水大事典 サントリーのエコ活 サントリー
「水とからだの関係」や「硬水と軟水の違い」など、水に関することがいろいろわかる「水の大事典」。知ってるようで意外と知らない水について楽しく学んでみませんか?大切な水を守り育て、多くの人々に水の恵みと、からだと心の潤いをお届けしたい。水と生きる SUNTORY

釣り人同士の会話で、よく登場するのが月と潮の関係ですよね。
「今日は満月の大潮だから、明るすぎて魚が警戒するし、潮が速すぎて良くないな」とか、反対に「今日は下弦の月だから小潮回りで潮が動かないし、月が出るのは深夜だから余り良くないな」そんな話をよく耳にします。
釣り人でも月の満ち欠けを見て潮や魚の時合が予想できるようになったら一人前。
そこで今回は、月の明るさと釣果の良し悪しについて少し考えて見たいと思います。
目次
新月とは月が出ない闇夜回りの大潮のことです。
そして、月が出てまるでお昼のように明るい満月の大潮より、闇夜回りの新月の方がよく釣れるという人が多いですね。
なので、何で新月がいいんですかと聞いてみたことがあるのですが、その答えは、魚は新月の方がよくお腹がすくので食いがいいんだよと、まるで嘘のような答えが返ってきました。
その時は軽い冗談だろうと聞き流していたのですが、調べてみるとあながち嘘ではない説が見つかったのです。
そのことは詳しく後述することにして、もう一つ新月の方が食いが良くなるという説があります。
そのことから紹介していきましょう。
それは新月のときの潮と満月のときの潮を比べてみると、満月の潮の方が甘くなるそうです。
潮が甘いというのは、塩分濃度が薄くなるということです。
どうしてそういう現象が起きるのでしょうか?
新月は、太陽→月→地球と一直線に並ぶため地球に掛かる引力がより大きくなり、地球を取り巻く海水の動き(潮の流れ)が画一化しやすいのでは、といわれています。
ところが満月の場合は、太陽→地球→月と一直線に並ぶため、太陽と月の間に地球が入ることによって地球に掛かる引力も少し弱くなるし、地球を取り巻く海水の動き、つまり潮の流れが新月のときよりも複雑化して塩分濃度が低い海水とも混じりあい、そのために塩分濃度が下がるのではといわれています。
魚は変温動物で、水温や海水の塩分濃度にとても敏感な生き物のため、塩分濃度が変わると食欲にも影響してくるそうです。
これらのことは、サントリーが発行している水に関する広報誌、「水大事典」の中に詳しく紹介されているので、その一部を紹介しておきましょう。
「水とからだの関係」や「硬水と軟水の違い」など、水に関することがいろいろわかる「水の大事典」。知ってるようで意外と知らない水について楽しく学んでみませんか?大切な水を守り育て、多くの人々に水の恵みと、からだと心の潤いをお届けしたい。水と生きる SUNTORY
海水魚と淡水魚は住む場所が違うため、それぞれの環境に応じた体の仕組みを持っています。
海水の特徴は、その塩分濃度(約3、3~3.5パーセント)にあります。
海水の塩辛さの正体はナトリウムイオンなどですが、ナトリウムイオンは、二つの面で生物に対して害を与えます。
一つめは、その毒性。
生物の細胞内に入り込んでしまうと、悪影響を及ぼしてしまいます。
そのため、すべての生物細胞の細胞膜には細胞内に侵入してきたナトリウムイオンを体外へ排出する仕組みを持っており、これはナトリウムポンプと呼ばれています。
二つめの害は、高い塩分濃度が持つ脱水力です。
水には「浸透圧」という特徴があり、半透膜を通して薄い濃度のものから濃い濃度のものへ移動する(濃度の低い方から高い方へ移動)性質を持っています。
生物細胞の塩分濃度は0.9パーセントなので、もし海水がそのまま体内に侵入すると、細胞内の水が外に流れ出し、脱水状態になって死に至ってしまいます。
このため海水中に生活する魚の仲間は、まず鰓(えら)で塩分を輩出し、塩分が少なくなった水を飲むのです。
胃で吸収され血液に入った塩分は、腎臓でさらに抽出され、塩分の濃い尿として排出されます。
ここで活躍しているのが、前述のナトリウムポンプです。
海水魚は、細胞に必要な水を自家製造しているのです。
ただし、軟骨魚類〈サメ、エイ、ギンザメ)やシーラカンス類は、体内に尿素を蓄積して浸透圧をあげることで体の外に水を奪われるのを防いでいます。
一方、淡水魚はどうでしょうか。
淡水魚の場合は、海水魚とは逆のことが起きてしまう危険にさらされています。
つまり、体内の塩分濃度のほうが淡水より高いため、水分が細胞に侵入し、やがては水ぶくれになって破裂してしまう危険があるのです。
そこで淡水魚は、水を少量だけ飲み、そこから必要な酸素と塩分だけを吸収し、大量の尿を排出しています。
アユやサケなど、海水と淡水を行き来する魚は、この浸透圧調節を環境に応じて器用に切り替えているのです。
さて、海水魚の場合、新月になって海水の塩分濃度が満月のときより上がると、細胞内に侵入してきたナトリウムイオンを体外に排出するために、ナトリウムポンプをフル稼働させなければなりません。
そのためにエネルギーを消費すると、お腹がすきます。
お腹がすくとエサをより多くとらなければならないため、魚の活性がいつも以上に上がる。
で、釣果も倍増するという図式が出来上がるのです。
また、満月で潮が甘くなったときは、もともと甘い潮が好きなメバルなどを狙うのにいいかも知れませんね。
月が煌々と海面を照らす満月の夜は、釣りにとって悪条件なのでしょうか。
いいえ、そうとは言い切れません。
例えば月明りを頼りにベイトを探し捕食するフィッシュイーターには、水中が明るい方がベイトを捕食しやすく好都合です。
例えばスズキやタチウオ、カマスやアジなどの魚とアオリイカです。
アオリイカのエギングで夜釣りのときは、月夜回りになるとベイトが浮くのか、イカが浮き気味になります。
こんな時は狙うレンジもボトムから中層と絞りやすいのでヒット率が上がります。
月明りで水中が明るいため、餌木もよく見えるためにイカにアピールしやすいというもの満月の利点でしょう。
ただ、海の中が明るすぎて浅場にイカが寄ってこないとか暗い場所を好む臆病者のメバルなども、海が明るすぎて釣りにくいなどの意見もあります。
イカ釣りは釣りの中でも結構特殊で、天候や雨以外にも色々とコツが有るようです。
イカの釣り方については、次の記事で詳しくご紹介しています。
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FISHING JAPAN 編集部では満月ではなく半月の上弦、下弦の月のときは、魚の食いに影響を与えるのでしょうか。
月が半分欠けた状態なので、潮回りは小さくどちらも小潮になります。
上弦、下弦は、月を弓の形になぞらえ月が西の空へ沈むとき弓の弦にあたる部分が上を向いていれば上弦の月、下を向いていれば下弦の月ということになります。
上弦の月は昼に東の空に昇り深夜に西の空へ沈みます。
下弦の月は反対に深夜に東の空に昇りお昼に西の空に沈みます。
このことから昼に月が東の空に昇る上弦のときは、太陽が沈む夕まづめの時間帯を釣ることが出来ますね。
この時間帯はメバル、スズキ、チヌ、タチウオ、カマスなど色んな魚の活性が上がる時であり、ゴールデンタイムと呼ばれています。
ただ、潮が小さいので水道や防波堤の先端など、潮がよく通る動きのいいポイントに選びたいですね。
では、下弦の月のときはどうでしょうか。
月は深夜に東の空に昇り、昼過ぎに西の空へと沈んでいきます。
なので朝早く出かけてくれば、朝まずめのゴールデンタイムを釣ることが出来ますね。
朝まずめも色んな魚の活性が上がる時間帯ですから、夕まずめと変わらない釣果を上げることが可能です。
海を照らす月は、上弦、下弦とも満月の半分の状態なので、明るさを嫌うチヌやメバルにはいい潮回りです。
また、月の灯りが必要ないときは、月の出の時間を調べておいて、月が出るまでの時間に釣りを楽しむこともできます。
こうして考えてみると、上弦、下弦の月のときは潮の動きが少し悪くなるぐらいで、魚の食いに直接影響があるとは思えません。(笑)
むしろ普段は潮が速くて釣りにくい所を攻略できるメリットの方が大きいといえます。
半月のときは、潮がいつも早く流れすぎているポイントを狙って釣行に出かけるのがよさそうですね。
今回は、月と魚の関係について考えてみました。
満月だから絶対釣れる、というわけではありませんが、夜釣りに出かけるときは少しだけ月について考えてみても面白いかもしれませんね。
夜釣りは月が気になりますが、日中に釣りに出かける時、気になるのは天気ですよね。
天気については、こちらの記事で詳しく考察していますので、気になる方は読んでみてください。
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今回記事で取り上げた月の満ち欠けももちろん確認可能です。
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タイドグラフBIこの記事に関するよくある質問
海水魚は新月の時の方がよく釣れます。新月の時の潮と満月の時の潮を比べてみると、満月の潮の方が塩分濃度が薄くなります。海水魚の場合、新月になって海水の塩分濃度が満月のときより上がると、細胞内に侵入してきたナトリウムイオンを体外に排出するために、ナトリウムポンプをフル稼働させなければなりません。そのためにエネルギーを消費すると、お腹がすきます。お腹がすくとエサをより多くとらなければならないため、魚の活性がいつも以上に上がります。それで釣果が上がるのです。
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