憧れのヒラスズキ、沖磯という選択肢~とある磯師、初めてのヒラスズキとの遭遇~
荒磯の王者ヒラスズキ。 ルアーアングラーであれば、誰もが憧れ手にしたいターゲットに違いない。 だが、磯というステージで、しかもサラシが出ていることが条件となると、最初の1匹に…
FISHING JAPAN 編集部釣りに特化した専門チャンネル「釣りビジョン」のプログラム「G-WORLD」の第7回放送「高知県鵜来島 群青の海に巨大尾長を求める!」のダイジェスト版が、YouTubeの「gamakatsu movie」で公開されている。
鵜来島といえば60㎝オーバーの尾長グレが水面まで浮く磯釣りの一級エリアであり、食わせることも獲ることも容易でないグレの激戦区でもある。
映像内では、普段は「尾長がいれば釣りますよ、いればね」と、クールに言い放つグレ師が、最悪の状況に陥りながらも、リアルに釣りあげる一挙手一投足が余すことなく収録されている。
目次
「G-WORLD」は、がまかつが全面協力する「海や川、湖…、すべてのフィールド、全ての釣りジャンルに対し、最高のテクニックで記録魚に挑み続ける、その道を極めた釣り人を追う完全実釣ドキュメント」番組だ。
で、ここからは、スタッフの裏話。
レコードを狙うというテーマから、スムーズに終わるロケはほぼ皆無で、24時間近く現場に立ち続けることもザラだそう。
ちなみに、その番組の制作スタッフは、ボーズを礼賛し再撮もいとわないえげつない集団だとか・・・。
その第7回の主役は、西森康博(にしもり・やすひろ)。
高知県在住の59歳。
あのグレの鬼才と呼ばれる松田稔氏が愛(?)を込めて育てた文字通り愛弟子で、松田イズムの正統な継承者のひとりでもある。
また、このエリアで、でかグレ(60cmオーバーの尾長グレ)を最も多く釣り上げたともいわれるガチの磯釣り師だ。
その西森に課せられた命題は60㎝オーバーの、でか尾長だった。
舞台は、高知県西南部に位置するグレ師憧れの名礁、鵜来島の「水島の二番奥」。
宿毛市の片島港から、柴田渡船(電話番号:0880-65-6984)の快足をもってしても約1時間を要する絶海の孤島の雰囲気すらある水島群礁。
普段のこの時期なら、ひとたびマキエを撒けば食い気の立った良型尾長グレが上層で乱舞する尾長場。
また、見えるグレを釣る、他の磯では類を見ないサイトフィッシングによるグレ釣りという特異な釣り場となる。
4月上旬、午前5時10分に母港片島港を出発。
しかし、水島に着くなり、船長から「西森さん、水温17.8度」と告げられると、西森は苦笑い。
適温より低いのだ。
しかし、西森は「深こう(深いタナ)に(サシエ)を入れたら間違いが起こる・・・かもしれん」と自分自身を奮い立たせていた。
使用ロッドは師匠である松田が開発した胴で魚の泳力を受け止め、曲がり込むことで尾長を獲るスペシャルロッド「がま磯 マスターモデルⅡ尾長 MH5.0」。
針は「Mシステムタイプ尾長くわせ8.25号」。
掛けることよりも獲ることを優先した選択だ。
サシエの刺し方と鈎結びにこだわるのも松田流。
針と針の結び目を見破られないようにサシエであるボイルを丁寧に、さらに丁寧に針に付ける。
がまかつ(Gamakatsu) シングルフック Mシステム タイプ 尾長くわせ 8.25号 9本 オキアミピンク 67482
このエリアの尾長グレは食い気があれば上層へ上がってくるが、大型は幾多の危機を切り抜けたスレッカラシ。
マキエに偽装したサシエをいとも簡単に見破ってしまう。
ゆえにウキが沈むのを待ってからアワセても、野球でいう完全な振り遅れ。
ウキのわずかな傾きを察知しての超早アワセしか獲ることができない。
アワセが遅れ多少でもサシエを呑んでいようものなら、特徴である大きな尾ビレを一振りし根などへと転進。
そして鋭い歯でハリスを一瞬で切断し逃亡するスプリンターだからだ。
弁当船で訪れた船頭に西森は「なんも見えんぞよ」というと「水温は変わってないね。ただ、今から引き(干潮)に入るので頑張って」と船頭。
その言葉通り、今まで入れなかった釣座に前進できた。
しかし、上潮だけが流れて仕掛けがまっすぐ立たない。
そんな中、アタリが。
しっかりアワセると尾長グレらしき重量感。
その後、慎重なランディングの後ひと言。
「よかった、ボーズじゃなかった」
しかし、60㎝には届かない。
そのまま潮が上ずった状況で初回はタイムアップ。
2度目の取材は半夜釣りが始まった4月中旬、同じ水島の「2番のチョボ奥」で開始された。
すでにシーズン終盤で、これを逃すと後はない。
西森には非情な重圧がかかる。
使用ロッドは前回と同じ「がま磯 マスターモデルⅡ尾長 MH5.0」と「Mシステムタイプ尾長くわせ8.25号」。
最初は様子見で竿を持たず、マキエだけを撒く西森。
すると「今、結構(尾長グレが)見えらいたけど、こりゃ」と言う通り、マキエに浮く尾長が確実に見える。
しかし、アタリはあるが拾えない。
普段はめったに大きなリアクションをとらない西森が「きれいに(仕掛けが)張れちょったのになあ、今」と地団駄踏んで悔しがるシーンが続く。
そしてひったくるような大きなアタリが。
とてつもない重量感とラインを引き出すものすごい引き、これはでかい!!
間違いなく尾長。
耐える西森。
しかし、むなしく海面からウキだけが引き抜かれた。
「はずれた!!」
初回を含め総取材時間は50時間を超えた。
陽が西へと傾き迎船の時間まであとわずかとなった17時52分、クライマックスが訪れた。
「(グレが)出てないなあ」と言った刹那、ウキにわずかな兆しが。
「ふっしゃくっていったけど」と言いながらも確実にアワセてやり取りに入った。
海面に垣間見える巨大な魚体。
達人でも付き合いきれないとてつもないスタミナも持っていた。
「もう弱れよ」と西森がグレに願いを送る。
その願いが聞き届けられたのか、見事にタモ入れが決まった。
「入った!!」「いった!!」と仲間から歓喜の声が。
命題がクリアできたのか、運命の検寸。
そして…。
(文/がまかつ広報課)
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