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【磯釣りスペシャル】サシエの通る数投に、すべてを ~門野吉洋のあきらめない精神力が良型チヌを導く@和歌山県田辺湾~
サシエが通るチャンスはわずか数投。
ポイント一面に木っ葉グレが乱舞し続けている。
しかし、決してあきらめない門野さんは並外れた集中力と精神力でその数投にすべてをかける。
絶対絶命のピンチを切り抜けた、紙一重の攻防戦をご覧あれ。
著作権/磯釣りスペシャル
撮影・文/細田亮介
目次
わずかなチャンスからヒットへつなぐ!木っ葉地獄の最悪な事態、手を休めずヒントを探る
釣っても釣っても木っ葉グレ地獄。
活性が高くなる乗っ込み盛期ならチヌが蹴散らしてくれるのだが、取材日はまだ2月。
木っ葉地獄の最悪な事態 。手を休めずヒントを探る。
「田辺エリアは、乗っ込み盛期の3月末ぐらいから50cm前後のいいチヌがよく釣れるようになりますよ」。
そう話す門野吉洋さんが船長のおまかせで渡礁したのは和歌山県田辺の湾内に位置するハダカという磯だった。
取材日がまだ乗っ込みのはしりである2月28日であったため、チヌの活性が低いという予想から底狙いをメインとする仕掛けを組むことに。
「オモリ負荷の大きい3Bのウキでドシっと狙いのポイントをキープさせますが、ハリスにはオモリを打たずにふかせながら底まで落とすイメージで釣ります」。
まずは道糸とハリスの直結部に2Bとジンタン2号をセットした仕掛けからスタート。ウキ下は底に合わせたタナ(ハリス2ヒロ半+遊動部を約50cm)に設定。
釣り座を北向きに構え、足元から25㍍ぐらい先まで張り出すシモリと、40~50mぐらい沖にあるシモリとの間に狙いを照準させた。
しかし、開始早々からサシエに元気よく飛びついてくるのは手のひらサイズの木っ葉グレのみ。毎投といっても過言ではないぐらい仕掛けがなじむ前に食いついてくる状況だった。
「一面木っ葉まみれですね。これは予想外ですよ」
門野吉洋(もんの・よしひろ):毎年、がまかつのG杯チヌに参戦しているフカセ師。チヌのホームグラウンドは和歌山県田辺、グレは見老津、口和深、串本大島。がまかつフィールドテスター。Kurodan所属。1974年生まれ。
足元からシモリが張り出しているため、遠投で狙っていった。舞台は田辺湾内のハダカ。足元から張り出すシモリと、沖のシモリとの間を狙っていく。
MONNO’s TACKLE & BAITS
ハリは、強度、硬度、耐摩耗性に優れた新素材である「G-HARD V2」を採用した軽量タイプのがまかつのチヌエースと、摩擦抵抗が少ないナノ・スムース・コートにより貫通性能を高めた短軸コンパクトフォルムの同丸呑チヌを使用。号数は2号がメイン。
門吉(もんきち)ウキと呼ぶ自作ウキを愛用。当日は遠投が必要なため、Lサイズの如柳SP・3Bを多用した。
マキエは生オキアミ6kgに、フグなどのエサ取り対策用にボイルオキアミを1.5kg、配合材はマルキユーのチヌパワーVSP、チヌパワームギSP、チヌの宿を混ぜた。サシエは、マキエと同化しやすいように活性起爆材・グレを混ぜた生オキアミをメインに、沈下速度を早めたいときはくわせオキアミスーパーハードを使った。
ロッドはシモリ付近を狙うため、パワーのあるがまかつのがま磯チヌ競技スペシャルⅣ・1-50を使用。「軽い上に細身設計なので風切りがいいし、操作性も抜群ですね。チヌが掛かれば竿全体がブレずにしっかりと胴が追撃をとめてくれるので安心して勝負ができます。」
20年以上も愛用しているというがま磯荷掛け。足場の低い田辺エリアではチャラン棒が必須。
チャンスは一瞬!狙いのタナから一気に引きずり出す
サシエの通るチャンスが突然やってきた。愛竿が美しく弧を描く。
チャンスは一瞬。狙いのタナから一気に引きずり出す。
マキエとサシエの投入点をずらしたり、西向きや裏向きに移動しながら策を取るが、あまりにも多すぎる木っ葉グレに歯が立たない状況。
「これだけ木っ葉まみれになるのも珍しいですよ。乗っ込みの盛期なら、これらを活性の高いチヌが蹴散らしてくれるんですけどね。木っ葉グレを満腹にさせて動きを鈍くさせるために多くのマキエを打ち込んでいましたが、この作戦も今日は通用しませんね」
気づけばそんな最悪の状況が4時間ほど続いたが、一向に手を休めることなく打ち返していく。
「ん? サシエが残りましたね。これはもしかするとチヌがマキエの中に入ってきたのかもしれません」。
すかさず先打ちマキエを3、4発打ち込み、仕掛けをかぶせるように投入。
すると、仕掛けがなじんだタイミングでウキがゆっくりとしもっていったのだ。
その瞬間にアワセを決めると同時に先ほどとは違う重量感が竿に伝わる。
チヌと確信した門野さんは慎重なやり取りで寄せにかかる。
そして海面に浮かせのは…。
「田辺にしては小さいですがなんとかやりました」。
手にしたのは40cmクラスの見事なチヌ。
サシエが通る一瞬のタイミングをものにした瞬間だった。
「新しくなったがまかつのがま磯チヌ競技スペシャルⅣは操作性がいいので遠投も楽にできますね」
「こいつはうれしいお土産ですね」。後半戦は45cmクラスのマダイが2尾釣れた。
マキエワークと仕掛けに変化をつけて連発!
マキエワークと仕掛けに。変化をつけて連発。
「マキエの中にまだチヌはいるはずです。ウキ下を浅くして少しマキエワークを変えてみます」。
チヌが少し浮いてきているという予想からウキ下を3ヒロにして狙いのポイントへ先打ちマキエを3、4発打ち込み、次にそこから5mほど右側へ木っ葉グレを動かすマキエを3発ほど打ち込む作戦を決行。
そして仕掛けを本命のポイントへすかさず投入。
この狙いが見事に的中し、良型の45cmと40cmオーバーを立て続けに追加。
しかし、サシエがチヌのいるタナまで通ったのはこのわずか数投のみで、その後は木っ葉グレがしぶとく当たってくる状況に。
「サシエが残ってくる数投をものにできるかどうかで勝負は決まります」。
しばらく木っ葉グレの猛攻に悩まされたが、チャンスが再び訪れたのだ。
「サシエが残りましたね。少し深いタナにチヌがいったかもしれないのでオモリを3Bに替えて沈めてみます」。
この作戦でラストに40cmクラスを追加。
「サシエの残る一瞬のチャンスでした。これほど木っ葉グレに悩まされたのは久しぶりでしたよ(笑)」。
並みの精神力なら、あきらめてしまうほどの悪条件だったが、竿を置くことなく打ち返し続けたことでサシエの通る数投に気づくことができた。
●交通:南紀田辺インターから阪和自動車道を下り、海岸線に沿って直進する。県道206号を通り、磯間のガソリンスタンドを過ぎてすぐ右折すると出船港がある。
●お問い合わせ:黒田渡船(電話番号:0739-25-1303)。出船は1番船が朝5時30分、2番船が朝7時から。終了時間は午後4時まで。料金は湾内磯が4000円、沖磯が4500円です。
ライター紹介
RYOSUKE HOSODA 細田亮介
全国展開の釣り専門誌『磯釣りスペシャル』『ちぬ倶楽部』『アユ釣りマガジン』をメインに活動するプロフェッショナルフォトグラファー。その他にもエクストリームスポーツの撮影やスタジオ撮影もこなす。大阪府在住。1986年生まれ。
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