに似ているといえる。

アタリが弱い=吸い込みが弱いと判断すれば鈎の重量を変えることも

バラケエサとへらぶなの位置関係をイメージするだけでも十分に釣りが成立するのだが、もうワンランク数を伸ばすための方法がある。

それが鈎である。

「カラツンもいろいろあって、先に紹介したハリスに触れる状態もあれば、エサを食ってはいるんですが、吸い込みが弱く鈎掛かりに至らない場合もあります」と杉本さん。

「吸い込みが弱いと判断した場合には、鈎の重量を変える意味で、太軸タイプなら中軸へ、中軸を使っていたら細軸タイプの鈎へと変えるだけで顕著に食い方が変わりますよ」とのこと。

具体的にはロケ当日はくわせ用の鈎に角マルチ5号を使っていたが、途中で反応が弱くなり、カラツンが増えたものの、ハリスを短くしても状況が変わらない。

そこで変更したのが鈎。

セット釣りの上下ともに使用できるマルチタイプ、いわば中軸の鈎である角マルチから、細軸でありながら強度にも優れるタイプの「クワセマスター」の5号へと変更。

同じ5号でタイプを変えるだけで、この日も連発モードへと持ち込むことができた。

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吸い込みが弱いと判断し、細軸鈎にした途端、しっかりとアタリが出てアワセが決まった

ところがそれでもカラツンが増えてくる時間帯があり、前述の作戦の中から、遠巻きに落ち着いてエサを拾うへらぶな狙いへと切り替えてみた。

この時には、ハリスは50㎝、鈎を角マルチに戻し、さらに5号から6号へと大きくすることで、バラケよりも離れた位置でくわせエサを安定させて、ペースを維持した。

杉本さんの釣りの教えをまとめると

・スタート時は個人の好みでよく、状況に合わせた調整をすればOK
・バラケエサとへらぶなの距離感をイメージしよう
・思いついたら、行動することで正解への近道となる
・考えるのはハリスの長さと鈎の自重

といった具合で、あとは見切りを早く、刻々と変わるへらぶなの活性や状況に合わせていけるか…が、釣果を伸ばすコツとなる。

●交通=東北自動車道の羽生ICで下りて、すぐを左折。

高速の高架をくぐって1つめの信号を左折して500mほど進むと右手に釣り場が見えてくる。

問い合わせ=つり処 椎の木湖(TEL:048・565・4133)

※当日の様子は、youtubeフィッシングDAYS「椎の木湖 巨大へらぶな完全制覇」https://youtu.be/wKQtq7nepfoで視聴できる。

(文・写真/松村計吾)

椎の木湖 巨大へらぶな完全制覇

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ライター紹介

松村計吾

松村計吾

大学で水産無脊椎動物の研究を経て、釣り出版社に入社後、30年以上釣り雑誌や釣り情報紙の編集を手掛ける。取材などで釣りの現場に出ることはもちろん、休日などのプライベートでも常に釣りシーンにハマっている。得意な釣りは船のテンヤタチウオ、カワハギ、エギング、イカメタルなどだが、日本全国を飛び回りあらゆる釣りを経験。ちなみの甲子園の年間シートも所持。甲子園でのビール消費量も球界一とか・・・。

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