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Mother Lake Biwa 荒ぶる琵琶湖への挑戦 がまかつフィールドテスター・松本博明と「がまへら幻煌天」
僕の戻れる場所、「Mother Lake Biwa」。
今年もまた、琵琶湖に春がやってきた・・・。
昨年は琵琶湖水系の日野川最下流で、幸運にも1枚をモノにできた本取材。
今年はさらにハードルを上げて、いよいよ本湖にチャレンジしてみたい。
もちろんオデコは覚悟の上。
でも、読者のみなさんに琵琶湖本湖ならではの豪快な釣りを伝えたい。
そんな想いで久しぶりに訪れた彦根新港。
迎えてくれたのは、これ以上なく荒ぶる琵琶湖だった・・・。
琵琶湖とともに
小学生の頃の遊びといえば、ファミコンにガンプラ、キン消し、ビックリマンシールなどなど、競うようにレアなものを集めて見せ合ったりすることが大ブームだった。
僕も全く興じなかったわけではないが、学校が終わると自転車に竿と自家製のエサを積み、そそくさと琵琶湖へと釣りに行く。
休日は親父の車に乗せてもらい、普段自転車では行くことができない遠くのポイントへと釣行する。
友人にも母にも先生にも、さぞかしそんな僕は「変な子供」に映っていたに違いない。
その習慣は中学になっても変わらず、高校になって自転車がバイクに変わっただけだった。
社会人になっても車を運転するのが親父から僕に変わっただけ。
常に僕の傍らには「琵琶湖」が広がっていた。
元来「へら鮒釣り」には変な先入観みたいなものがあって、グラスロッドと数本のグニャグニャに曲がった手製のウキでの釣行が主だった僕にとっては、ちょっと敷居が高く感じられていたかもしれない。
しかし、いつの頃からか、狙っているわけではないが、時折釣れてくる白く美しい体高の鮒に心惹かれるようになっていた。
現在のように琵琶湖護岸が綺麗に整備される前だったこともあり、もっと「ヨシ場」が点在していて、流入河川ひとつとってみてもコンクリートで覆われていなかったので、ある意味自然むき出しの荒々しい「琵琶湖」が当たり前であった。
親父にも常に「風向かいを釣れ!」と言われるくらい「うねり」を伴った釣行が多かったし、今でこそ笑われるような超ロングトップのウキを当たり前のように多用していた。
当然へら台は2段構え。
バカ長を履いて1日中本湖を攻めた。
今思えば懐かしい、いい思い出である。
2022年。
またああいう荒々しくもダイナミックなへら釣りができたらいいなぁ・・・と思い耽っていた折、10年来竿を出していない「あるポイント」が頭をかすめた。
「よし、1回行ってみるか」
釣果情報があったわけじゃなく、いつも通りの思いつき釣行だ。
地球温暖化の影響かどうか分からないが、年々琵琶湖のへら鮒釣りも釣れるタイミングが早くなってきている。
3月上旬から4月中旬に昨年取材で訪れたような流入河川にて「乗込みの釣り」が体感できるようになった。
以前なら3月末から4月下旬といった感じで、約半月ほど早まってきている感がある。
おまけに今回の釣行はゴールデンウィーク真っ只中。
人、人、人で溢れかえっていないか?
そもそも「立入禁止」になっていないか?
不安を抱いて4月30日、現地である彦根新港湾「大突堤」へと向かった。
6時30分、現地に到着。
釣り人らしき車がすでにたくさんいる。
様子を見ていると、どうやら小鮎狙いの釣り人のようである。
ふとポイントである大突堤を駐車場側から見てみると、びっくりするくらいの大波が防波堤を超えているではないか。
そのさまは、まさに「松竹東映映画」のオープニングのような雰囲気である(笑)。
とてもじゃないが危険である。
風速を調べると、なんと「12m」。
普通に考えて釣りどころではない。
しばし車で待機し、風が収まるのを待つ。
ようやく風が少し弱まった頃、意を決して波がかぶるアーチをくぐり抜けるように大突堤のポイントに向かう。
駐車場で感じていた暴風とはうって変わり、岸を向くポイントは背後のコンクリの壁が高いおかげでかなり穏やかだ。
地元の御仁が先に入られていたので挨拶を交わし、準備を整える。
◯竿:がまかつ【がまへら幻煌天(げんおうてん)】21尺 軽量かつパワフルな調子がお気に入り。独特な「八角握り」によってフィット感も秀逸。疲れ知らずで釣りに没頭できる ◯タナ:ウキ~オモリ間約3m ◯道糸:1.0号 ◯ハリス:上下0.5号 50-63㎝
◯ハリ:上下がまかつ【改良ヤラズ(金)】6号 琵琶湖に来ると、懐かしい思い出とともに「改良ヤラズ」を使いたくなる。子供の頃から僕はなぜか「金」がお気に入り。その理由は、純粋に「カッコいいから」だったりする(苦笑)
◯ウキ:ディテール【キロフィッシュ】(グラスムクT26㎝ 羽根B16㎝ カーボン足9.5㎝ エサ落ち目盛は全12目盛中、3目盛沈め)◯エサ(両グルテン):グルテン四季50㏄ 、凄グル50㏄ 、水100㏄
暴風が弱まり始めた8時まで待機したため、エサ打ち開始は8時半。
まだ風は残っているが、防波堤のおかげでなんとか釣りにはなりそうだ。
流れも弱いので、バランスの底釣りで攻める。
ただベッタリ底に着けるというよりは「下バリトントン」くらいの軽めのタナでやるのが琵琶湖の特長だろうか。
本湖は久しぶりだから偉そうなことは言えないが・・・。
先釣者3名の方々もまだアタリはないとのことで、のんびりと琵琶湖本湖の雰囲気を楽しみながらエサを打ち始める。
追い風なのと、力強い「幻煌天」の振り込み性能のおかげで、送り込みで楽にエサが飛んでいく。
ただし、水面までかなり高いので、振り込んだ後で竿掛けに置く時、竿を落とさないように注意が必要(苦笑)。
やっぱり、琵琶湖本湖はいい。
小鮎狙い、そしてオカッパリのバスマンたちで大賑わいの彦根新港。
対面では若い2人組が59㎝のバスを釣りあげ、狂ったように歓喜の叫び声をあげている。
遠目に見ても口の中に拳が入るくらいの凄い魚だ。
きっとGWの最高の思い出になったに違いない。
こちらのほうはまったくウキが動かないまま、静かな時間が流れた・・・。
これぞ本湖の生命感
先釣者の方曰く、「今は完全な乗っ込み後の一服状態で、かなり厳しいよ。ただ、出ればいいへらだよ」とのこと。
「出ればいいへら」の言葉に勇気をもらい、テンションを高く保ってエサを打っていく。
流れはほとんどないが、時折ドンブラコと水全体が動くような「うねり」が出る。
やはりここは本湖なのだ。
10時を過ぎると頻繁に観光船が稼働し始める。
これはチャンスで、通過した後は魚が刺激されて一時的に食いが立つことがあるので集中する。
しかし、ウキは動くことなく時間だけが刻々と流れる・・・。
前日は雨風の大荒れの天気。
そして朝には雨はあがっていたものの暴風。
そして時間が経つにつれて風は嘘のように弱まり、今はもう後ろを向いて本湖を狙っても釣りになるほどだ(実際は防波堤が高すぎて竿を出せないが)。
昔は下から金魚藻がたくさん生えていて、その藻面を宙釣りで釣るのが主流であった。
高さのある堤防なことと、沖目によい藻が多かったので、とりあえず長い竿を欠かさないようにしていた。
アタリはないが、本湖で長竿を振るのはとにかく気持ちがいい。
まるで夏のような青空が頭上に広がり、GW独特の活気もあいまって、思わずこんな素晴らしいシチュエーションで釣りができる幸運に感謝してしまう。
無心でエサ打ちを繰り返す。
タナも上下し、下バリトントンを基本に時にはベタ底に、そして時にはタナを切って打ってみたりする。
ただそれだけで、たまらなく楽しい。
あの頃のように・・・。
いろいろいじって下バリトントンに戻した11時ジャストのことだった。
なんの前触れもなく、いきなり「カチッ」とアタリ。
これは空振ったが、次投で同じようにアタリ。
確かなアワセの手応えとともに、青い空に「幻煌天」が大きな弧を描いた。
強烈な引きにあがってきたのは・・・。
40㎝を超える立派なマブナだった。
本命ではないが、「生命感」がとにかく嬉しい。
さらにテンションをあげて打った次投も鋭くアタり、さらに大きい丸々と太ったマブナ。
これぞ本湖の生命感。
「次こそは!」と、アタリに集中し、逃すことなくアタリを取り続けるも、マブナ、ニゴロブナ、ニゴイの子(マジカ)、合べら(ヒワラ)、ヒガイ、モロコ・・・。
まさにさまざまな魚種がアタリと引きをともに楽しませてくれるのだった。
これぞこれぞ本湖の生命感
後から思えば、この日はまさに「11時時合」だった。
僕が巨大なマブナや合べらと格闘していたその時、近くに入っていた友人が立派な「本命」を仕留められた。
僕もアタリはもらっているし、タナも底から宙までいろいろ試している。
でもなぜかへら鮒だけが釣れない(笑)。
まぁ、よくある状況である。
へら鮒がまったくいないわけではなく、いるのだけれどもなかなか釣れない状況なのだ。
聞けばその方は僕とは対照的に、ウキの動き自体はまったくないという。
突然の1回のアタリで1枚。
面白いものである。
快晴無風。
最高の釣り日和となった午後も諦めずに細かなアタリを拾い続けるも、やはり少しへら鮒とは違う魚が続く(泣)。
でもアタリの多さ、その引き味は、野生味あふれる野の琵琶湖本湖の釣りそのものに違いない。
するとどうだろう。
15時、再び隣の友人が2回目のアタリで2枚目を仕留める。
泣き40の、素晴らしく体高の張った素晴らしく羨ましい魚体だ(涙)。
結局、夕陽が湖から消えるまで頑張ったが、残念ながら今回はへら鮒と出逢うことは叶わなかった。
いやぁ~でも最高に野性味あふれる環境と強烈な引き!
そしてほどよい日焼けのヒリヒリ感と相まって、なぜか懐かしくとてもやり切ったような満足のいく釣行となった。
時が経てば景色や釣り人が変わっていくのは当たり前なはずなのに、脳裏に焼き付く甘酸っぱい「思い出」と、へら鮒釣りを始めた当初のドキドキ感、熱さが蘇ってくるような気持ちになれた彦根新港湾の釣行。
最後にひとつ加筆したいのが、地元のへら師さんがたのマナーが素晴らしく、ゴミひとつ堤防にないのが証拠で、大切に大切に釣り場を育み、見守ってこられている状況に頭が下がる思いだった。
この先10年、いや20年経っても、変わらぬ琵琶湖、そしてへら鮒に逢えるよう、僕も楽しみながらまた挑戦していこう!・・・と思わせてくれた忘れ難き1日になった。
そしてまた、来年・・・。
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