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大鮎釣りは難しくない!エキスパートが明かす大鮎に近づく方法。意外なポイントで尺も出る!?
鮎釣りもほぼ終盤を迎え、すでに釣期が終了している河川も増えてくる10月。
いわゆる海産遡上河川など、遅くまで楽しめる釣り場を除けば、気持ちはすでに来季へ…という鮎釣り師も多いのではないだろうか。
今回は終盤戦でまだまだ大型が狙える河川への釣行を考えている人や、すでに来季へ思いを馳せているアングラーに、大鮎釣りのエキスパートで知られるがまかつテクニカルインストラクターの田嶋剛さんが、大鮎釣法についてレクチャーしてくれたので紹介していこう。
特に今回は「大鮎というと、激流で釣り人が流されながらやり取りをするというダイナミックな釣りと思われがちなんですが、意外に、えっこんな川で?と思うような場所で、それもただの平瀬のような場所で飛び出すことも多いんですよ。だから、決してマニアックな敷居の高い釣りではないんですよ」と言う田嶋さんが「誰にでもこなせる大鮎釣り」をテーマに紹介してくれた。
そんな状況を、今回目前で見せていただいた場所が栃木県宇都宮市を流れる鬼怒川。
テレビ大阪系列で毎週土曜日の朝6時50分から放送されている釣り番組「フィッシングDAYS」での収録では、手も足も出ないような激流ではなく、周囲でもたくさんの人が友釣りを楽しむような場所で、25~27㎝の大鮎を連発した模様を放送。
その中から、様々な大鮎へのアプローチ法を公開していただいたので紹介していきたい。
目次
大鮎釣りは決して難しくない
大鮎の定義は人それぞれ。時には25㎝でも大鮎の仲間入り!?
「大鮎とひと口に言っても、それは人それぞれですよね。たとえば、普段20cm級までの鮎をよく釣っている釣り人なら、25㎝が釣れるとそれは大鮎と言えるんですよ」と田嶋さん。
今回は大鮎狙いというテーマはあるものの「何が何でも絶対に30cm超の尺鮎を狙おう…というのではなく、普段釣っている鮎より、少しでも大きな鮎を狙ってみましょう」というのがメインテーマだ。
あなたの大鮎は何センチ?
すさまじい激流ではなくとも尺を含むような大鮎が狙える…と言う田嶋さんだが、狙いの鮎が大型…ということは、現地で釣れた野鮎をオトリにするため、必然的にオトリも大型になる。
たとえば、25cm級のオトリに25cmの野鮎が掛かれば、その重量感や流れの中での寄せは半端ではない。
オトリも掛かった鮎も良型なので重量がすごい
そんな流れの中で、きっちりとオトリを沈めて止めるにはオモリの使用を基本としている。
ただ、流れやオトリの状況によってはオモリを外すこともあるが、基本的に0.5~3号のオモリを用意して、オトリの上15~30㎝に打っている。
オトリも大きく、オモリも使うことが多いとなると、ワンランクでもパワーのある竿は用意しておきたい。
ちなみに、田嶋さんの愛用する竿は「がま鮎 競技 GTI Ⅱ」シリーズの中でもっともパワータイプの引抜急瀬9.0m。
コストパフォーマンスにも優れる「がま鮎 競技 GTI Ⅱ」
この竿は本来競技用として開発されたもので、競技の中でも深いトロ場や押しの強い瀬での使用をメインに想定されているが「競技 GTI Ⅱ」シリーズそのものが、汎用性に幅を持たせた竿のため、良型から大型までに対応できるうえ、感度も追求しているため荒い流れの中でもオトリの操作をイメージしやすい。
「掛け鈎、ハリスは大鮎釣り師の工夫のしどころですが、基本的に市販でハリス付きの掛け鈎で使いやすいものが出ているので利用するとよいでしょう。最近の仕掛けはよくできていて、30cm級の鮎が掛かってもまったく問題なく対処できますよ」と田嶋さん。
ちなみに田嶋さんが愛用している掛け鈎は、がまかつの「T-1大鮎 要R」や「T-1セツナ」などだ。
「大鮎 要R」は8.5、9、10号でそれぞれハリスには2、2.5、3号が付いている。
「セツナ」は3本錨でもっとも大きなサイズの8号(ハリス1.5号)だ。
大鮎要R
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セツナ
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天井糸、水中糸からハナカンなどまでセットになったパーフェクト仕掛けも大鮎用が発売されているので、利用すれば特に難しい仕掛けを作ったり用意する必要はない。
まずは大型が潜む河川を調べよう。伝統的に大きく育つ河川も多いぞ
大型の鮎を釣るなら、やはり大型鮎が潜む川に出掛けるのは必然だ。
たとえば、今回のロケ地となった栃木県鬼怒川は、今季の解禁当初から20㎝級が掛かり、8月には25㎝超がかなり釣れていたという状況。
8月末には平均サイズが25㎝に達し、尺鮎も登場している。
そんな状況の陰には、漁協など河川環境をとりまく様々な人たちの努力がある。
鬼怒川では奈良県のダム湖産鮎を主体に、冷水病に強い鮎を独自に掛け合わせた種苗を放流したり、遡上する海産鮎の汲み上げなど、様々な手段で多角的に強い鮎を育てている。
今季の鬼怒川は、良型鮎の魚影も濃く楽しめていた
冷水病は出たものの、歩留まり率が90%を超える強い鮎を作り出したことも往年の鬼怒川復活劇への要因となった。
鬼怒川に限らず、古くから大鮎で知られる河川も多いので、「何が何でも尺鮎」と言う人や、「一度でいいから25㎝クラスを釣ってみたい」といった釣り人それぞれの目標サイズに合った河川があるはず。
田嶋さんは「27、28㎝が出る河川なら尺鮎が出る可能性は十分にありますよ」と話す。
流れの強さに関係なく流心から攻める。オトリが変われば徐々に強い流れの中へ
大きな鮎、強い鮎ほど流れがしっかりした石に付くことが多いのは、鮎釣りをする人なら知っているだろう。
ただ、これも友釣りの宿命なのだが、最初に使う養殖オトリはあまり強い流れの中では泳げないので、まずはオトリを野鮎に交換して、徐々によい流れの中へオトリを入れていく順番、そして循環の釣りである。
鬼怒川でのパターンを見てみると、田嶋さんが養殖オトリでまず攻めたのは、瀬の開き部分。
流心の岩盤や石を攻めるのには違いないが、瀬の下流側で少し流れ自体は緩い部分だ。
ロケ当日、最初に攻めたポイント
瀬の脇や少し浅い部分ではなく、その筋の延長上にあるやや流れが緩くなった部分。
ここでオトリを交換し、さらに確かめるように数尾を続けて掛けていた。
オトリの交換に成功すると、そのまま流心の上流へとオトリを引き上げて探る範囲を徐々に流れの強い部分へと持っていく。
これが少しでも大きい鮎を取り込んでいく釣りの組み立てだ。
最終的には上流部にある荒い瀬の中までを探ることで、釣りたいポイントをすべて探ってみることができる。
この順番を間違えると、オトリが強い流れに入らずオトリを弱らせてしまうことになってしまう。
よいオトリが手に入れば、激流エリアも攻略可能だ
大きく育った野鮎は百戦錬磨の相手!丹念に「自分の釣りを疑う」
「大型鮎は釣られずに残って、大きくなった鮎です。百戦錬磨の鮎なので、ポイントにオトリが入ったからといって飛びついてくることはほとんどありません。対策としては丹念に繊細に…といったところです」と田嶋さん。
大鮎だからといってダイナミックな釣りをイメージする人もいると思うが、それは掛けてからの強烈な引きに対するイメージで、掛けるまでは警戒心を与えないような自然なオトリ操作、そしてポイント選定などが必要なのだと言う。
たとえば、岩盤の突起や石の頂点などはよいコケが付きやすく大型の鮎が付く。
ただ、そんな場所はオトリが落ち着かず静かに止めることが難しい。
そのためにはオモリを駆使して、オトリが落ち着き自然に引き上げて止めるような操作が必要だ。
竿の感度を駆使して丹念に繊細にオトリを引き上げる
そのためには少々手間と思っても、オトリの動きが落ち着かないからオモリを1号から1.5号に変えてみるとか、オモリの位置をオトリから少し離したり縮めたりするだけでも大きな変化が生まれ、そこから新しい発見が生まれてくる…と言うのだ。
例を挙げてみたが「自分では丹念に攻めていてもアタリがない時、まずは自分のやっていることを疑ってみましょう」と田嶋さんは話す。
田嶋さん曰く「釣りをしていて違和感を感じても、ま、いいか…は絶対にNGです。たとえば、自分が今立ちこんでいる場所は正しいのか。もしかするとあと1歩前に出る、または下がることで大鮎の追うポイントにオトリが入ることはないのか…といった感じです。自分の釣りが正しいとは思わないことが重要です。釣り方と同じで、ポイントチョイスについても、終盤には竿抜けでなんの変哲もない平たい瀬などでも、十分大鮎が出ます」。
ロケでも実際に、瀬の上流で鏡になっているような穏やかな流れの中で、川の中へ立ち込んで向こう岸を向くようにオトリを泳がせ27㎝をキャッチ。
川の真ん中から向こう岸を攻める
こんな何の変哲もない意外な場所で出るんです
理由を聞くと「一見したところ、向こう岸から竿が出しやすい流れなんですよ。ただ、そうなるとみんなが攻めている状況ですよね。なので、真ん中まで立ち込んで、オトリを向こう岸に押しつけるように引く。向こう岸からだと、川の真ん中へとオトリが出る状況が生まれやすいのでその逆を考えたわけです」とのこと。
大鮎はオトリを入れ辛い激流だけではないことを目の当たりにさせていただいた。
そのような状況は比較的多いそうで、少しでも気になったらやりたいことをやってみる。
ただ、その際には、人とは違った面から攻めてみる。
そして、丁寧にオトリを操作することは忘れずに。
掛かれば流心から離して自分から下流へ回り込むのが基本
ちなみに、大型鮎が掛かれば下流へと付いて下がらざるを得ない状況をよく目にする。
もちろん、瀬の中で掛かり、猛然と下る鮎に対しては、ブレーキをかけつつも釣り人が付いて川を下ることは必要だ。
掛けた鮎の大きさを見て、竿でためて抜けるようならそのまま抜いてタモで受ける方法もある。
さらに大きいと感じた際には、一度抜き上げた鮎を上流へと回して着水させ、下流へと引っ張って取り込むこともある。
それがさらに大きい鮎なら…。
「まずは流れからズラして緩やかな部分へと誘導します。流れが緩やかな所へ誘導しても引き抜けそうにない時は、竿で寄せるのではなく釣り人が回り込んで下流側へと移動して取り込むと比較的楽に取り込むことができますよ」と田嶋さん。
まずは流心より岸寄りの流れが緩やかなエリアへと鮎を誘導する
つまり、岸寄りの流れの緩やかな場所まで鮎を持ってきたら、竿を安定させて鮎をその場に定位させる。
その状態をキープしながら、鮎を動かさずに自分が回り込んで下流側へと移動する。
下流側へ移動したら寄せにかかるが、この時も鮎を寄せるというよりは自分から近づいていってタモに吊りこむ…といった具合だ。
自分で下流側から回り込んでいき、鮎をタモに吊りこむ
こうすることで、大鮎が掛かった際のバラシも激減する。
引き抜いた鮎を空中輸送で格好よくタモで受けるのも鮎釣りだが、大鮎に限って言えば、「無理をしない」取り込みが必要なのだ。
●交通=宇都宮市街から国道4号(奥州街道)を北上し鬼怒川方面へ。
宇都宮市中岡本街でファミリーマートのある信号を左折。
2kmほど進み、JAの建物がある300mほど先を右折し河川敷へ。
※当日の様子は、youtubeフィッシングDAYS「大アユハンター田嶋剛 栃木鬼怒川の鬼アユ」https://youtu.be/KEjn952lyAAで視聴できる。
(文・写真/松村計吾)
大アユハンター田嶋剛 栃木鬼怒川の鬼アユ
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ライター紹介
松村計吾
大学で水産無脊椎動物の研究を経て、釣り出版社に入社後、30年以上釣り雑誌や釣り情報紙の編集を手掛ける。取材などで釣りの現場に出ることはもちろん、休日などのプライベートでも常に釣りシーンにハマっている。得意な釣りは船のテンヤタチウオ、カワハギ、エギング、イカメタルなどだが、日本全国を飛び回りあらゆる釣りを経験。ちなみの甲子園の年間シートも所持。甲子園でのビール消費量も球界一とか・・・。