グレの写真

【グレ40cm級連発!】決め手のハリ使いを実釣解説~三重県紀東・白浦~

前岡正樹

好フィールドが並ぶ紀東エリアの中でも、良型グレが特によく釣れる渡船区として近ごろ注目を集めているのが白浦である。

その白浦のポテンシャルの高さを改めて認識できた釣行の様子をレポート。40㎝級連発を呼び込んだハリ使いのノウハウもぜひ参考に!!

前岡正樹(まえおかまさき)Profile

1974年生まれ。

三重県尾鷲と静岡県南伊豆がホームグラウンド。

第38回G杯争奪全日本がま磯(グレ)選手権で優勝。

オモリを多用した半遊動仕掛けから軽い仕掛けまで幅広く使いこなす。

がまかつフィールドテスター。

良型グレが続出の魅惑のフィールド、紀東・白浦

三重県南部の紀北町にある白浦は、尾鷲をはじめとした超実績場を有するエリアの中にあって大型のグレが近ごろよく上がる釣り場として注目を集めている。

この渡船区は、小さな独立磯が主体となる、まさに磯釣りの雰囲気がある反面、磯数が少ないぶん天候が少しでも荒れると渡礁できないリスクがある。

それが、幸か不幸か、他の渡船区に比べて竿を出せるチャンスが少ないことが魚影の濃さの維持に繋がっており、大型がコンスタントに出る要因の1つになっているのだと思われる…。

主な磯は、港を出てすぐのところにあるダイヤをはじめ、中の瀬、ナギの日にしか乗れない低くて小さな三ツ石、最も沖にある黒岩本島と黒岩のハナレとなる。

いずれも思うような潮が流れずに釣り座から釣りづらいこともあるが、潮が動いたタイミングで正しい位置に仕掛けと撒き餌が入ればグレが反応してくれることが多い。

そのように素直な一面があるのも白浦の特徴の1つといえるだろう。

そして、タナが深い傾向にある紀東エリアにありながら、撒き餌を拾う良型グレの姿をたびたび見ることができるのも白浦の魅力である。

条件が揃えば効率のよい型物の数釣りを楽しむことが可能だ。

そのように良型が釣れるチャンスは各磯にあるため、どこへ渡礁するかを決めかねる私はいつも船長に選定をお任せしている。

ちなみに、昨年はコロナ自粛の影響で8月に入ってからの釣行となったが、52.5cmを釣り上げることができた。

紀東でありながら白浦のグレは浅いタナも意識

今回、船長のお勧めで渡礁したのは黒岩本島のボーグイ。

黒岩本当は白浦の磯の中で最も大きな島だが、人気はさほど高くはない。

その中にあるボーグイは荒れたときの逃げ場的なポイントという位置づけだが、今年に関しては尾長グレ混じりで好釣果が続いている。

釣行の写真

今期に関しては尾長グレ混じりで好釣果が上がっている黒岩本島のボーグイ。

近隣の尾鷲ではグレが抱卵している関係か、仕掛けを磯際から少しでも離すとアタリが得られない厳しい状況と聞いていた。

となると、重めの遊動仕掛けで深場を狙うのが常套手段だが、1年を通してグレが浮くことが多い白浦にはおいては一考が必要で、固定観念を持った釣りでは魚を逃がすことになりかねない。

刺し餌が速く沈まない釣りで40cmをキャッチ

久しぶりに訪れる白浦。

前回に釣行した尾鷲で43cmを仕留めた磯際の深ダナ狙いで釣りを開始する。

ところが、2Bのオモリを用いて狙った磯際には予想以上に多くの餌取りが湧いていて釣りにならない。

キタマクラが上から下まで広く動きながら餌を拾う状況とあってボイルの刺し餌でも手を焼くほどである。

それならと撒き餌と離すと、一転して刺し餌には何の変化もない沈黙状態に…。

エサの写真

餌取りの活性が高い状況とあってボイル沖アミの刺し餌をメインに使用した。

少し冷静になって20mほど沖を見ると、うっすらとした潮目が目に入った。

海中では何らかの変化があるのかもしれない。

そう思ってハリスを1.5号へとサイズを落とすとともに、01浮力のウキを用いた軽い仕掛けにチェンジ。

刺し餌と撒き餌が同調するように狙うと、すぐに30cm前後のグレがヒットした。

グレの写真

20mほど沖に見える潮目に仕掛けをなじませ、撒き餌と刺し餌の同調を意識して流す。狙い通りに釣れたのは白浦では小ぶりといえる30cmクラスだった。

餌取りの猛攻がやや落ち着くとともに、グレが浮き始めたと感じられるいい傾向だが、潮が沖から磯へと当ててきたのはうれしくない。

そんな中、左手前へ流れる潮が速くなるタイミングで、正面に見えているシモリから払い出すサラシとの間に大きなヨレが出現した。

「食いそうな雰囲気だ」。

しかし、撒き餌と仕掛けを同調させながら沈めてみるが、反応はない。

そこで、ウキを01から余浮力のある0に変更。

刺し餌が潜り潮に引っ張られてもウキ自体はジワジワとしか沈まないように調整すると、吸い込まれるようなアタリがでた直後に竿が絞り込まれた。

釣行の写真

仕掛けがゆっくりと沈むようにラインのテンションを調整しながら流していく。

しっかりと竿を曲げてくれたのは待ちかねた40cmオーバーの口太グレ。

やはり撒き餌の上からゆっくりと落ちる刺し餌に反応しているようだ。

それならと、撒き餌を打ってから軽い仕掛けを振り込み、速く沈まないような釣りを実践。

これが功を奏して潮が緩むまでに40㎝前後までを連続でキャッチした。

釣行の写真

手応え十分の引きで上がってきたのは・・・!!

釣行の写真

待望の40cmオーバーの口太グレ。

違和感を抑えるハリ使いで良型グレが連発!!

ひとたび潮が緩むとアタリがまったくなくなった。

そこで、対策としてまずはハリスを1.25号へ変更。

これで35~40cmまでをポツリポツリと追加できたが、しばらくすると刺し餌が取られない状況に…。

このようなときは「同じ仕掛けを同じ場所に3回以上振り込むな」と、昔から師匠の横井公一さんにいわれていた。

竿を置いてご飯を食べるなど、休憩するのもいい案だが、不器用な私はそれができない(笑)。

そんな私が考えたのが「異なるハリを試すこと」である。

食い渋り時はハリの重要性を試してみる貴重なチャンスだからだ。

グレの写真

コンスタントに良型がヒットしていたが、時間を追うごとに反応が鈍化。しだいに刺し餌が取られなくなった。

釣れなくなればアプローチを即変更

池のように変化のない潮が緩んだ状況では、グレはゆっくりと横泳ぎするため、少しの違和感でも気づきやすいといわれている。

この場合、違和感(抵抗)を小さくするためにウキを沈め気味にするのがよいはずだが、速く沈下する刺し餌に見向きもしない状況とあって反応はない。

逆にウキを浮かせて釣るとアタリはあるが、ウキが少し沈んだところで止まるだけで食い込みにはいたらず、刺し餌は変化のないまま戻ってくる。

潮が緩んだことでグレはどこかへ行ったのだろうか?

ウキを沈めるのは餌取りの仕業なのだろうか?

見えない水中のこととあって想像の域を出ず、ポイントを変えるかどうか判断が難しいところだ。

水温が急に変化した影響で朝からどこを釣っても無反応という状況であれば、グレが居場所を大きくかえている可能性は大いにある。

だが、それまで釣れていたのであればいなくなったとは考えにくい。

近辺にはいるのに食わないだけだと考え、アプローチをかえて狙い続けることにした。

小バリの使用が奏功して45cmがヒット!!

私の経験から導き出した困ったときのアイデア①。

「まったく反応がないときはダメ元でもいいのでハリを小さくする」というもの。

以前は3号まで落としてダメなら諦めていたが、小バリでも実用的なアイテムが出ていることから近ごろはさらに小さなハリを使うこともある。

小さなハリを使うにあたり、グレを掛けたときにハリが伸びたり折れたりしやすくなることへの対策として、竿を反発の弱い0.75号に変更。

その上で、がまかつのグレバリの中で最も軽いファイングレ2号を結んで投入した。

ファイングレの写真

食い渋りが見られたときに出番が多くなる軽量かつ繊細なハリ、がまかつのファイングレ2号に変更した。

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すると、さっきまでの沈黙がウソのようにウキが派手に消し込まれるとともに、竿先が海中に入った。

うれしくてニヤつくほど強烈な締め込みを味わいつつ、底への張りつきに対処しながら浮かせたのは本日最大の45cm!!

まだ産卵していないのか厚みのあるきれいな魚体が印象的なグレだ。

グレの写真

繊細なハリの強度をフォローするために使用した0.75号のロッドを綺麗に曲げながら上がってきたのは当日最大の45cm!!

その後も潮が緩んだタイミングにもかかわらず、ウキが消し込む状況が続く。

やはり2号のハリが効いているのだろう。

ところで、2号のハリで40cmオーバーが取れるのか?と思われる方もおられることだろう。

その点については、スッポ抜けないようにしっかりと飲み込ませ、魚が走りだしてからゆっくりと竿に乗せるような無理のないやり取りをすれば大丈夫。

それでファイングレの2号でも40cmオーバーが十分に取れるものである。

ちなみに、食いをよくするということではハリスを細くするのも一手である。

ただし、ターゲットが40cmオーバーであるなら状況が悪くても1.25号以下にしないのが賢明だ。

タックルバランスがマッチしており、ゆっくりとしたファイトを展開すれば2号のハリでもこのクラスをキャッチすることが可能だ。

難攻ポイントを攻略!! 良型グレをさらにキャッチ

やがて2号の小バリで狙うパターンでも反応が鈍ってきた。

釣られたことで暴れる仲間を見た周囲のグレの警戒心が高まるからか。

そんなときの私の経験から導き出した困ったときのアイデア②。

「他の人が敬遠するポイントを狙う」。

今の状況であれば、釣り座の右手から遠くにまで伸びる浅い沈み根の向こう側の落ち込みが狙い目だ。

おそらくウブなグレが待ち構えているはずだ。

さらなる釣果を求めて選んだのは大きな沈み根の向こう側。人が手を出さないポイントには食い気のあるグレがいると考えてのことだ。

迎えまでの残り時間は30分。

掛かった魚を根から引きずり出せるように竿を1.5号にチェンジ。

そして、根回りを攻めるには1.5号の道糸では心許ないため、根ズレ対策として2.25号ハリスを10㍍取って直結。

そこへウキを通してから強度と貫通力に高い信頼性がある、がまかつ・掛りすぎ口太の4号をセットしてアプローチを開始。

掛かりすぎ口太の写真

ハリは強度と貫通力に優れた、がまかつの掛りすぎ口太4号を使用した。

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根の向こう側に入れたウキがゆっくりと沈んで見えなくなり、そろそろ棚の落ち込みに刺し餌が到達したと思ったころだった。

根掛かりを覚悟しながらじっと我慢していると、クッ、クッ、クッと竿先が引き込まれた。

まずはグレを怒らせないように竿の柔軟性を生かしながらゆっくりと浮かせにかかる。

そして、手前へと寄せて底が切れてからはグレの顔を絶対に下へ向けさせないように竿をしっかりと絞り込む。

そうして浮かせてキャッチしたグレは立派な40cmオーバー。

水面下に姿を見せてからも執拗に突っ込む元気のよさは梅雨グレさながらであった。

釣行の写真

根がキツいポイントとあって底を切ってからは強引なやり取りで対応した。

釣行の写真

キャッチしたのは40cmオーバー。狙い通りに仕留めた1匹とあってうれしさはひとしおだ。

40cmオーバーは朝から数匹釣っているが、難しいポイントで思い通りに攻略できたとあって楽しさは格別だ。

気分のよいまま「あと1匹!!」と思って仕掛けを振り込むと、撒き餌が再び効き始めたようですぐにアタリがでた。

そして、玉網に収まったのはまたしても40cmオーバー。

難しい局面の攻略はグレ釣りならでは。

また、白浦のポテンシャルの高さを改めて認識できた1日だった。

とりあえずグレ釣り最高!!

グレの写真

終わってみると、45cmを含む40cm級を複数キャッチ。白浦のポテンシャルの高さを再認識できた釣行となった。

■タックルデータ
竿:がまかつ・プロト0.75~1.5号
リール:LBタイプ2500番
道糸:ナイロン1.5号
ウキ:円錐タイプ01~0号
ハリス:フロロ1.25~2.25号
ハリ:がまかつ・掛りすぎ口太3~4号、ファイングレ2~3号

■インフォメーション
世古渡船
電話番号:090-1091-5315
三重県北牟婁郡紀北町の白浦漁港より出船。

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前岡正樹

前岡正樹

1974年生まれ。三重県尾鷲と静岡県南伊豆がホームグラウンド。第38回G杯争奪全日本がま磯(グレ)選手権で優勝。オモリを多用した半遊動仕掛けから軽い仕掛けまで幅広く使いこなす。がまかつフィールドテスター。

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