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キング南康史&モンパチ髙里悟が香川・高見島の急潮チヌを楽しむ。キーポイントは浅ダナでの流し込み

松村計吾

【テレビ大阪系列・毎週土曜日午前7時放送「フィッシングDAYS」サイドストーリー第26話】番組内で話題になったワザ、アイテムについて”深堀”するもう1つの「フィッシングDAYS」。

「フィッシングDAYS」はテレビ大阪を中心に、テレビせとうち、TVQ九州放送、テレビ和歌山、高知放送で放送されている、がまかつ提供・テレビ大阪制作の釣り番組。

ハゼなどの極々小さい魚から、ルアーを使った大型魚釣りまでを、どうやったらより釣れるのかにこだわって制作。

また、釣れたときの釣り人の笑顔にもフォーカスし、釣りの楽しさも徹底的に追求している。

南康史&モンパチ髙里 下津井沖乗っ込みチヌ

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大きな転石が釣り座となる板持鼻の釣り場

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大型船の航路ともなっている高見島と佐柳島の水道

大チヌを求めて目指したのは香川・高見島

瀬戸内方面では、チヌの乗っ込み期を迎えて大型が狙えるシーズン。

特にシーズン初期には、岡山県と香川県の間に点在する下津井沖の島々で大型チヌが登場する。

そんな夢のあるチヌ釣り場を訪れたのは「G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権」で、なんと4度の優勝を誇るキング・南康史さん。

そして「G杯争奪全日本がま磯(グレ)選手権」の覇者でもあり、南さんをチヌ釣りの師匠と慕う人気アーチスト・MONGOL800のドラム、髙里悟さん。

髙里さんは沖縄出身で、幼少の頃から釣りに親しみ、競技会への参加をきっかけに、忙しい音楽活動の合間に、フカセ釣りへどっぷりとハマったアングラー。

さまざまなエリアへ出掛けてフカセ釣りを始め、いろいろな釣りに挑戦してきたが、今回訪れた下津井沖のチヌ釣りは初めてとのことだ。

このエリアをホームグラウンドの1つとする南さんの提案で、出船地の岡山県水島からはかなり南に位置する高見島への釣行が決定した。

高見島の南にある志々島などは、香川県詫間町の磯渡船区に当たり、高見島自体も香川県仲多度郡に属する。

高見島へは、南さん自身今季初の釣行とのことだったが「岡山に近いエリアも釣れているんですが、沖に位置する高見島のほうが大型が釣れる確率が高いと思います」とのこと。

当日は船長との相談の結果、高見島の北面に位置する板持鼻へ渡ることになった。

ここは地方に数多くある転石の上が釣座となっていて、20mほどまでは水深5mほどのシャローエリアで、その先で数十mまで落ち込む地形だ。

このエリアの最大の特徴は点在する島々の影響で発生する複雑な潮、そして、流れだすとチヌ釣り場とは思えない急潮だ。

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当日使用したマスターモデルⅡチヌ。髙里さんが上のM53、南さんは下のL53

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南さんは小鈎のスパイクチヌ2号を中心に使用

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髙里さんがメインに使用していた丸呑チヌと掛りすぎチヌ

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左に南さん、右に髙里さんが入ってスタート

同じがま磯マスターモデルでも正反対の釣りを展開する2人

南さんは浅ダナでの流し込み。

つまりマキエでチヌを浮かせて釣るスタイルだ。

自重があり遠投ができる自作円錐ウキに、オモリはG7を1個、もう少し仕掛けを入れたいときにはG7を追加する。

そして、竿はがま磯マスターモデルⅡチヌのL53をチョイス。

細身の竿ながら、曲げ込んだ際のネジレを抑制することで、大型チヌとのやり取り時にも安心して胴まで曲げることができる。

鈎はスパイクチヌ2号をメインに使用する。

「私の場合は小鈎で飲ませて釣ることで、すっぽ抜けを防いで確実に釣り上げることを目的にしています。また、軽い仕掛けでフワフワと自然にエサを漂わせたいので、鈎も必然的に1号や2号の小鈎になりますね」と南さん。

さて、一方の髙里さんはがま磯マスターモデルⅡチヌのM53を選択しての沈め釣りを展開するという。

「南さんは軽い仕掛けで浅いタナを釣るので、僕は沖の深みへと至る壁にウキごと沈めて、深みの先を釣ってみたいと思います」と言う髙里さんは使用する鈎も大きい。

「今日主に使うのは、丸呑チヌや掛りすぎチヌですが、号数は4号とか5号を使います。理由は大鈎での早アワセをすることで魚に主導権を与えたくないんですよ」との考えだ。

スタート時の潮はゆっくりと右へと流れる本命潮。

沖に向かって右に髙里さん、左に南さんが入った。

「南さんがマキエをどんどん撒いてくれるから、それが僕の前で効いてくるんじゃないか…という作戦です(笑)」と髙里さんの声を聞いて「髙里さんのためにマキエ係しますよ~」と南さんが返す。

が、30分もしないうちにその流れが止まり、今度はゆっくりと逆(左)に流れだした。

と、同時にゴミや流れ藻が大量に水面を流れる。

足元は浅く、遠投する南さん、髙里さんともに、水面に浮く海草などに道糸が取られて非常に釣りづらそうだ。

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深ダナ狙いから浅ダナ狙いへと仕掛けを変更する髙里さん

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我慢してマキエを巻き続ける髙里さん

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遠投で沖の深場をダイレクトに攻める髙里さん

干潮前後はほとんど潮が流れないバッドなコンディション!

ゆっくりと左へ流れたかと思うと、また止まる。

そして、エサ取りのフグが大量に泳ぎ回る。

オキアミ、加工オキアミ、ネリエと使うが、なかなかチヌに届かない。

マイナス負荷のウキを使い、ダイレクトに沖の深いタナへとエサを送り込む髙里さんにアタリが出た。

しかし、これはイソベラ

それ以外は時折エサが取られる程度で、あまり良い反応ではないようだ。

しばらくその状態で釣っていた髙里さんだが「この釣りはちょっと違いますね。やはり南さんのスタイルでの浅ダナ狙いが、この釣り場には合ってると思います。僕も浅いタナ狙いへと切り替えます」と仕掛けを交換。

潮は相変わらず左へと流れているが、徐々に流れ藻が減ってきた。

そのタイミングで沖に打ったマキエにはボラが集まりだした。

「案外、ボラの下にチヌが浮いてくることも多いので、ボラが出てくれば期待もできますね」と南さん。

潮が止まったり、ゆったりと流れるのを繰り返すのだが、南さんに言わせると「本来、激流が走るような釣り場なので、この程度のゆったりした潮ではダメですねえ」。

そんな時の対策は?との質問に「とにかくチヌは居るはずです。我慢してマキエを続けることで、ポイントにチヌを集めることに専念します。潮が動きだせば一気に食いが立つように準備をします」と答えてくれた。

つまりは、今はチヌを集める時間…なのだ。

一方の髙里さんも、南さんと同様ウキ下3ヒロ程度の浅いタナでの釣りに切り替えたが、マキエが効くほどにエサ取りのフグが増えてきたようで苦戦を強いられている。

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ファーストヒット。美しいフォームでやり取りを始めた南さん

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1尾目は40cmオーバーのきれいなチヌだった

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南さんのファーストヒットで情報交換をする2人

潮がほんの少し動きだした瞬間をとらえたのは南さん

昼を過ぎても、潮は相変わらずちょっと左へ流れたと思った瞬間、再び止まってしまう。

投入ごとに流れが変わる不安定な状況だ。

そんな潮だったが、ようやく数投の間、安定して左へと流れだした。

30mほど沖へ遠投し、マキエもほぼ一点集中でポイント作りに専念していた南さんが「ちょっとエサが残りだしましたね。そろそろ釣れるんじゃないですか」と言った次の一投。

ウキがシュッと海面下に消えた。

と同時に強烈なアワセが決まった。

マスターモデルⅡが大きく弧を描き、チヌ独特の重量感ある引きを受け止める。

南さんはしっかりと竿を曲げ込んで、チヌをゆっくりと寄せにかかる。

竿下のシャロー部分を滑るように足元へ寄ってきたのは、40㎝級のチヌだ。

竿下で抵抗するチヌをさらに竿で溜め込んで水面へ。

タモにおさまったのはきれいな乗っ込み初期のチヌ。

この1尾に会いたかった…とばかり、南さんの頬が緩む。

ただ、その後は再び潮が止まってしまい、エサが残らなくなった。

潮が動き、チヌが一瞬口を使ったタイミングを見事逃さなかった南さんはさすが。

「でも、もうすぐ潮が満ち込みに変わって動きだすと思います。そうなれば一気に入れ食いも夢ではないのが瀬戸内のチヌなんですよ」と南さんは焦る様子がない。

迎えの渡船が見えだしてからの連発劇!後ろ髪惹かれる思いだったが…

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浅いシモリをかわすようにチヌを誘導する髙里さん

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南さんにヒット。じっくりと楽しみながら寄せる

納竿は15時。

14時を回った頃、不安定だった潮が今度はやや早く右沖へと流れだした。

待ちに待った本命の潮、そして潮位も高くなってきたのが足元の磯を見ても分かる。

2人とも、遠投でそこからさらに潮に乗せて流すが、タナは2~3ヒロ。

南さん曰く「このエリアでは潮が速くなるほどタナが浅くなります。浅い時にはウキ下1.5ヒロでチヌを釣ることもありますよ」。

流れだすと潮は速く、あっという間に100m近くも流れていく。

逆に流れすぎてダメなんじゃないか…と思ってしまうが、南さんは「その辺で食いそうやけどなあ」と余裕たっぷり。

14時半を回り、はるか沖に迎えの渡船が見えた。

潮の流れだしが遅かったか…と思っていると、南さんのウキが見事にスパッと海面下へ消えた。

待望の本命アタリに、大きくアワセを入れてやり取り開始。

潮に乗り、重量感を増すチヌの引きをマスターモデルⅡを曲げ込んで胴で溜める南さん。

「焦る必要はないので、楽しみながら寄せましょう」と楽しそうだ。

そして、徐々に船が近づいてくる途中、なんと髙里さんも「きましたよ~」と声を上げた。

「沖のほうであまり反応がないのと、潮が高くなってきたので、試しに足元近くのシャローエリアに仕掛けを投入してみたら食いました」と髙里さん。

チヌを先に取り込んだ南さんが「潮が高くなると、この浅い場所まで上がってくるんですよ。やっぱり居てましたね」と言う。

髙里さんが40㎝オーバーのチヌを取り込んだところで、帰りの船が到着。

「潮の動きだしが予定よりも遅かったですね。あと1時間あれば入れ食いになってましたね~。残念」と後ろ髪惹かれまくりの納竿となった。

当日は潮の動きが悪く、かなり苦戦を強いられたが、本来は潮がよく走る場所だ。

これからの乗っ込み期には、50㎝オーバーのチヌもまじえて、他ではあまり見ない急潮のチヌ釣りが体験できる。

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当日お世話になった岸田渡船

●交通:瀬戸中央自動車道の水島ICで下り水島方面へ。
広江一丁目信号を左折して国道430号をしばらく進み、高島口信号を右折。
500mほど先のカーブを越えて道なりに護岸へ出た所が乗船場。

●問い合わせ:岸田渡船(TEL:090・3170・3761)

(文・写真/松村計吾)

南康史&モンパチ髙里 下津井沖乗っ込みチヌ

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ライター紹介

松村計吾

松村計吾

大学で水産無脊椎動物の研究を経て、釣り出版社に入社後、30年以上釣り雑誌や釣り情報紙の編集を手掛ける。取材などで釣りの現場に出ることはもちろん、休日などのプライベートでも常に釣りシーンにハマっている。得意な釣りは船のテンヤタチウオ、カワハギ、エギング、イカメタルなどだが、日本全国を飛び回りあらゆる釣りを経験。ちなみの甲子園の年間シートも所持。甲子園でのビール消費量も球界一とか・・・。