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FISHING JAPAN 編集部日本で古来から行われてきた渓流釣りには、二つのタイプがあります。
ひとつは川虫やイキラなどのエサを使った、オーソドックスなエサ釣り。
もうひとつは陸生昆虫や水生昆虫を模した毛バリを使う擬似餌釣りです。
昔から毛バリ釣りが盛んだった木曽地方では、この擬似餌釣りをテンカラ釣りと呼びました。
では、「テンカラ」とは一体どういう意味なのか、みなさんご存じでしょうか?
実はこの「テンカラ」の語源を巡っては色々議論されてきましたが、結局これだ!という結論は出なかったそうです。
何度打ち返してもなかなか釣れないので「てんからあかん」「てんでなっとらん」から生まれた説。
毛バリを打ち込む動作が、鍛冶屋の鉄を打つ動作に似ているため、トンカラ、テンカラと鍛冶場から聞こえる音をもじって生まれたのがテンカラという説。
さらに10回打ち込んでも釣れないので、十空(十をテンと読ませてテンカラ)という珍説もありました。
そもそも木曽地方の山深い里で誕生したといわれているテンカラ釣りは、山人の鋭い観察眼によって誕生したそうです。
釣り好きの山人が、日没後たそがれが近い時刻、渓流沿いの林道を歩きながらふと川面を見ると、盛んに飛び交う羽虫を狙って渓魚がジャンプを繰り返している様子を見つけました。
あの魚を何とかして釣る方法はないものだろうかと、試行錯誤を繰り返しながら考えついたのが和式毛ばり釣りだったと言われています。
初期の毛ばりはゼンマイの綿毛を胴に巻き、小鳥の羽などを拾ってきて昆虫の羽を作り、何となく昆虫に似せた毛ばりを作り出したようです。
さらにテンカラ釣りのラインは、馬素(ばす)とも呼ばれるように昔は馬の尻尾の毛を何本もより合わせ、先端に行くほど細くして、鞭のようなラインを作りました。
この鞭のしなりを利用して毛ばりを遠くへ飛ばしたのです。
十空(テンカラ)という珍説があるように、流れを読み、狙ったところへ10回打ち込んでも釣れないこともあります。
しかし、それぐらいのことでは諦めず、陸生昆虫がいかにも自然に水面に落ちたように演出し、さらに、その後は毛ばりを水面に浮かべたまま流していったり、逆引きしてみたりと色々なテクニックを使って渓魚を釣り上げたのです。
テンカラ釣りの醍醐味は、昆虫に似せた毛ばりをいかに本物らしく見せて魚を釣り上げるかにあります。
今回はテンカラの語源やどういう経緯でテンカラ釣りができたのか見ていきましたが、これはテクニックが必要な実におもしろい釣りなのです!
一度体験してみてはいかがでしょうか?
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