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がまかつから新発売!チヌかかり釣りは超軽量ロッドが圧倒的に有利なワケ。末吉一崇流ダンゴ釣りのイロハ
チヌのかかり釣りは、四季を通じてさまざまな顔を持っている。
冬から春の大型の乗っ込み狙いや、夏場の良型数釣り、そして秋の数釣りなど、同じ短竿でのダンゴ使った釣りでも、その釣り方はさまざま。
それだけに奥の深い釣りとしてコアなファンも多い釣りの1つだ。
特に繊細な穂先を有する短竿で、穂先を通してのチヌとの駆け引きは大変面白く、時には超繊細に、時として大胆な反応を見せてくれるチヌ。
小さなアタリを掛け合わせた後の強烈な引きを、軟らかな短竿でかわしつつ浮かせてくる、静から動への激変具合もこの釣りの魅力といえる。
今回はチヌかかり釣りの名手で、がまかつインストラクターの末吉一崇さんが三重県鳥羽・本浦(もとうら)の筏に釣行。
目標として掲げた「良型を含むチヌの数釣り」を達成するための模様を紹介しよう。
この中で末吉さんが「チヌかかり釣り用の竿は絶対的に軽いほうがよい」とした上で、超軽量竿のメリットやおすすめの理由、そして釣り方などを教えてくれた。
短竿でのやり取りにハマる人も多いチヌかかり釣り
超軽量かかり竿が切り開く緻密なチヌ釣り戦略とは
私の考えでは「竿の軽量化=高感度化が明確にいえると思うんです」と言う末吉さんだが、一体どのような関係性があるのかをうかがってみた。
ますは軽量竿を使う点でのメリットについては、
1.軽量なため、竿を支える力が最小限に抑えられる
2.手持ち竿での釣りとなる、かかり釣りでも疲れが出にくい
3.竿を支えるのに力があまり必要ではなくなるので、その分穂先への荷重変化や反応に集中できる
4.荷重変化が分かりやすくなるので、サシエや道糸に対する潮の抵抗などが手に取るように分かる
といったもの。
この中で最も重要なのが、軽量化によって竿を支える力が最小限に抑えられることによる顕著な高感度化だろう。
ただし、高感度=張りの強い竿ではないという。
軽量化による高感度は穂先の張りだけではない
「軽量化による高感度というのは、竿が軽い分、操作性もよく、小さな荷重変化も見逃さずに感じられるというところでしょう。重量感のある竿、もっと言えば持ち重りするような竿では、竿の重さを支えることで必要以上の力が要ります。その力が不要となることで微妙な変化を読み取ることができるんです」と末吉さん。
これが軽量竿を使用する最大のメリットであるという。
ただ、「逆に気をつけなければいけない点としては、軽量化ゆえの大チヌに対してのパワーや粘りといった面ですね。軽さがすべてではなくて、そこには大チヌと対峙した時の浮かせるパワーなどとのバランスが重要です」と末吉さん。
突如として襲ってくる大物とも対峙できるパワーは欲しい
軽量化とパワー、粘りのバランスが取れた竿を使用することが、安定して好釣果を上げ続ける要因にもなるという。
末吉さんが愛用し釣果を上げ続ける「がまちぬ いかだ 競技ファインマスター」の特長
超軽量化が生み出す高感度、そして微細な海中の変化をとらえやすくなるメリットを地でいく竿が、2024年にがまかつから登場した。
それが末吉さんが現在愛用するチヌかかり釣り専用竿「がまちぬ いかだ 競技ファインマスター」シリーズだ。
1.4m(Mタイプ)、1.5m(Mタイプ)、1.5m(MHタイプ)、1.6m(MHタイプ)と4アイテムがラインアップされているファインマスターシリーズの最大の特徴が、4アイテムすべてが自重50g台という軽さ。
最も太い1.6m(MHタイプ)でも、実に55gの軽さだ。
末吉さんが挙げる「軽量化に反してのパワー面」では、チヌかかり竿では初めて磯竿に使用されている「イナシステム」を採用することで、がま磯シリーズに共通の「魚がたたかず、粘りで浮かせる」調子を追求している。
まさに、伝統のがま調子をまとった、チヌかかり竿だ。
「がまちぬ いかだ 競技ファインマスター」
徹底的な軽量化を図ったグリップも特徴だ
上が極先調子、下が中調子。2本の穂先が付属する
ちなみに穂先は、シラサエビなどを使用した際のキビキビとした誘いに適した「極先調子」と、喰い込みをよくしてアタリを大きく出させることをコンセプトとした「中調子」の2本が付属している点も注目。
その名の通り、かかり釣り競技における数釣りをメインとしながらも、突如としてヒットしてくる大チヌにも対応させた新しいチヌかかり竿といえる。
寄せて避ける? チヌかかり釣りの基本はとにかく集魚
さて、チヌかかり釣りはそろそろ春の乗っ込みシーズンも佳境。
これからは産卵後の一服状態を経て、初夏、夏へ向けて良型を含んだ数釣りができるシーズンに入ってくる。
そんな時期の釣りを想定して、末吉さん流チヌかかり釣りのイロハをうかがった。
末吉さんがロケ当日に使用したタックルは「がまちぬ いかだ 競技ファインマスター」M1.5に片軸リール、道糸・ハリスは通しで1.7号を使用。
鈎には「A1 ナノチヌ筏」3号と4号、「貫通筏」3号、「G-HARD V2 チヌエース」などを、使用するエサなどにより使い分けている。
マキエ用のダンゴはパワーダンゴチヌ、濁りオカラ、大チヌスペシャルハイパー、チヌスパイス、細びきさなぎを混合したもの。
サシエはボケ、アケミ貝、加工オキアミ、生オキアミ、丸さなぎ、コーンなど。
ロケ当日に準備したダンゴ配合
ロケ当日用意したサシエ
釣りの組み立ての大まかな流れとしては、
1.本命、エサ取りを問わず、まずは魚を集める
2.エサ取りの種類を確認する
3.残りやすいエサの中からチヌが喰ってくるエサを探す
4.チヌが釣れれば、その再現性の確認
といった具合。
詳しく紹介すると、まず魚を寄せる際には、チヌだけを寄せることは難しい。
エサ取りも含めての集魚をすることで、本命のチヌもダンゴのステージを意識させる。
「エサ取りが寄ってきて、ダンゴやエサをつつくことによって、チヌの警戒心を下げていくことにもなります。チヌはどうしてもスイッチが入らなければ警戒心は高い状態で、喰ってくるのは遅い傾向にあります」と末吉さん。
まずはダンゴでステージを作ることに専念する
エサ取りが寄ってきて、穂先に反応が出るようになれば、エサ取りの種類を確認する作業に入る。
この時に反応の出やすいサシエを選択して、エサ取りを掛けることで種類を確認する。
たとえば「サシエを少し浮かせるとアジがヒットする」「シラサエビやオキアミでは瞬殺、あるいはフグ、カワハギなどがヒット」など、その時のエサ取りの活性や種類を確かめることで、次に残るエサを探す。
オキアミのサシエが少し浮くとアジがヒット
エサは柔らかいエサから順にローテーションさせていくのが基本で、たとえばこの日には、
1.生オキアミ
2.加工オキアミ
3.シラサエビ
4.ボケ
5.丸さなぎ
6.アケミ貝、コーン
をローテーションすると、オキアミは瞬殺、シラサエビはやや時間が経った後でフグやチャリコ(マダイの幼魚)、ゴンズイなどがヒットしてくる。
ボケでは少しずつボロボロになりながら、取られるのには時間がかかる。
そして、さなぎ、アケミ貝、コーンは触られることなく残ってくる…といった具合。
この状況で末吉さんが判断したのは、少しエサが残るシラサエビをローテの軸とする組み立て。
この中で、ダンゴに反応する状況により、ダンゴアタリでエサ取りが集まった後、サシエが飛び出ると、エサ取りのアタリがあるものの、すぐに反応が収まり、多少はサシエが残る。
そこで、エサ取りがエサに反応した後にチヌがゆっくりと寄ってきているのでは…と判断した末吉さんが取った作戦は「ダンゴをやや固く握り、サシエの出るタイミングを遅らせる」。
ダンゴの割れを確認するため、じっくりと観察する
ダンゴを散々つついたエサ取りの動きが収まった頃=チヌが寄ってきたタイミングで、サシエが出るように調整する。
当日の本命1号は、このタイミングをズラした作戦でキャッチした25cm級。
サイズ的には不満が残るが、本命を喰わせることに成功すれば、その日のパターンが少しずつ見えてくる。
サイズ的には物足りないが、状況判断からの推理が当たった瞬間
そこで、次は再現性の確認である。
同じパターンを踏んで、チヌの反応が出るかどうかを確認すると、シラサエビのエサに2尾目がヒットした。
ここで当日の作戦としては「オキアミもしくはシラサエビで良型を喰わせる」。
オキアミはエサ取りが多ければ、大抵はエサ取りに取られやすいエサだが、その分チヌの食いもよいエサ。
ローテーションの中には絶対に入れておくべきエサであるという。
ただ、残るエサとして当日は、丸さなぎ、コーン、アケミ貝があったが、こちらもまったく使わないのではなく、時々でよいのでローテーションの中に加えることで、エサが残り、タイミング遅く出てくるチヌが口を使うかもしれないからだ。
まとめると、ダンゴでとにかく魚を寄せ、エサが取られにくくチヌが喰ってくるサシエを探す。
ダンゴの割れるタイミングなどを変えながらチヌが喰ってくるタイミングを計り、再現性を持たせる。
チヌも釣れるが、エサ取りも反応するサシエを軸として、ローテーションさせて目先を変えつつチヌを拾って釣っていく。
その際にも、チヌ、エサ取りともに一見反応がないサシエもローテーションに入れておくこと。
「ほかに、状況に合わせた細かな対処方法は数多くあるのがチヌかかり釣りですが、最低限この順番で組み立てるだけで、チヌと出会う確率はグーンと上がると思いますよ」と末吉さんは語る。
●交通:伊勢自動車道「伊勢西」ICで降り、国道42号を経て鳥羽駅前を過ぎ、パールロードへ。本浦への案内板に従い左折し、坂を下りた二叉路を案内板に従い左折。
●問い合わせ:やま栄渡船(TEL:0599・32・6009)
(文・写真/松村計吾)
「超軽量ロッドで数釣り 鳥羽本浦かかりチヌ」
※当日の様子は、YouTubeフィッシングDAYS「超軽量ロッドで数釣り 鳥羽本浦かかりチヌ」https://youtu.be/r_Od_ucojpk で視聴できる。
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ライター紹介
松村計吾
大学で水産無脊椎動物の研究を経て、釣り出版社に入社後、30年以上釣り雑誌や釣り情報紙の編集を手掛ける。取材などで釣りの現場に出ることはもちろん、休日などのプライベートでも常に釣りシーンにハマっている。得意な釣りは船のテンヤタチウオ、カワハギ、エギング、イカメタルなどだが、日本全国を飛び回りあらゆる釣りを経験。ちなみの甲子園の年間シートも所持。甲子園でのビール消費量も球界一とか・・・。