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南紀のグレは浅ダナ攻略が釣果を延ばすカギ! 厳寒期のグレ釣りメソッド
寒グレ最盛期から徐々に低水温期に入り、関西ではグレの喰いが徐々に渋くなる季節。
ただ、ここ数年は水温が高めに推移しており、昔のように1月から2月に白子を抱えた大型の寒グレが釣れ盛る…といった状況はあまり顕著ではなくなっている。
今回は和歌山・串本須江地区を舞台に、がまかつインストラクターの前岡正樹さんと同フィールドテスターの門野吉洋さんが、近年の南紀磯のグレ釣りを紹介。
門野さんのホームグラウンドの1つでもある須江地区の磯へ、紀州の釣りとは違うスタイルを持って前岡さんが挑戦。
番組内では地元紀州の釣り方を熟知した門野さんに対して、三重県下をホームとする前岡さんが、釣り慣れた三重県下での釣り方に、状況に合わせたバリエーションを加えて見事良型グレを仕留めた。
釣りスタイル、入り口は違っても、名手がグレに到達するまでの考え方を中心に釣りを展開。
そんな中、串本周辺をホームグラウンドとする門野さんは、近年南紀のグレ釣りでは定番となっている遠投浅ダナでの釣りで、40㎝超の尾長グレを含んで好釣果をあげた。
今回はそんな門野流の、令和の南紀グレ釣りのキーポイントを紹介していきたい。
グレの名手2人が須江のヒラドコで競演
最近の南紀で浅ダナでのグレ釣りが主流になっている理由は?
「本来、グレは磯場に常にいるような魚なんですが、近年磯周りの魚が減ってきているのが現状ですね。だから、グレも磯際では魚影の薄い釣り場が多いんですよ」と、この方面に精通する門野さん。
ただ、グレが釣れなくなったわけではない。
門野さん曰く「数釣れる時のグレは、ほとんどが沸きグレなんです」。
沸きグレといえば、水面に群れをなして移動していくシーンを見かける。
そんなグレも確かに釣れるのだが、それだけを待っていると、そう釣果はあがらないのはご存じの通り。
「実は水面に群れているグレだけが沸きグレではありません。水面に出ていなくても中層でサスペンドしたり、群れで移動したりするグレも多数いるんです」とのことで、一見、見えていなくても実は水面下にはグレの群れがいたりする。
浅いタナで我慢していると、小さなアタリでヒット
きれいな魚体が沸きグレ、浮きグレであるイメージを感じさせる
現在の南紀方面のグレは、この表層、中層にいるグレ狙いが主体になるという。
これは、グレの習性の変化ともいえるのではないか…とも。
この表層や中層で群れるグレは、実はエサにはよく反応する。
沸きグレの中には、昔からエサには見向きもしない群れが多かったが、現在の沸きグレはかなりの確率でエサに反応するという。
「その中層に数多くいるグレのタナが大体2~3ヒロというところなんです。なので、ウキ下もそれ以上深くすると逆に魚がいなかったり、サンノジなどのゲストが掛かってくる確率が高くなります」と語る。
そして、中層に群れているグレは当然磯際の人陰には敏感なので、比較的磯から離れた潮筋などで溜まる傾向がある。
そこで、現代の南紀の磯グレ釣りは遠投浅ダナ狙いがメインとなっているわけだ。
サラシの先にできる潮目へダイレクトにマキエを投入
基本的な考え方は水平方向への探り
朝からマキエを打って釣っていても、反応がなければどうするだろう。
エサが取られなければ、ウキ下を深くしていき、グレだけではなく魚自体のいる場所を探す。
これは昔からいわれている定番で、とにかく魚がいるタナ、場所を探して、そこからグレをヒットさせる方向へと組み立てる。
ただ、浮くグレ狙いで、そのグレが中層にいるとなれば、釣り方、考え方は変わってくる。
門野さんによると「ウキ下を深くする意味がないので、基本は平面での探りになります。中層にサスペンドするグレもマキエには反応してエサを喰うので、中層でマキエが流れ、溜まる場所を探すことが釣果につながります」とのこと。
釣り方の基本としては、やはり近いポイントから攻めるが、その場合もサラシの脇、サラシの先、磯からの払い出しと沖の潮がぶつかるヨレなど、グレ釣りの基本ともいえる場所を攻める。
比較的近い場所で釣れればいいが、中層に浮くグレは沖の潮目に数多く潜んでいることが多く、そんな場合はダイレクトに沖のポイントにマキエを打ち、仕掛けを投入する必要が出てくる。
これが遠投浅ダナでの釣り。
元気いっぱいによく引くグレを浮かせた
「反応がない場合、マキエとサシエの同調がされていない場合が多いのはグレ釣りの考え方ですね。30~40m沖ではなかなか目で見てマキエの流れや仕掛けの流れ方を確認しにくいので、潮の流れをイメージしつつ、魚の反応でマキエとサシエの同調を図る目安にしていくとよいでしょう」と門野さん。
きっちりとサラシが伸びていて、その先に明らかな潮目ができている場合は、サラシの先にマキエを打って、その先の潮筋へと仕掛けを流し込むことで、同調させるイメージ。
それで、エサが取られないなどの反応がない状況なら、マキエとサシエの同調がされていないと判断して、まずはマキエの位置は同じにして、仕掛けの投入位置を少しずつ変更していく。
こうして、マキエを拾っているであろうグレのポイントへサシエを送り込む。
それでも反応がなければ、今度は大きくマキエを打つポイント、仕掛けを投入する場所を変えて、まったく違うポイントを攻めてみるのも手だ。
磯際ではサラシやヨレなどが分かりやすく、基本的に磯周りに付いているであろうグレを狙うので、比較的ポイントを絞りやすいのだが、広い沖のエリアの中でグレの群れを探すのは、テンポよく見切りをつけて探っていかないと時間がない。
見切りよく幅広いポイントを探ろう
ただ、釣れるポイントを見つけると同じパターンで釣れ続くことも多く、最終的に好釣果に恵まれる…ということも多いのが、現代の南紀グレ釣りである。
習性の変化? グレが釣れる場所も変わるので事前に確認しよう
当日はヒラドコの内向きで2人並んで竿出し
一見すると、潮があまり通っていないようなポイントだが、サラシから伸びる払い出しと、よく見ると30m以上沖で小さな潮目ができているのが確認できる。
いわば、ヒラドコと地方の水道筋の流れである。
「今は、なぜかこの内向きの潮筋にグレが溜まっていることが多くて、いい時にはここで20~30尾の釣果もあがっているようですね」と門野さん。
このヒラドコだけに限らず、沸きグレ、中層のグレ狙いが増えているエリアでは、昔からの釣り座ではなく、また違った釣り座での釣果があがる場面もある。
久しぶりの釣り、初めての釣りの場合は、事前に船長と相談して最新のアドバイスをもらうのが得策である。
ちなみに当日、門野さんは「がま磯 アテンダーⅢ」1.5号5.0mに道糸1.5号、ハリス1.5号2ヒロ、ウキはB負荷でウキ下2.5ヒロでの釣り。
本来は1.25号クラスがちょうどいいが、アテンダーⅢのしっかりと曲がり込んで粘ってくれる調子から、ワンランク太めの1.5号をチョイス。
時にヒットしてくる良型の尾長グレにも備えた。
鈎は「G-HARD V2 セレクトグレ」の5号を使用。
細軸ながら強いので門野さん愛用の鈎だ。
がまかつ渾身の本調子ロッド「がま磯 アテンダーⅢ」
曲がり込んで粘る調子なので、ワンランク細い糸で勝負できる
答えが早い浅ダナでの釣りのコツ
ロケ当日は沖の潮がほとんど動かず、グレの喰う場所を探すのには非常に苦労していた。
南紀のグレ釣りに精通する門野さんも、ウキ下2~3ヒロのタナであちこち探るが、エサを取られない状況に苦戦を強いられる。
三重県下をホームとする前岡さんは、浅ダナにこだわらず、ウキ下、投入場所の変更をしていき、最終的には見えている磯にハリスを這わせて低活性のグレにエサを拾わせる…という荒ワザでグレを引きずり出したが、ヒットした瞬間から根ズレ状態というリスクも大きく、なかなか続けて釣り続けることは難しい状況。
そんな中、門野さんは浅ダナのまま、ほんの少し潮が動いたタイミングでグレを連発。
そして、2尾目にヒットしたのは40㎝オーバーの尾長グレだった。
確かにグレはいるのだが、潮が動かず喰いが立つタイミングがほんの少し…という状況が明確になった。
ほんの少しのタイミングを逃さず尾長グレをキャッチ
そこで、沖にマキエを打ちつつ、足元にもマキエを打っていると、チラリとグレらしき魚が足元に見えたという。
ここで、門野さんが取った作戦は、足元の見える磯の溝狙い。
ウキ下は2~3ヒロのままで、ウキをゆっくりと沈めることで、磯の溝から見え隠れしている活性の低いグレの口元へナチュラルにサシエを送り込む。
それが奏功してヒットさせたのは35㎝ほどの口太グレ。
竿下の磯の溝で見え隠れするグレをヒットさせた
この日も3ヒロ以上のタナにすると逆にエサが取られることも少なく、エサが残っても浅いタナのままで、いろいろな場所を狙い、ほんの少しのタイミングでグレの喰いが立つのを待つ…といった釣りが主流となった。
「今の南紀は、喰いが渋くても浅いタナで喰いが立つのを待つ釣りが主流です。喰いが立つタイミングで深いタナを釣っていると、かえって釣れないことも多くなるので、グレは浅いタナにいる…と信じて釣り続けることが好釣果につながるんです」と締めくくってくれた。
●交通:大阪方面から阪和道、気勢道を通り「すさみ南」ICで降り、国道42号を南下、串本町に入り潮岬東入口信号を右折し、浅海信号を左折、くしもと大橋を渡って大島へ入り、道なりに進んで渡船店への案内板に従い須江へ。
問い合わせ:しょらさん渡船(TEL:090・3465・2626)
(文・写真/松村計吾)
「トーナメンターの競演 南紀串本寒グレ攻略」
※当日の様子は、YouTubeフィッシングDAYS「トーナメンターの競演 南紀串本寒グレ攻略」https://youtu.be/LCdfVlrRYGg で視聴できる。
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ライター紹介
松村計吾
大学で水産無脊椎動物の研究を経て、釣り出版社に入社後、30年以上釣り雑誌や釣り情報紙の編集を手掛ける。取材などで釣りの現場に出ることはもちろん、休日などのプライベートでも常に釣りシーンにハマっている。得意な釣りは船のテンヤタチウオ、カワハギ、エギング、イカメタルなどだが、日本全国を飛び回りあらゆる釣りを経験。ちなみの甲子園の年間シートも所持。甲子園でのビール消費量も球界一とか・・・。