低気圧の時の海の写真

気圧と魚の関係性を考察しよう!天気が悪いほうが魚がたくさん釣れるってホント?

FISHING JAPAN 編集部

気圧と釣りの関連性について、みなさんは考えたことは有るでしょうか?

低気圧の時の方が魚の活性が上がってよく釣れると言われていることもありますが、実際はいったいどういう関係性なのでしょうか?

今回は、そんな魚釣りと気圧の関係について、詳しくご紹介していきましょう!

釣り人は低気圧が好き!

天気を左右しているのは気圧です。

日本列島の上空に高気圧が張り出してくると天気は良くなり、その高気圧の勢力が強ければ天空に見事な青空が広がり、風もなくて海は油を流したようなべた凪になります。

反対に低気圧が近づいてくると天気は下り坂になります。

低気圧は雨や雪を降らせるだけでなく、気圧配置によっては強風も連れてくるので海は大荒れになることも珍しくありません。

そんな特徴がある高気圧と低気圧ですが、この両者のどちらがいいですか、と問いかけた場合、高気圧を支持する人が圧倒的に多いでしょう。

誰だって雨の日はうっとうしいし嫌ですよね。

ただ、釣りに関していえば低気圧を支持する人も意外に多いのです。

ピ~カンになりそうな日より曇天や雨の日の方がよく釣れる、といって、わざわざ曇天や雨の日を選んで釣りに出かける人が結構いるんです。(ピーカン=カンカン照り)

釣り人に低気圧が人気な理由を考えていきましょう。

低気圧で天気が崩れるメカニズム

低気圧と呼ばれるのは、気圧が何ヘクトパスカル以下に下がったものという明確な基準があるのではなく、周りの気圧に比べてその部分の気圧が低い場合に低気圧と呼ばれ、反対にその低気圧の周りにある気圧の高い部分が高気圧と呼ばれます。

高気圧は周りより気圧が高いだけでなく空気も濃くなっています。

上空に低気圧が発生すると、水と同じように気圧の高い所から低い所へと気圧傾度力が働き、気圧の高い濃い空気が気圧の低い薄い空気を吸収しようとします。

その結果、この両者が混じりあうことによって上昇気流が発生するのです。

すると地上付近にあった空気が上昇気流によって地上よりも気温が低い上空へと舞い上げられたあと、空気中の水分が冷やされることによって雲が発生します。

発生した雲は上空でさらに水分を蓄え、その重さに耐えきれなくなったとき雨や雪となって地上へと降り注ぐわけです。

低気圧が近づくと天気が悪くなるのはこのようなメカニズムのせいです。

低気圧だと頭痛が起こる?

気圧は大気の圧力のことで目には見えませんが、天気だけでなく人やその他の生き物にも大きな影響を与えています。

気圧の変化に敏感な人は、気圧が変化したとき頭痛やめまいを引き起こすことがあり、このような症状を天気病と呼んでいます。

ただ、ほとんどの人が自律神経のおかげで無意識のうちに気圧の変化に対応しているため気づかないだけなんです。

大気中の圧力は海抜0mで1平方㎝あたり1kg もの圧が掛かっているそうですだ。

なのに人間が押しつぶされないのは、大気の圧力と同じ圧力で体の中から押し返しているためなんです。

そしてこの圧力は、人間の場合状況に応じて自然に順応するようにできているため、どんな状況のときでも自由に動き回ることが出来るのです。

では、なぜ低気圧が近づき天気が崩れた方が釣りにはいいのでしょうか?

低気圧は釣り時!

魚の場合、ごく少数の例外を除いて魚には浮袋と呼ばれる器官があります。

この浮袋は、サメやエイなどの軟骨魚類にはないのですが硬骨魚類と呼ばれる魚にはほとんどついています。

その役目は袋状の器官に気体(酸素や二酸化炭素、窒素など)を出し入れして浮いたり沈んだりの浮力調整しているのだそうです。

そして、この浮袋こそが大気圧と密接な関係にあるのです。

高気圧が張り出してきて好天が続くと、水中では大気圧が高まり、エサになる非力な小魚や動物性のプランクトンなどの動きが悪くなります。

するとそれらをエサにしている魚の動きも活発ではなくなり、いわゆる食い渋りという状況が起きるのです。

そんな状況のとき、低気圧が近づいてきたらどうなるでしょうか?

水面を押さえつけていた大気圧が弱まり、エサになる小魚やプランクトンなど小さくて弱い生き物が圧力が減少することによって水面近くまで浮上しやすくなるので、水中での動きも活発になります。

動きが良くなるのはエサやプランクトンだけではありません。

これらをエサにしている魚たちも低気圧下では大気の圧力が小さくなるため、浮袋内部の気体が膨張しやすくなり、わざわざ浮袋を膨らませなくても自然に体が浮くために動きが活発になるといわれています。

淡水でも海水でも気圧の影響を受けています!

気圧による影響を受けやすいのは海に棲む魚だけではありません、川や渓流に棲む魚たちにも当てはまります。

渓流などの淡水域では、海よりもずっと水深が浅いため大気圧による影響を受けやすくなります。

低気圧が近づき大気圧が弱くなると水生昆虫の動きが活発になり、渓流魚もエサの豊富な瀬に出てきて盛んにエサを捕食します。

アマゴを雨子とか小雨と呼ぶ地方がありますが、これは低気圧がやってきて雨が降り出したときによく釣れるから付けられた呼び名です。

また、湖沼がフィールドのブラックバスも気圧の影響をよく受ける魚のようです。

浅い海の魚も気圧の影響を受けやすい

川や渓流のように水深の浅いところほど気圧による影響を受けやすいと紹介しましたが、これは海の魚にも言えることです。

海の場合は水深が深くなるにつれて気圧よりも水圧の影響が強くなり、余り気圧に影響されなくなります。

水深が500mを超える深海にすむキンメダイやアコウダイは、気圧より水圧に耐える方が大変だと思います。

ただ、スズキやチヌ、ヒラメやマゴチなど比較的浅い沿岸の海域に多い魚は、大気圧が大いに関係してきます。

高気圧が張り出してきて大気圧が高まると、小魚やプランクトンだけでなく、釣りの対象にしている魚たちの活動も鈍ります。

低気圧が発生し水面に掛かる大気圧が弱まってきたら、浅海を住み家にしているエサや魚たちの活性も高まり食いが良くなります。

このような気圧の影響だけでなく、低気圧がもたらす雨や雲によって釣果が左右されるのも事実ですね。

低気圧の接近によって風が吹き、水面が波立ったり、雨粒が水面を叩くことによって光量が減り、魚から釣り人が見えにくくなるというメリットが生まれて大漁、ということもよくあるのです。

さらに付け加えるとしたら、雨の日は濡れるのを嫌がって圧倒的に釣り人が少ないためポイントを自由に選べるので釣れる確率が高まるし、船釣りでも一人当たりの釣果が増えるのは当然です。

これも低気圧がもたらしてくれる恩恵の一つでしょうね。

【釣行記】キス釣りにピッタリの天気とは?

アジサイの花が盛りを過ぎ、ようやく梅雨の長雨からも解放されそうだと喜んだ7月半ばのある一日、数人の仲間が集まってキス釣りに行こうと話がまとまりました。

昔からキス釣りは八十八夜を過ぎてからベストシーズンを迎えるといわれているので、すでに八十八夜から二ヶ月近くも経っており、水温も十分に上がってキスの食いもきっと活発に違いないと計算したからです。

さて当日、港へ着いてみると天気予報の通り風もなく、波も静かで抜けるような青空が広がっていました。

この天気ならアタリもよくわかるしキスも忙しいほど食ってくれるに違いないと、喜び勇んで出船したのですが、意外な結果が待っていました。

船は港を抜けると20分ほどひた走り、風力発電の風車が林立する山並みの沖でエンジンの回転を落としました。

海は、油凪といえそうなほど穏やかて、ゆったりした船の揺れにリズムを合わせて釣り支度をしていると、思わず船を漕いでしまいそうになるほど静かでした。

そんな状況の中で早速釣りがスタートします。

もどかしいほどゆっくりと流れる小船の船首からイシゴカイのエサを刺した仕掛けをするすると下しキスからの魚信を待ちます。

潮は緩く風がないから船はゆったりとしか流れません。

なので船頭はエンジンをかけエンジンの力を借りて船を押しながら流してくれるのですが、所定のコースを流し終わるまで誰にもアタリはありませんでした。

船頭は首をかしげながら潮上りして、今度は少しコースを変えて流してくれるのですが、やはり誰にもアタリはありません。

船頭は水温も上がりキスも浅場に移動しているに違いないと読んで浅場を流してくれたのですが、どうやらこの読みは外れたようです。

そこで、次からもっと深い場所を流してみようと、それから何度もポイントを変え流してくれたのですが、何度流し変えてもキスからの返事は皆目なかったのです。

この日は、高気圧が釣り場の真上に張り出し天気は上々、空には雲一つなく潮も程よく流れ始めていたし水温も20度近くあるから、キス釣りには申し分ない条件なのに、なぜか魚の機嫌が悪かったのです。

アタリが退屈するほど間遠い中、全員が昼過ぎまで頑張りました。

それでも一番頑張った人で10数匹、途中から半ば諦めた人は4、5匹という貧果でした。

船のキス釣りでは考えられない数字です…

よくよく考えてみれば、今までの釣り人生の中で、こんなケースが何度もあったような気がします。

高気圧が日本列島の真上に勢力を広げ、洋上では風もなく波も静かで、絶好の釣り日和だなと思った日ほど、予想外に魚が釣れなかったという経験が数えきれないほどあります。

なぜか好天でべた凪、絶好の釣日和と思った日ほど魚が釣れない。

逆に曇天や、しとしとと雨が降る日、少し風が吹いて水面が波立つような日に寒さを我慢して頑張った日にいい思いをした経験の方が多かったのです。

これには様々な要因が絡んでいると思われますが、天気がいい日と悪い日という単純な条件で絞り込んで釣り日記を紐解いてみると、やはり天気がいい日より天気が崩れた日の方がよく釣れたというデータが残っています。

さて、今回は魚と気圧の関係について考えてみました。

こうして魚と気圧の関係を考察してみると、高気圧に覆われウキウキするような好天の日に釣りに出かけるメリットは、余り思い浮かびません。

なので、どうしても釣りたい魚があるときは、少しだけ我慢して低気圧が近づき天気が崩れ始める曇天か小雨の日に出かけてみてはいかがでしょうか?

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