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和歌山県湯浅の磯チヌは、たった3つのキーワードで簡単攻略! 前西喜弘流・究極のオーソドックス理論
チヌのフカセ釣り。
ちょっと敷居が高いなんて思っているアナタ!
実はフカセのチヌはセオリーさえ押さえれば、非常に簡単に釣れちゃうんです。
紀州の磯チヌフィールドといえば「湯浅」。
その湯浅湾の磯を舞台に「これさえ頭に入れておけば磯のフカセチヌは非常に楽に釣れる」キーワードを、実践を交えながら解説してくれた。
今回はそんな前西流の「超簡単セオリー」フカセチヌ攻略法を紹介してみたい。
目次
納竿間際に良型チヌが連発
重要なのはまずセオリー! 時には我慢する時間帯も必要!?
湯浅の磯は例年、2月の休業期間を経て、乗っ込みチヌが始動し始める3月から渡船が再開する。
乗っ込みのハシリが釣れだし、徐々に本格化するのは4月に入ってからだが、その頃には1人で「20尾以上釣った」といった情報も交錯するほど、好釣果に恵まれることも多々あるのが湯浅だ。
当日は「三ノハエ」に渡礁。いかにも…な乗っ込みチヌ釣り場が広がる
今回のロケは4月初旬ということもあって、まだまだ磯によって食いにムラがある時期。
昨日15尾釣れた磯で、翌日には1、2尾といったことも珍しくない状況だが、はっきり言って今回の釣行はかなり渋い状況に当たってしまったのは事実。
それでも前西さんは自らのセオリーを貫き通して、最後には見事に良型チヌを連発で仕留めたのだから、さすが…と言わざるををえない。
納竿間際に連発でヒットしたチヌ
さて、そんな前西さんが実践し推奨するのが「オーソドックスなフカセ釣り」である。
フカセ釣りでは、チヌ、グレなどの各種競技会も開催されて久しく、腕を競う釣り技術の発展にはすさまじいものがある。
しかし、これから始めてみようという初心者には、かなり敷居の高い難しい釣りとなっているのも事実。
前西さんはそんな状況を憂い、初心者やビギナーにも難しくないフカセ釣りを提唱し、自らもその「オーソドックス」な釣りを通して実績を上げている。
「釣れない時には確かにいろいろと工夫するのも楽しいもの。けれど初心者にとっては、その工夫のしどころが分からず、釣果を下げる結果になってしまうこともありますよね。だから、フカセ釣りに関しては、まずオーソドックスなセオリーをしっかりと身につけて実行することが、チヌやグレに出会う近道と考えています」と前西さん。
フカセ釣りをもっと簡単に誰にでもできるように…
そんな前西さんが湯浅の磯でチヌに出会うため、意識してほしいという3つのキーワードがある。
それは
① 投点
② ステージ作り
③ 時合い
である。
「湯浅の乗っ込みチヌは比較的回遊性の強い魚が多いのも事実です。回遊がなければあれこれ工夫をしても無駄。時には我慢をすることがいきなりの爆釣につながることがあるんです」と話す。
キーワード①投点 やや沖にポイントを設定すべし
湯浅のチヌ釣り場は、足元からいきなりドン深の釣り座は少なく、手前はなだらかな傾斜になっていて、15~30m先で落ち込んでいるような磯が多い。
竿下は浅いので、かなり活性が高い状況下でないとチヌがやってくることは少ない。
基本的な狙い目としては、なだらかな磯が落ち込んだすぐ先。
理由としては、回遊してくるチヌは、この磯の落ち込みに沿って泳ぐことが多いからだ。
やや遠投でのポイント設定が〇
遠投だけにマキエの正確さが重要になってくる?
それにまだまだ水温が低い時期とはいえ、日に日に上昇する時期でもあり、特に浅い磯場ではチヌよりもエサ取りの活性が高くなることも多い。
チヌの回遊ルートである少し沖の落ち込みを狙うことで、回遊してくるチヌを待ち受けると同時にエサ取りの猛攻を避けられる。
そして、意識しておきたいのはウキ下。
チヌ釣りというとサシエはベタ底で、食いが渋ければハリスを這わせるなどの繊細な釣り方をイメージする人も多いだろう。
しかし「乗っ込み期のチヌは浮いてくるので、ウキ下はあまり深くする必要はありません。沖の落ち込み狙いで水深が15m以上あるようなポイントでも、中層、つまりウキ下は竿1本程度でスタートします」と言う。
ちなみに1日の釣りであまり釣りを中断しない前西さんが愛用する竿が、がまかつ「がま磯 アルデナ」の1.25号-4.7m。
4.7mのショートロッドは軽量で1日釣っても疲れないのがメリットの1つで、正確な仕掛け投入を続けることができる。
前西さんの愛竿「がま磯 アルデナ」1.25号-4.7m
イメージとしては、磯の落ち込みの肩やその落ち込んだ先に深場に沿ってチヌが回遊してくる。
それをマキエで足止めして釣る感じだ。
マキエで足止めされたチヌは、一定のペースで撒かれるマキエにつられて浮いてくるという寸法。
特に沖を回遊するチヌは、警戒心も低いので浮きやすいのも事実だろう。
キーワード②ステージ作り マキエを打ち続けてステージを作っておこう
湯浅では、乗っ込み期に回遊するチヌを狙うのが釣り方も楽ちんで、出会える確率もアップする。
その回遊するチヌを釣るための重要な点が、チヌを足止めするためのエサ場、つまり釣り人が言う「マキエのステージ」である。
このステージを作るためには、設定した沖のポイントへの一点集中でのマキエ打ちと、マキエを撒くペースが重要だ。
前西さんのチヌ用マキエとサシエ
同じ場所へ正確にマキエを撒き続けることで、水面から沈下するマキエの筋がステージとなる。
釣れないからといってあちこちにマキエを打つと、いざチヌが回遊してきた時に、エサを食う場所が分散し、結局はポイントが絞りきれない事態になる可能性がある。
「撒き方としては釣り開始時にやや多めにマキエを入れて、以降はとにかく一定のペースで撒き続けることです。仕掛けを作る際、昼食などで釣りを中断する時も、時々マキエを打つことでマキエを絶やさないことが重要です」と前西さん。
マキエはできるだけ正確に一点集中で
できれば釣りをスタートしたら、中断することなく釣り続けることで、しっかりとステージを作ることができる。
と、同時にそれまで残らなかったサシエが残ってきたり、逆に取られなかったサシエが取られ始めるなど、海の状況変化も把握できるからだ。
マキエを撒く位置は同じにして、釣れない時には仕掛けの投入位置を変えたり、サシエの種類を変えたりという工夫はしてみる価値はある。
キーワード③時合い 1日の中で回遊してくる「時合い」を逃さない
回遊性の強いチヌだけに、回遊がなければほとんど釣れない…という状況も多い。
もちろん、磯に付いているチヌがいれば口を使ってくることもあるので、まったく期待できない、なんてことはないのだが…。
湯浅の磯ではそのシーズンや、磯、潮周りなどでチヌの時合いに偏りがある…と前西さんは言う。
実際、番組ロケの日も午前中はまったく反応がない状況だったが、納竿時間近くになって、突然チヌが食いだしたかと思うと連発へ…という流れに!
それも船長からは「このところ、午後から時合いが来ることが多いよ」と情報を得ていたので、午前中はステージ作りに専念しつつ、のんびりと釣りを展開することができたのも事実。
時合いが来ることを信じて、焦らない焦らない!
磯に上がる際に、船長にその磯で近々の「釣れている時間帯」などの情報を入手しておくのがオススメ。
ちなみに乗っ込み期の湯浅磯では、圧倒的に午後から時合いがやってくる磯が多いとのことで、午前中から一定のペースで撒き続けても、マキエ切れしない量を持って行くことも考えておこう。
釣りを続けていると、海中の変化に気づくことがある。
それはそれまで残らなかったサシエが残ってきたり、逆にそのまま上がってきていたサシエが取られるようになったり…。
それまで取られなかったエサが取られだした次の瞬間、竿が大きく曲がった
どちらがよい状況…というのではなく、変化が生まれた時にはそれまで食わなかったチヌが食い出す前触れ…と、とらえて集中することが重要だ。
以上、前西さんが提唱する湯浅の磯チヌ攻略を簡単にしてくれる3つのキーワードを紹介したが、ほかに比較的簡単に工夫できるものとしてはサシエがある。
チヌは雑食で知られる魚で、釣りに関しても使用するエサの種類は幅広い。
フカセ釣りでは、生オキアミ、加工オキアミのほかにコーンやネリエなども有効。
そんなエサを数種類持参しておき、ローテーションさせることなどもやってみる価値がある。
●交通:阪和道「湯浅」ICで降り、国道42号を南下。湯浅信号を右折して、なぎ丸の事務所があるT字路を左折。なぎ大橋を渡って50mほど進むと渡船場への案内板がある。
●問い合わせ:なぎ丸(TEL:0737・62・3891)
(文・写真/松村計吾)
「前西喜弘が釣る 和歌山 湯浅の乗っこみチヌ」
※当日の様子は、
テレビ大阪のYouTube「フィッシングDAYS」「前西喜弘が釣る 和歌山 湯浅の乗っこみチヌ」https://youtu.be/Yjpv5zxZ_Qwで視聴できる。
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ライター紹介
松村計吾
大学で水産無脊椎動物の研究を経て、釣り出版社に入社後、30年以上釣り雑誌や釣り情報紙の編集を手掛ける。取材などで釣りの現場に出ることはもちろん、休日などのプライベートでも常に釣りシーンにハマっている。得意な釣りは船のテンヤタチウオ、カワハギ、エギング、イカメタルなどだが、日本全国を飛び回りあらゆる釣りを経験。ちなみの甲子園の年間シートも所持。甲子園でのビール消費量も球界一とか・・・。