タチウオの銀色の正体グアニンと和歌山の郷土料理ほねく

あの銀色は、マニキュアの中にもありました|洗いすぎると、刺身の見た目が変わります

FISHING JAPAN 編集部

タチウオを手に取ると、指に銀色が付きます。「鱗が取れた」と言われることがありますが、タチウオに鱗はありません。

あの銀は、グアニンという物質の層です。

食品会社マルハニチロが運営する海のメディア「umito.」は、2022年2月28日の記事でこう説明しています。グアニンは「太刀箔」「魚鱗箔」とも呼ばれ、模造真珠やマニキュア、アイシャドウのラメなどの銀粉の原料に使われてきました。いまは人工合成が主流ですが、天然のグアニンも一部で使われ続けています。

魚の銀色が、化粧品の中にありました。

名前の由来にも、この銀が関わっています。姿が太刀に似ているから「太刀魚」という説。頭を上にして立つように泳ぐから「立ち魚」という説。二つあって、決着していません。

さて、ここからが持ち帰りの話です。

銀が鱗ではなく層だということは、こすれば落ちるということです。水で強く洗うと剥がれます。ネットや氷とこすれても剥がれます。あの銀は、刺身にしたときの見た目をつくる部分です。落としてしまえば、白い身が出るだけになります。

もうひとつ、タチウオには弱点があります。傷みが早いことです。

その弱点から生まれた料理が、和歌山県有田市にあります。「ほねく」といいます。タチウオを骨ごとすりつぶして揚げた練り物です。「ほね天」「ほねくり天ぷら」とも呼ばれます。

名前の由来は「骨ごとくる(繰りまわす)」からです。石臼でタチウオを骨ごとすりつぶしました。そこから、この名で呼ばれるようになったと言われます。

なぜ揚げるのか。傷みが早い魚を、日持ちさせるためです。有田市が面する紀伊水道は、古くからタチウオの好漁場でした。その日のうちに火を通して残す。それがほねくです。

いまも学校給食に出ます。おでんやうどんに入れたり、おやつ代わりに食べたりもします。

次の釣行で使えること

タチウオを持ち帰るなら、扱いは2つです。

ひとつ、銀をこすらない。取り込んだあとに洗うのは、血だけにします。流水で強くこするのは、刺身にする魚には向きません。

ふたつ、早く冷やす。締めて、氷でしっかり冷やして帰ります。有田の人たちが揚げ物にした理由が、そのままクーラーボックスの中に当てはまります。

昨日9月7日、神戸市の垂水漁港です。50~70cmのタチウオが1人16~50匹上がりました。持ち帰った人の何人かは、今夜あの銀を落とさずに刺身にしているはずです。

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