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磯マダイ狙い3つの鉄則!新潟・粟島で見た異色のフカセ釣り攻略術

松村計吾

【テレビ大阪系列・毎週土曜日午前7時放送「フィッシングDAYS」サイドストーリー第29話】番組内で話題になったワザ、アイテムについて”深堀”するもう1つの「フィッシングDAYS」。

「フィッシングDAYS」はテレビ大阪を中心に、テレビせとうち、TVQ九州放送、テレビ和歌山、高知放送で放送されている、がまかつ提供・テレビ大阪制作の釣り番組。

ハゼなどの極々小さい魚から、ルアーを使った大型魚釣りまでを、どうやったらより釣れるのかにこだわって制作。

また、釣れたときの釣り人の笑顔にもフォーカスし、釣りの楽しさも徹底的に追求している。

片山欣也VS怪物マダイ 粟島モンスター格闘の2日間

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岩船港と粟島を結ぶ粟島汽船のフェリー

古くから知られるマダイの島は、村上市岩船港からフェリーで1時間半の航程

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粟島北西面の海岸線。ずっと岩場が続く

夢のマダイ王国に自己記録を追い求める。片山欣也氏に密着

「とにかく最近では、チヌやグレがエサ取りのように出てくる時期もあるんですが、基本的にはマダイだらけの島なんですよ」と話すのは、磯のフカセ釣りマダイを追い求める、がまかつフィールドテスターの片山欣也さん。

その場所とは…新潟県と山形県の県境にほど近い、村上市岩船港からフェリーで1時間半。

村上市の北西約35kmに位置し、岩船郡粟島浦村を形成する粟島だ。

島の周囲は約23kmで、全体的に岩礁域で囲まれている。

島の北西面一帯が磯釣り場だ。

片山さん曰く「マダイは例年5月の乗っ込み期から始まり、シーズン初期には超大型が接岸してきます。シーズンの進行とともに型狙いから数釣りへと移行していくのがパターンですね」。

過去には体長1mもあるような超大型マダイが確認されているとのことで、片山さんは5月のシーズン初めには、集中してこの粟島へと足しげく通っている。

ただ、粟島での自己記録は72㎝にとどまっているとのこと…。

また、近年はマダイの乗っ込み後期に当たる6月以降は、チヌやグレなどが同じエリアで狙え、グレは40㎝級も上がるなど、マダイのみならず、フカセ釣り師全般にも注目度が上がっている。

そんな片山さんが今季初釣行として選んだのが5月15、16日の2日間。

大型マダイの接岸第一波を狙うのが目標だ。

フェリーの時間の関係で、初日は午後から、2日目は丸1日の釣りの予定。

ちなみに、当日はフェリー乗り場から島の裏側に当たる釜谷地区からの出船で、渡船店の船長がフェリー乗り場と出船港の間を車で送迎してくれる。

また、同じ地区に民宿もあり、釣りをしている間は車移動は不要。

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初日の磯は仏崎

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初日の2尾目は粟島では小型の40cm弱

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片山さんが信頼し愛してやまない「がま磯フカセ真鯛スペシャル」

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メインで使用する「スパイクチヌ」5号

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しっかりと仕掛けを入れ込みたい時には、自重のある「真鯛王」も使用する

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結節力がすごいと愛用している「音速PEジョインター ラージアイ」

粟島の磯マダイ釣り3つの鉄則!エサ取りと本命は分離しない?

14日、昼からの渡船で渡ったのは港から北へ向かった仏崎の磯。

渡ってみて驚かされたのは、周囲が比較的浅く、偏光グラスを通してみると、あちこちにシモリが見えるほど。

マダイ釣り場はやはり足元から深く、深場を回遊するマダイをマキエで寄せるイメージなのに…。

しかし「基本的には竿1.5本くらいのウキ下で釣りますね。ポイントとしては見えるシモリの溝とか、落ち込みの肩とかになりますね」と片山さん。

まるでグレやチヌを狙うポイントのようだ。

タックルは、竿ががまかつ「がま磯 フカセ真鯛スペシャル MH(5.3m)」に道糸3号、ハリス4号、ウキは5B負荷の環付きタイプのセッティング。

鈎は「スパイクチヌ」の5号と「真鯛王」の8、9号。

フカセで自然にオキアミを流し込みたい時には、軽量なチヌ鈎である「スパイクチヌ」を多用する。

逆に潮が速いなど仕掛けをしっかりと入れ込みたい時には、自重のあるマダイ鈎である「真鯛王」を使用する。

パワー勝負となるマダイ釣りにおいて片山さんが愛用するのが「音速PEジョインター ラージアイ」のMサイズだ。

「ライン同士を結ぶよりもPEジョインターを使ったほうが強度が保てるんですよ」と話す。

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そして、この粟島へ通うようになって、グレやチヌ釣りとは違うマダイ釣り独特の理論があることも分かってきた…と話してくれた。

粟島での大型マダイ釣りにおける鉄則として挙げてくれたのが以下の3つだ。

1.エサ取りとマダイは紙一重

グレ釣りならエサ取りと本命を分離してグレにサシエを届けるのが基本だが、マダイに関してはエサ取りの群れの少し上であったり、逆に下でエサを拾うこともある。

また、水平方向で見るとエサ取りの群れの潮上や潮下でも食ってくるが、アタッてくる目安となるのがエサ取りの群れである。

大きくエサ取りからサシエを離すのではなく、3Dでエサ取りの群れの上下左右、前後と微妙にポイントをズラすのがコツなのだという。

2.誘いのアクションは大きく

タイラバなどで動くエサ(疑似餌)にもマダイってよく食ってくるじゃないですか。それを考えて潮にじっくりと流し込むだけではなく、時々、大きくサシエを持ち上げてやることでバイトにつながることが多いんです」と片山さん。

目安としては、50㎝から1mほど。

3.やり取りは竿をできるだけ寝かせる

大型マダイ狙いにおいてはここがもっとも重要であり、取り込めるかバラしてしまうかの明暗を分ける。

まず重要なのはアタリがあった際に、アワセは速く、大きく、強く…である。

魚に主導権を与えないのが目的だ。

そして、掛かればとにかく竿を寝かせる。

時には寝転がって竿を寝かせることもあるくらいだ。

理由としては、シモリが点在するエリアでのやり取りとなるため、竿を立てるとマダイが下へと潜る。

それを防止するため、竿を寝かせて溜めることで、マダイを早く浮かせる。

もちろん、大型のマダイになれば、ヒットするとその馬力で突っ走ることもあるが、主導権を与えず、浮かせることが取り込みへの近道となる。

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重量感抜群の82㎝登場に「もう重すぎて腕が~」

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初日の3投目に早くもヒット。竿を寝かせて溜める

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強烈な引きを自らが寝転がって竿を寝かせ溜める

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何とか浮かせた。もう少しだ

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早々に自己記録を更新して笑顔満面の片山さん

なんと初日の3投目で強烈ヒット!正体は実寸82㎝の大型マダイ

さて、仏崎での釣り座では、左右にシモリが張り出していて、潮はゆっくりと右沖へ。

投入地点は竿2本分ほど沖。

ウキ下は5ヒロでスタートした。

1投目からエサが取られたが、エサが全部取られていたため「おそらくはエサ取りの層にドンピシャ合ってしまったようですね。次は少し浮かせます」と1ヒロほど浅くして2投目。

今度はエサが残ってきた。

そこで、そのまま3投目。

仕掛けを投入し、マキエをかぶせて少し流していると、いきなりウキが水面下へ勢いよく入った。

瞬時に大きくアワせると「フカセ真鯛スペシャル」が強烈に曲がり込んで弧を描く。

ただ、ほとんどラインは出さずに竿を寝かせて耐える。

すると、ギラギラと大型魚が水面下で抵抗するのが見えた。

突っ走るというよりは、頭を振って「イヤイヤ」をするような暴れ方だ。

おそらくは本来、最初に突っ走るところを止めきったので、その場での大暴れとなったのだろう。

水面まで浮かせればこちらのもの、竿を立て取り込み態勢へ。

見事タモにおさまったのは、見るからに大型マダイ

測ってみると82cm!

初日の3投目にして、片山さんの自己記録を更新となった。

その1時間後。

今度は潮がゆっくりと左へと向かい出した。

ウキ下5ヒロで流し込んでいた片山さんのウキが、再び勢いよく海中へ。

ところが、反応が一瞬遅れた。

竿を寝かせて溜めるものの、一瞬の遅れがマダイに主導権を与えることになった。

強烈にシモリ際を突っ走るマダイを止めることができず、シモリにラインが擦れて痛恨のラインブレイク。

「1尾目と同じくらいありましたねえ。悔しいですねえ。でも、こんなことがよくあるのがこの粟島なんですよ。それで、次こそは…とハマる(笑)」と片山さん。

その後40㎝級のマダイを余裕で取り込み、初日は終了となったが、初日にして目標でもあった自己記録更新となる82㎝が飛び出し、粟島のポテンシャルの高さを実感した。

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釣行ラストの1尾は72cmの大型マダイ

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予想外にも足元に突っ込んできた

2日目は早々に60㎝クラス筆頭に3尾ゲット!納竿間際に出たぞ70cm超

2日目の磯は仏崎よりもさらに北に位置する長岩。

ここも足元から左右にシモリが出ていて、その間は深い溝になっている。

ポイントとしては溝の沖で、15mほど先。

ウキ下5ヒロでスタート。

と、すぐさま反応が出た。

が、シモリ際に張りつくように抵抗する魚に、あえなくラインブレイク。

気を取り直して釣りを始めた直後に再びアタリが出た。

今度は耐えに耐えて、マダイが少し沖に出てくれた。

そのまま強烈な引きを「フカセ真鯛スペシャル」を曲げ込んでしのぎ、徐々に浮かせる。

水面に姿を見せたのは目測でも70㎝は下らない大型だ。

水面でバシャバシャと暴れるマダイを見て「よし、取った」と思った瞬間、なんと竿が跳ね上がった。

ハリスに傷が入っていたのだろうか、最後の最後で再びのバラシ

これには片山さんも唖然。

本来なら大型魚をバラすと、しばらくはポイントが荒れて反応がなくなるのだが、そこが粟島の不思議な点だ。

30分もしないうちに、再び同じポイントでウキがシューッと海中へ。

アワセもドンピシャで決まると、今度は左のシモリから少しでも離すように、自らが右側へと寝転んで、竿を思い切り寝かせて溜める。

竿を大いに曲げ込んで耐えていると、ラインの角度が少しシモリから離れたように見えた。

と同時に、ピンク色の魚体が溝の中の中層でギラリと光った。

シモリ際の攻防を制し、障害物のない溝の中央付近でやり取りができるようになり、少しずつ竿を立てて寄せ、浮かせる。

取り込んだのは50㎝を少し超すサイズ。

それでも良型マダイ

やはり、チヌかグレでも狙うようなポイントで釣れてくるのは大型マダイ

さすがにマダイの島だ。

そして、再びのヒットはその直後。

まったく同じようなポイントでウキが入った。

これも竿を寝かせて、溜めて、溜めて…。

なんとか姿が見えたところで竿を立てて、一気に勝負に出てタモ入れ。

これもデカい。

60㎝クラスの婚姻色もはっきりと出たマダイだった。

その後は潮止まりで反応がない時間帯が続いたが、15時頃にようやく潮が変わって流れ始めた。

朝の釣り座では潮が押してくるため、今度は反対側の釣り座へ移動する。

ここは前に磯があり、その水道筋を流す。

しばらくはエサ取りも多く、マダイからの反応がなかったが、急にエサが残りだし、直後にヒット。

ところが竿を寝かせる間もなく、掛かった魚が足元のシモリ際へと突っ込んできた。

竿を寝かせて浮かせることができない状況下、竿を前に突き出して強引に耐える。

「ちょっとラインが擦れているのが分かります。こわいですねえ」と片山さんも、最後は「フカセ真鯛スペシャル」の柔軟な粘りで仕掛けが持ってくれることを祈るように溜めきる。

ゆっくりと浮かせにかかり、足元で抵抗する。

かなり大型のマダイだ。

なんとか、浮かせるのに成功して、水面で空気を吸わせタモ入れ。

実寸で72㎝のこれも大型マダイだ。

「朝からの激闘で、もう腕がいうことをきかないですわ。納竿としますか」と片山さんのひと言で2日間の釣りを終了とした。

今回は初日に自己記録となる82cmをキャッチ、2日目にもラストに72㎝を取り込むなど、まさに「マダイの島」を満喫した釣行となった。

●交通:新潟市方面から日本海東北自動車道の神林岩船ICで下り、すぐを左折。
松喜和信号を右折して、上ノ山信号を左折し道なりに進むと岩船港に出る。
岩船港からフェリーで粟島港へ。
フェリー乗り場から各渡船へ送迎あり(要連絡)。

●問い合わせ:亀屋(TEL:0254・55・2515)

(文・写真/松村計吾)

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ライター紹介

松村計吾

松村計吾

大学で水産無脊椎動物の研究を経て、釣り出版社に入社後、30年以上釣り雑誌や釣り情報紙の編集を手掛ける。取材などで釣りの現場に出ることはもちろん、休日などのプライベートでも常に釣りシーンにハマっている。得意な釣りは船のテンヤタチウオ、カワハギ、エギング、イカメタルなどだが、日本全国を飛び回りあらゆる釣りを経験。ちなみの甲子園の年間シートも所持。甲子園でのビール消費量も球界一とか・・・。