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船カワハギで竿頭を取りたい人に朗報! 竿選びが重要な3つの理由
船カワハギは、古くから関東方面で競技としての釣りが発展し、近年ではエリアが広がってきている人気の釣りだ。
関西でも古くは天秤を使った釣りなどが定番であったが、胴突き仕掛けで餌にアサリを使い、数多くのカワハギを掛けていく、いわゆる競技性を意識した釣り方を好むアングラーが増えてきている。
古くは和歌山・日ノ岬沖などで競技スタイルで数を競う大会が始まり、加太沖や明石海峡周辺、徳島県南部などでも、カワハギの大会が開かれるようになってきた。
どんな釣りでも良い釣果を得たい…というのはもちろんだが、カワハギ釣りに関しては、大会に出ることがない釣り人の中でも、「人より1尾でも多く釣りたい」、「船中トップを取りたい」といった意識を強く持つ人が増えているのは事実だ。
テレビ大阪系列で毎週土曜日の午前6時50分から放送している釣り番組「フィッシングDAYS」のロケで、今回は淡路島・土生港から出船して沼島周辺でのカワハギ釣りに、関東のカワハギ釣り名人である三石忍さんと鶴岡克則さんが爆釣劇を演じてくれた。
そんな2人の釣りから、より良い釣果を得るための方法として、状況に合わせたロッドチョイスだけでも、釣果を大きく伸ばすことができる…とのコツをレクチャーしてくれたので紹介してみたい。
目次
まずは仕掛けについて 3本鈎の意味を考えてみよう
「カワハギ釣りは一般的に胴突きで3本鈎を使いますよね。3つの鈎それぞれに役目を持たせて、鈎の形状やハリスの長さなどを設定しておきます」と話してくれたのは鶴岡克則さん。
仕掛けの3本の鈎には、それぞれ役割がある
鶴岡さんのカワハギ釣りの基本スタイルとしては、活性が高く浮いているカワハギが居るかもしれない…と考えて、まずは宙(中)層を探り、徐々に仕掛けを下ろしながらアタリを出させていく。
竿いっぱい上げた状態から下げていくイメージだ。
竿を上げた状態から誘い下げていく
また、得意とするキャストからの誘い上げ、カーブフォールで広範囲に探る釣りでも、カーブフォールで仕掛けが下がっていく途中の反応を探ることが多いという。
下げていく途中で触りなどの反応があれば、海底からオモリまでの距離でタナをイメージしておく。
そこで、まずカワハギとコンタクトするのがもっとも下の鈎。
ここに使うのは早掛けが可能なタイプの鈎。
がまかつの「競技カワハギ 速攻」などがこれに当たる。
ロケ日のスタートでは、比較的大きめの4.5号でハリスは6㎝をチョイス。
これで掛からなければ次は真ん中の鈎。
ここには「競技カワハギ くわせ」の4.5号でハリスは6cmを使う。
理由としては、このくわせタイプはカワハギがエサを鈎ごと吸い込みやすい設計なので、口先で突いてきて「速攻」タイプの鈎に掛からなかったカワハギに鈎を吸い込ませるのが目的。
ただ、それでもアタリがあるのに掛からない時は、カワハギの活性が低く吸い込みが弱いか、エサを食べる速度が遅い、警戒している…などの理由が考えられる。
そこで、最後にコンタクトする鈎には、同じ吸い込みタイプの「競技カワハギ くわせ」の4.5号で、ハリスを10㎝とする。
鈎の形状にもそれぞれ違う役目がある
この10㎝ハリスはカワハギがエサを吸い込む際に、フリーに動ける幅を増やすことで、より違和感なく吸い込んでくれるという寸法だ。
1つの仕掛けの中で、違った役割を持たせた3本の鈎を設定しているのが、鶴岡さんのカワハギ仕掛けである。
竿選びが重要な理由その1 状況によって竿にも得意と不得意がある
釣り始めはどんな状況で、どの竿から始めるか…
カワハギのオーソドックスな釣り方として、オモリを海底から浮かせた宙層の釣り、オモリを着底させた状態で張らず緩めずの状態でアタリを出させるゼロテンションの釣り、さらにラインを緩めたマイナステンションの釣りなどがある。
もちろん、これはアタリを出させるための状態であって、そこに至るカワハギを集めるためのアピールはまた別の話だが…。
「穂先が軟らかい竿だと、オモリを浮かせた状態で仕掛けを動かそうとしても、竿が曲がり込むことでイメージしたような仕掛けの動きができてないことが多いんです。逆に張りのある竿はキビキビとした動かし方はできるが、ゼロテンションなどやや緩めた状態でのアタリでも弾いてしまうことがあります」と鶴岡さん。
つまり、活性が高く食い込みがすこぶる良いカワハギに関しては、柔軟な穂先で食い込ませる必要がなく、ガンガン掛けていく釣りを展開することで、ペースが一気に上がる。
三石さんが良型をゲット
鶴岡さんが追いかけるようにペースよく掛ける
活性が高くエサを食べるのも速いカワハギに対しては、柔軟な調子の竿を使うと、アタリがあってからアワせるまでのタイミングで、竿が曲がり込む分アワセが遅れる傾向にある。
その微妙なタイミングのズレがバラシにつながったり、エサを取られてしまったり…というミスにつながる。
「この時間帯のように活性が高く、どんどん食ってくるような時には、たとえば、がまかつのエクスシグナルカワハギでいうと172AC(アクティブコンタクト)が最適だと思います」と鶴岡さん。
エクスシグナルカワハギ 172AC
竿選びが重要な理由その2 時間帯により刻々と変わるカワハギの状況に合わせたい
ロケ当日もそうだったが、時間が経つにつれてカワハギの食いが遅くなる傾向が出てきた。
「カワハギは時間帯や潮の動きなどで食い気が驚くほど変わります。入れ食いになっているかと思えば、数分後、または流す筋を少し変えただけで食いが遅くなる…といったことが多々あります」と鶴岡さん。
刻々と変わる状況下でも、竿の操作や釣り方を駆使して何とか合わせて釣りを続けることは可能だ。
だが、前日のように竿にも得意、不得意があるので、バッチリと合った人に比べるとどうしてもペースが落ちてしまう。
違和感を感じたら、竿交換を考えよう
この日、10時を迎える頃には潮が緩んでしまい、カワハギの活性も下がってしまった。
そこで、見切りを早く、2人ともが同じタイミングで竿を持ち換えた。
宙層だけではなく、ゼロテンションでのアタリもあるとのことで2人が選んだ竿は「エクスシグナルカワハギ175AR(オールラウンド)」。
穂先の素材はACと同じ高感度なスーパートップを搭載しているが、ゼロテンションから誘い上げ、誘い下げまでやや柔軟で高感度な穂先が幅広い釣りに合わせてくれるモデルだ。
エクスシグナルカワハギ 175AR
172ACに比べるとやや柔軟な穂先で、食いが遅くなったカワハギにも食わせる間を与えることができる。
この作戦が成功して、食いが渋いといいながら、ペースを崩さずに釣りを続けることができる。
逆に、食いが遅かった状況から、突然活性が上がることだってよくある。
そこで、見極めよく竿を交換することで、苦労せずにペースを維持できる。
逆に苦労しつつペースを落とす時間帯があれば、それだけバッチリと合った人に差をつけられることになる。
竿を交換することで2人ともペースを維持
竿選びが重要な理由その3 アタリは出るのにバラシ、掛け損ねが頻発する
活性がやや低いと感じた2人だが、ここで鶴岡さんが得意のキャストからのカーブフォール、仕掛けをやや寝かせた釣りで反応を見てみることに。
そのために、極細のテクノチタントップを搭載して、さらなる柔軟性を持たせた179SS(センシティブセンサー)に変更した。
エクスシグナルカワハギ 179SS
三石さんは、そこまでの活性の低さはなく、175ARでの釣りで十分対応できると判断し、そのままで釣りを続行。
「175ARはオールラウンドと名づけられているように、幅広い状況に対応できる竿なので、カワハギ釣りでまず1本と考えている人にはオススメなんですよ」と話してくれた。
その通り、やや活性が下がったとはいえ、反応があれば確実に掛けていく。
対して、さらに遅めで、タナを下げ、仕掛けを緩めるくらいの釣りに適した179SSを使った鶴岡さん。
その感度の良さと操作性で確実にアタリを出させていくのだが、柔軟な釣りを得意とする竿だけに、ほんの少しアワセのタイミングが遅れるのか、掛けバラシが多発。
キャストからの幅広い誘いを展開するが…
「SSではちょっとカワハギへの対応が遅れてしまう感じです。やっぱり175ARの状況でしたねえ」と前もって分かっていたのだが、あえてSSを使うことで、状況に合わせた竿選びが重要なことを目の前で実証してくれた。
ちなみに再びARに変えると、それまでの遅れを取り戻すかのようにペースを上げていった。
ほんの微妙な状況の変化で、アタリが出るのは同じでも、バラシや掛け損ないにより、ペースが少し遅れることで釣果レースからは一歩下がってしまうことが明確に分かった。
●交通=神戸淡路鳴門自動車道の西淡三原ICで下りてすぐ左折。
道なりに約25分進むと土生港。
問い合わせ=盛漁丸(TEL:0799-57-0120)
※当日の様子は、youtubeフィッシングDAYS「沼島沖で大漁 カワハギ数釣りテクニック」https://youtu.be/jJGt-wgJAicで視聴できる。
沼島沖で大漁 カワハギ数釣りテクニック
(文・写真/松村計吾)
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ライター紹介
松村計吾
大学で水産無脊椎動物の研究を経て、釣り出版社に入社後、30年以上釣り雑誌や釣り情報紙の編集を手掛ける。取材などで釣りの現場に出ることはもちろん、休日などのプライベートでも常に釣りシーンにハマっている。得意な釣りは船のテンヤタチウオ、カワハギ、エギング、イカメタルなどだが、日本全国を飛び回りあらゆる釣りを経験。ちなみの甲子園の年間シートも所持。甲子園でのビール消費量も球界一とか・・・。