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【へらぶな】ペレットの夏!若き名人が分かりやすく解説『釣れる人と釣れない人はここが違う』初級編【土屋ナオト】

FISHING JAPAN 編集部

若きへら師・土屋が40㎝オーバーのへらを狙って釣る。

釣り場は「釣り堀センター菊水」。

大阪と和歌山の県境に位置し、人気の釣り場だ。

「湧き水を利用していて、へらぶなをはじめ、コイやメダカの養殖事業も行っているので、水の状態や魚のコンディションには人一倍気を遣っている」

そう、「釣り堀センター菊水」の社長が説明してくれた。

そのかいあってへらの魚影が濃く、魚体も美しい。

それ以上に売りなのが、40㎝オーバーの巨ベラの存在。

「50㎝オーバーのへらぶなが50枚は入っています。また、最近は40㎝オーバーのへらぶなばかり、大量に放流しています」

釣り掘センター菊水にて40㎝オーバーのへらを狙う

ちなみに42㎝以上のへらぶなを釣ると、はちみつがもらえるというシステムがあり、好評を博している。

40㎝超えの大型から45㎝超の大型べらが間違いなくいる。

しかし、それ以上にアベレージサイズのへらが多く、活性も高い。

この釣り場を土屋はどう攻略するのか。

「休日はお客さんが多くて、上層や近場にアベレージサイズのへらが集まっています。その分、沖の深場に40㎝オーバーが溜まっているので、実は狙って釣りやすいです」

休日には満員になることも珍しくない「釣り堀センター菊水」。

人が多いと釣りづらいのかと思いきや、大型のへらに関しては狙いやすくなるという。

だが、この日は釣り雑誌の広告用写真撮影が主題であったため、平日でへら師はまばら。

「こうなると数を釣るのは簡単なんですが、40㎝を選んで釣るのは難しいかもしれません。上のタナにアベレージサイズ、底付近に40㎝オーバーという形で分離したいところですが、うーん、風景重視で釣り座の指定が浅場になっちゃいましたからね。うまく分けられるといいんですが」

事務所の近くは水深が4m以上あるのだが、桟橋の奥へ行くにしたがい浅くなる。

だが、桟橋の途切れた奥の景色が野池のようで気持ちがいい、というカメラマンからのリクエストで決めたポジションだった。

「底付近から始めて、徐々にタナを上げていく展開になる予定です」

そういってタナを2.5mほどにセットしたのだが・・・。

「あっ、底にエサが着いちゃってますね。だいぶ、浅い」

ウキの長さ分、タナを上げてリスタート。

「大体へらが寄り始めるまで15分くらいかかると思います」

最初は、ゆるめ・大きめのエサをセットし、手早くエサを切る。

このとき、ウキがしっかりなじむことも、合わせて確認しておく。

ウキのトップが沈むくらいまでなじむようなら、ハリにエサが残ったままタナまで落ちていることになる。

逆に、トップが水面から出たままちっとも沈まない、あるいはトップが徐々にしもりだして、なじみきる前にアタリもなく浮き上がってくる場合は、タナに入る前にダンゴがハリから外れている。

そのダンゴの硬さや粘りというか、ハリへの残り具合を見ておく。

へらが集まりだしてからでは、自然に落ちたのか、へらが触って落ちたのか分からなくなる。

当然、しっかり練り込んだ硬いエサならちゃんとタナまで届くわけだが、へらぶなのスペシャリストが、入念にタナまでエサが残っているか確認しなければならないということは、それくらいギリギリの柔らかさであり、ハリにエサが残ったままタナに届くかどうか分からないくらいバラケやすいものを常用しているということになる。

夏の40㎝オーバー狙いとくればペレットで決まり

さて、夏といえばペレットの夏である。

この日の配合は、
・ペレ軽    600cc
・BBフラッシュ  200cc
・グルテンダンゴ 200cc
これらを混ぜ合わせる。

次に、
・水300ccを入れて、3分放置。
・浅ダナ一本 200cc
最後に浅ダナ一本を足し、50回ほどざっと混ぜ合わせた。

この中でメインはペレ軽。

ペレットは魚粉ベースのダンゴエサで大型のへらが好み、比重が重くバラケやすい。

夏の大型狙いに適したエサで、5月のこの日、土屋は今年初めてのペレットエサのセレクトだった。

「ペレ軽はペレット成分が少し少ない。その分、軽い。夏が深まるにつれて、エサの重さを出したくなったら、ペレ軽からペレ道に切り替えます。ペレ道は、よりペレット成分が多いエサですね。でも、今日はたぶんペレ軽でいけると思います」

BBフラッシュはダンゴに芯を作り、ハリ持ちをよくする。

グルテンダンゴは落下中にバラケにくくする効果がある。

浅ダナ一本はダンゴを膨らませるために入れる。

竿は我楽17尺(がまかつ)。

ハリは2本ともリフト(がまかつ)の7号。

ハリスは0.5号、40㎝と50㎝。

道糸は1号。

ウキは忠相ネクストステージ11。

太めのボディで深宙専用。

ズバッと立ち、アタリを表現してくれる。

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名手のダンゴはハリに付けるのも難しいほど超柔らかい

へらを寄せるのに15分ほど掛かったとして、アタリが出てもしばらくアワセずに、群れを寄せるのだろうか?

「いや、アタリが出る=群れが寄っている証拠なので、アタリがあったら最初からアワセます」

ほどなくして反応が出始めたウキに、さっそくアワセるも、なかなか乗らない。

「まだ、魚がちゃんと寄っていないので、タナがバラケていますね」

その後、何枚かは乗せることができたものの、ウキの動きが不安定で、立つのが遅かったり、なじみの浅いところでアタったりする。

これではパターンには、ほど遠い。

そこでエサをしっかり目に付けて深めになじませると、しっかりとウキのトップが沈み込みツンというアタリが出るようになった。

ところが、このツンアタリを乗せようと試みるも空振りが続く。

「へらぶなをハリよりも下にだけ集中的に集めて、ウキが深くなじんだところで、へらが下から上に上がってきて、アタリが出るように調整するのが理想。とはいえ、硬いエサでは食い込みが悪いというか、乗らない」

今はまだへらがいろいろなタナにバラケていて、思うようなアタリが出せていない。

初心者であれば、ウキにアタリが出ればいいと思ってしまうが、名人は常に再現性のあるウキの動きを追求する。

「ダンゴがほどよくバラケて、ちょうどハリよりもひと回り小さくなったくらい。それくらいがイメージしているアワセを入れるタイミング。ちょうどハリ先がむき出しになっているときですよね」

ダンゴにハリ先が埋もれている状態では、アワセを入れてもハリ掛かりしづらい。

だから、常に同じウキのトップ位置でアタリが出るように、微調整を繰り返す。

狙いのタナに入るまでアタリが出ないということは、水中のへらの群れをひとつの層にまとめ、常にその層の上っ面ギリギリで口を使わせるように仕向けているということ。

そうなるとウキがほどよくなじんでいるときばかり、ウキに反応が出る。

今はまだ、ウキが立った瞬間からアタッたり、振り込んだウキがなかなか立ちきれなかったりしている。

「ウキが立ってすぐにアタッたり、なじみの浅いタイミングや深いタイミングでバラバラにアタるようだと、エサの硬さやハリスの長さを調整するのが難しくなる」

名手が釣れる理由のひとつに、へらぶなの群れのコントロールがあり、きちんと群れを意のままのタナに集めることができるならば、当然アタリが素直になり、アワセやすくなる。

これが釣れる人と釣れない人の差ではあるが、この群れのコントロールをエサのバラケ具合の調整ひとつでやってしまうのが名手の名手たるゆえん。

群れのコントロールの話が出たところで、そもそもへらがよく釣れる人と釣れない人を分ける最大の要素を聞いてみた。

「いわゆる名手と言われる方のエサ使いは、一般的なへら師の方と比べると幅が広く、状況に合わせて極柔な時もあれば極硬な時もあります。状況に合わせて判断しエサ使いの幅を持たせることが大切です。今日の状況で言うと硬いエサだと反応が悪い。タナでエサがぶら下がってしまうと違和感を感じてアタリにならないといった状況です。柔らかいエサである程度ゆっくりとタナに入れて反応させるとアタリが出る状況ですね。もう少し季節が進み最盛期になれば硬めでも反応しますが、そこまで水の中は季節が進んでいないようです」

ぶら下がって止まっているエサは警戒して口を使いづらい。

落下途中のエサには機敏に反応する。

カチカチでなかなかバラケないエサと、ぼそぼそであっという間に溶けきるエサ。

柔らかいエサがベストと判断した場合、振り込んでから5分も10分もエサが溶けるのを名人が待つことはない。

「そうすると、1投あたりの待ち時間が全然違うでしょう。名人は次々と投入するので、手返しが早く群れも寄せやすいし、群れの状態を維持できる。なかなか溶けないエサだと、アタリを出しやすい群れの状態まで持っていけない」

その結果、どんどん釣果の差が開いていってしまう。

実際、この日も一般のお客様と比較して土屋のペースは3倍以上であった。

柔らかいエサを振り込む時と落とし込む時

ただし、耳たぶとは比較にならないほど柔らかいエサを扱うとなると、振り込みが格段に難しくなる。

そのエサの振り込みには、振り切りと落とし込みがある。

振り切りは振り込んだ際に、竿からダンゴまでがまっすぐになるように、つまり可能な限り沖へ振り込んだ状態。

これは、斜めに張ったハリスが徐々に手前にくる形で沈下するため、ゆっくり落とすことができ、へらの魚影が薄い状況では多用する。

ゆっくり落としたほうがチャンスも多く、毎回これだけでもよさそうに聞こえるが、必ずしもゆっくり落とすことだけが正義ではない。

一方、落とし込みはウキが立つ場所にエサを着水させる方法。

先にエサを着水させエサの上にウキも重なるように、同じ位置に落とす。

そうすると仕掛けは斜めに水を切ることなく、まっすぐ沈下するので、速い沈下速度が期待できる。

また、振り切らないので衝撃が小さく柔らかいエサでも、ハリから外れることなく落とすことができる。

魚の活性が高く魚影が濃い中で、下の層へ柔らかいダンゴをいち早く入れたいため、この日の土屋は落とし込みを多用していた。

柔らかいエサの表面だけを硬くしてバラケ具合のタナコントロール

なじみきるギリギリの柔らかいエサを付け、アタリは小気味よく出るものの、今いちペースに乗れない。

着水直後からバラけるエサに上層のへらが反応してしまい、ウキのなじみが悪い。

かといって、こねる回数を増やし硬めにエサを付けると、しっかりとウキが毎回なじみトップが水面の手前まで沈み込んだうえでツンッというアタリが出て乗らない。

柔らかいエサのほうが正解だが、柔らかいまま下のタナまでエサを持たせなければならない。

どうすればいいか。

「柔らかいエサをハリに付けてから丁寧に形を造り込む」

突然、上で触っていたへらのアタリが消え、ウキが深くなじんだところで、ズンときれいなアタリが出た。

そして、ここからは先ほどまでの苦戦が嘘のように土屋は掛けまくった。

いったい何がかわったのだろう。

「硬いエサは嫌われる。では柔らかいエサをいかにタナに届けるか。この場合、着水直後からバラけると上層のへらに捕まってしまっていたので、上層ではバラケずに中層からバラけるようにエサの付け方を調整しました」

?????

「あ、えっと、柔らかいエサのままハリに付け、そのあと丁寧に表面の形を整えると、中はふんわり、外はカリッとしたエサになります。そうすると着水直後は、表面が硬いのでバラけず、一定時間が経つとバラけ始め、タナに入る頃には柔らかいエサがほどよくバラケているという計算ですね」

ダンゴの内と外で硬さを変える二重構造。

これだけでアタリの素直さが全然違う。

「ただ、これ、エサを付けるのに時間がかかるでしょう。手返しが悪くなるので、最後の手段というか、あまり積極的には採用したくなかったというか、できれば中まで硬い仕様で素直にアタッてほしかった」

このエサで連発はするものの、サイズはアベレージサイズ。

「魚が多いんですよね。硬めのボソいエサで上下の分離をやってみようと思ったんですが、この魚の量と水深では難しいかもしれない。数に混ぜるしかないかもしれませんね」

とはいえ、ここからは圧倒的なハイペースで釣りまくった。

その中にいいサイズが混じる。

36㎝、38㎝・・・。

「あ、これは、届いたんじゃないかな」

41.3㎝。

ものの1時間かそこいらで目標を達成してしまった。

群れをコントロールし、パターンを導きだし、40㎝オーバーも混じり、あとは量産するだけ。

土屋に気合いが入る。

というタイミングで、カメラマンから場所移動のオーダーが入った。

最終的に40㎝オーバーを追加することは難しかったものの、この日は3度の場所移動をはさみながらも、パターンを捕えた土屋が、都度ハイペースな展開に持ち込むことができた1日だった。

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