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KING 南康史流!大型と超大型は違う?乗っ込みチヌに会う方法
春は乗っ込みチヌの好シーズン。
この時期は産卵を控えて、浅場へとやってくる大型チヌを釣りやすい時期でもあり、身近な大型ターゲットであるチヌが、さらに身近になる。
チヌを狙う釣り方は多種多様で、釣りジャンルやエリアによって、ほんの少しだが乗っ込みシーズンの始まりと終わりがズレる傾向にある。
そんな春の乗っ込みシーズンを狙って、古くから人気のある釣りがフカセ釣り。
春は外気温こそ上昇してくるが、水温が上がるのはもう少し先。
水温が低めということは、エサ取りが少なくチヌにサシエを届けやすいのも事実である。
今回は、G杯V4の記録を持ち自他ともに認めるチヌ釣りの達人、KINGことがまかつテクニカルインストラクターの南康史さんが、高知県須崎の防波堤を舞台に大型チヌに狙いを絞ったノウハウを取材してきた。
南さんがイメージし、実践する大型チヌに絞ったノウハウをお伝えしたい。
目次
春の大型乗っ込みチヌに挑戦
乗っ込み期の大型とひと口にいうが…。良型、大型、超大型の違いは?
「乗っ込み期は良型チヌや大型チヌが狙えるんですが、実は釣り人が求めるチヌのサイズや数によって場所選びや釣り方も大きく変わるんです」と南さん。
南さんのイメージでは、乗っ込み期は確かに普段なかなか巡り合えないような大型のチヌに出会える確率が高いのは事実だが、具体的なサイズとして、良型と呼ばれる40㎝台、年なしと呼んでチヌ釣り師の目標ともなる50㎝台、そして夢の超大型として「ロクマルチヌ」とも呼ぶ60㎝オーバーのチヌと大まかに分けて狙いを変えるとのことだ。
今回は、そんなサイズ感の中で、目標を年なしクラスの50㎝以上、あわよくば60㎝を超す超大型チヌに狙いを絞っての釣行とした。
「乗っ込みのチヌ釣り場とひと口にいっても、その条件は様々です。良型が数釣れる場所や、数は少ないが一発大物が狙える釣り場でも条件は変わります。それは産卵を意識したチヌの移動であったり、大型チヌの居着きやすさ、寄りやすさなど条件がいくつかあるんです」と南さん。
その辺りを明確にイメージして、釣り場を選び、釣り方を決めていくことで、狙うチヌのサイズはある程度変えることができるのだ。
何の変哲もない小さな防波堤が巨チヌのポイントに?
超大型チヌが釣れる場所の条件は?シャローエリアこそ見逃すな
当日の舞台は高知県須崎市の沖に浮かぶ、戸島の東面にある小さな波止。
以前は定期船が就航していたが、この地区の住民が少なくなったこともあって今は船の行き来はなく、人の往来もほとんどないという静かな地区である。
釣り場としては、一見すると何の変哲もない小さな防波堤で、沖は底が見えるような浅いシャローエリアだ。
そんな場所に目を付けて竿を出してみたところ、大型チヌが連発。
この場所で仕留めた最大は57㎝だったが、さらに大型、つまりはゆうに60㎝を超えていそうな超大型チヌを、すんでのところでバラしてしまった悔しい思い出の場所でもある。
この釣り場は防波堤の足元に敷石が10mほど敷かれていて、その先はほとんどフラットな砂底。
沖には筏が数基と、係留船が2、3隻止まっているだけの場所だが、「実はそこに超大型チヌが潜む条件が揃っている」と南さんは言う。
南さんが一般的にイメージする大型チヌが釣れる確率が高い条件を聞くと、
1.チヌ釣り場らしい内湾ながら、外洋との入り口に近いエリア
2.普段、あまり釣り人が入らない場所
3.竿1本程度の浅いシャローエリア
4.沖に筏などチヌが一時的に身を隠せる障害物がある場所
など。
右が外洋との水路で、前方には筏や船が係留されている当日のポイント
チヌ釣り場としては湾内で潮があまり走らないような場所が選ばれ、そんな場所が非常に数多いことも、チヌ釣り場として成り立つポイントが多いことにつながっている。
超大型チヌはほとんどの場合、外洋から入ってくることが多く、入ってきたチヌをまず待ち受けることができる外洋に近い内湾エリアが条件となる。
さらに普段から釣り人が入る場所は、やはり百戦錬磨で警戒心の強い超大型チヌは嫌がる傾向にあったり、すでに痛い目にあっている可能性も否定できない。
たとえば、当日の舞台となった戸島の対岸には中ノ島があり、その内側にも同じような防波堤が見える。
ただし、中ノ島は橋で地方とつながっており、終始チヌ釣りを始めとする釣り人が絶えない釣り場となっている。
そのため、大型チヌ狙いとしては条件を満たしていない…と南さんは判断する。
さらに「底が見えるようなシャローエリアが狙い」との話は少し驚かされたが、実はそこがキーポイントでもある。
まずは、浅すぎて釣り人が敬遠するので釣り人が入りにくい点がある。
そして、まだまだ水温が低めに推移している時期でもあり、日が出るとまず、ほんの少しでも水温が上がりやすいのがシャローエリア。
そんなほんの少しの変化を敏感に感じて、シャローエリアに上がってくる体力のあるのが超大型チヌであるという。
ただし、警戒心が強いので、何もない場所に居座ることはほとんどなく、筏などの障害物に隠れていて、1日の中でエサをあさる限定の時間のみ出てくることが多いので、近くに身を隠せる障害物がある場所も、超大型チヌのポイントになりやすい。
そんな状況を持ち合わせたのが、今回の釣り場であるという。
超大型に絞った釣り方とは?遠投でマキエは一点集中してステージを作れ
「大きなチヌは1日中なんのアタリもない中で、突如として時合いが来ることが多いんですよ。なので、釣れなくても同じペースで釣り続けておくことが重要ですね。釣り続けることで、海況の変化なども分かりやすいですからね」と南さん。
南さんがイメージする大型、超大型チヌを釣るための釣り方としてのキーポイントは、
1.エサ取りの有無は気にせず、同じポイントで釣り続ける
2.マキエは一点集中
3.遠投が基本
4.状況に合わせたレンジ設定
5.数種類のエサをローテーション
といった具合。
普段あまり釣り人が入っていない…ということは、普段からマキエ、サシエなど釣り人が撒くエサが入っていないポイントであることが多い。
そのために、まずはチヌを寄せるのだが、この場合寄せるというよりはシャローにエサを求めて回遊してくる大型チヌを足止めするためのマキエ…と考える。
これはチヌ釣りでは常套手段ともいえるのだが、こと大型・超大型チヌに関してはこの考え方を徹底するほうがよいという。
回遊するチヌを足止めするのだから、マキエを一点に集中させて底にマキエが溜まる「ステージ」を作るのが主な目的だ。
マキエは正確に一点集中で撒き続けることが重要
そして、シャローエリアだけに足元や釣り座近くは、やはり釣り人の姿も見えるであろうことから、ポイント設定はできるだけ沖。
マキエが届く距離感もあるので、安定してコントロールよくマキエを集中できる距離を設定したい。
チヌ釣りのタナ設定は、その釣り場により特徴がある。
今回の釣り場のようにフラットな砂底の場合は、チヌの活性によってウキ下の設定を変えてやる。
「乗っ込み期のチヌは時期が早いうちは底のエサを拾うようなゆったりとした食い方をすることが多いんですが、最盛期に入るとマキエにつられて浮いてくる活性の高いチヌも多くなります。そんな時にはウキ下は浅めにして浮かせて釣ることもあります。逆に活性が低ければ、ハワセ釣りも有効な手段です。シャローエリアでは比較的、その調整がしやすいですね」と南さんは話す。
最後に、エサは生オキアミ1本ではなかなかチヌにたどり着けないこともある。
ロケ当日、南さんが用意していたのは、生オキアミ、加工オキアミ、丸エビ、そしてネリエ2種類(レッド系とイエロー系)。
生オキアミ、加工オキアミ、丸エビの3種類を用意
ネリエはブラウン系とイエロー系の2種類
これはエサ取りの状況に合わせるとともに、チヌがその時に反応がよいエサを効率的に使うことで食いを誘発させる目的がある。
基本的には、もっとも柔らかいエサである生オキアミからスタートして、加工オキアミ、そして丸エビは殻が硬いのでエサ取りにも強い。
ネリエはほかのエサに比べると、比重が高いため速く沈めることができるのと、エサ取りにかじられても残ることが多いので、遅れて出てくるチヌにも食わせやすいメリットがある。
シャローのチヌとのやり取りはタックルバランスが重要。パワーに余裕を持たせよう
「とにかく、このサイズでこんなに引くか…というくらい、シャローエリアのチヌは良く引くんですよ。そして必ず障害物へ向かって突っ走るんです。いざという時に、走りを止められるかどうか…が超大型チヌをキャッチできるかどうかの分かれ目です」と南さんは豪語する。
シャローエリアで砂底だけに、周りには何も隠れる場所がない。
そこでチヌはとにかく障害物へ逃げ込むために、全力で突っ走ろうとするのだろう…と南さんの見解だが、当日も50㎝に届かないチヌが1号の磯竿をひん曲げて、突っ走るシーンが見られた。
掛かったチヌは驚くほど突っ走るのがシャローエリアの特徴
ただ1日中、時合いを待ち続けて釣りを続けるのだから、軽量な竿がありがたいのは当たり前。
そこで、竿自身が持つ機能で、軽量でありながらパワーを持ち合わせ、魚とのやり取りがしやすい竿が理想的。
現在、南さんの愛竿として今回のロケでも使っていたのが、がまかつのNEWチヌ対応竿「がま磯 アテンダーⅢ」で、1号5.3mタイプ。
この竿は軽量化を図るとともに、いざ魚を掛けると大きく曲がり込んで魚を怒らせることがないやり取りが特徴だ。
「がま磯 アテンダーⅢ」
グリップ部分は滑りにくくしっかりとホールドできるので、やり取りも楽ちん
その上で、チヌの走りを竿の曲げ込みで、溜めきって浮かせることができるメリットを持ち合わせている。
また、魚が掛かれば胴調子で曲げ込むことで魚の引きを受け止めるのだが、仕掛け投入時の操作感は、先調子のような感じで、南さんがイメージする遠投でのポイントセッティング時などは、非常に正確な仕掛け投入が可能になるのもありがたい。
●交通:高知自動車道の「須崎東」ICで降り、国道56号線を南下。須崎市池内で右手に「高知トヨペット」のある二叉路を左側に向かい、約500m先の大きな交差点を左折し道なりに直進し、鮮魚店と釣具店のある交差点を右折して突き当たりが乗船場。
●問い合わせ:須崎市観光漁業センター(TEL:0889・42・1478)
(文・写真/松村計吾)
「キング南康史 ロクマルに挑んだ2日間」
※当日の様子は、YouTubeフィッシングDAYS「キング南康史 ロクマルに挑んだ2日間」https://youtu.be/3DFsMDm6BcY で視聴できる。
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ライター紹介
松村計吾
大学で水産無脊椎動物の研究を経て、釣り出版社に入社後、30年以上釣り雑誌や釣り情報紙の編集を手掛ける。取材などで釣りの現場に出ることはもちろん、休日などのプライベートでも常に釣りシーンにハマっている。得意な釣りは船のテンヤタチウオ、カワハギ、エギング、イカメタルなどだが、日本全国を飛び回りあらゆる釣りを経験。ちなみの甲子園の年間シートも所持。甲子園でのビール消費量も球界一とか・・・。