ホンモロコの写真

モロコって知ってる?琵琶湖の固有種が全国に!絶滅が危惧される魚って本当?

FISHING JAPAN 編集部

皆様、モロコという名前の魚をご存知でしょうか?

本名はホンモロコとと呼ばれ、もともとは滋賀県・琵琶湖の固有種でした。

しかし水産移植等により、奥多摩湖や山中湖を含む全国各地で見られるようになりました。

ただし、その個体数は年々低下の傾向が見られ、今では貴重な生物とされています。

今後はこのホンモロコの生態を詳しく見ていき、絶滅が懸念される要因を探る事にしましょう。

モロコってどんな魚?

モロコとは、コイ科タモロコ属に属する淡水魚です。

ゴマモロコやヤナギモロコと呼ばれることもありますが、正式名称はホンモロコです。

ホンモロコの生息域

ホンモロコは、琵琶湖に棲む魚として有名なニゴロブナやハスなどと一緒に、琵琶湖の固有種として知られていました。

それが最近では、長野県の諏訪湖や山梨県の山中湖、東京都の奥多摩湖などでもその姿を見ることができます。

ホンモロコは湖沼の中層域、つまり水深5m前後の中層辺りに生息しています。

ホンモロコの特徴

ホンモロコの体長は、同属のタモロコよりも細長く、大きいものでは15cmほどにまで成長する個体もいます。

口ヒゲがあって動物プランクトンや水生昆虫、小型の甲殻類などを捕食して生きています。

他の魚とエサがバッティングしているため、バスやブルーギル、コイなどの肉食・雑食系のフィッシュイーターたちに襲われる可能性があり、常に危険と隣り合わせの生活をしていると言えます。

ホンモロコの産卵時期

ホンモロコは、通常3月から7月まで産卵期が続く年1回の繁殖を行います。

湖岸や川筋といった浅みに大てまれで現れ、一匹のメスに対し、多数のオスがしのぎを削ります。

それから、浅瀬の草木の根元に、多数の卵が産み落とされます。

成熟したホンモロコの寿命は約2~3年と言われていますが、卵を放った直後に命を落とすメスも少なくありません。

ホンモロコは美味しい!?

食材としてのホンモロコは、琵琶湖で獲れたものが京都の料亭などで振る舞われているようです。

旬は産卵期前の、繁殖期にあたる冬から春にかけてと言われています。

ホンモロコは漁獲量が非常に少ないため、高級魚の一つとして高値で取引されています。

クセがなく淡白な白身でありながら、深いうま味を感じることができ、高級料理にふさわしい味わいです。

料理の方法としては塩焼きや煮物が一般的ですが、天ぷらや唐揚げ、南蛮漬けなど様々な食べ方で楽しむことができます。

また、ホンモロコの加工品としておすすめなのが佃煮です。

元々骨の柔らかい魚なのでまるごと食べられるようになっており、上品な味わいを堪能できるでしょう。

絶滅が危惧されるホンモロコ

ホンモロコは固有種とは言え、かつては数多く生息が確認できる一般的な魚でした。

滋賀農林水産統計年報によると、1994年以前は200~400トンほどの安定した漁獲量がありましたが、1996年以降では、漁獲量が最盛期の10分の1未満になってしまったようです。

ホンモロコが激減した要因

ホンモロコの生息数減少には、琵琶湖の環境変化が密接に関わっています。

ここではその中でも特に重大と考えられる要因を、3つご紹介します。

①産卵場所の減少

ホンモロコは湖岸に卵を産みますが、湖岸の環境が整備や開発によって自然な状態から遠のいてしまい、産卵場所が減少してしまいました。

また、せっかく産み付けられた卵も人間による琵琶湖の意図的な水位操作によって干上がってしまい、孵化までたどり着かないケースが増えました。

②沖合いの環境悪化

ホンモロコは沖合いを越冬場所にしています。

その湖底では、砂の減少や水草の大量繁茂などにより環境が悪化しており、ホンモロコが安全に冬を越すことができなくなっています。

つまり、ホンモロコにとって棲みにくい環境になっているのです。

③外来魚による捕食圧の増加

琵琶湖では、ブラックバスやブルーギルなど外来魚が大幅に増加しています。

外来魚によるホンモロコへの影響は、主にエサを食べ尽くしてしまうことが挙げられます。

また、大型の外来魚はホンモロコの卵や稚魚をも捕食してしまうことがあり、結果的に生息数の減少に繋がってしまうのです。

ホンモロコを増やすための取り組み

ホンモロコの生息数を増やすために、琵琶湖では産卵場所の確保や養殖、放流を積極的におこなっています。

たとえば、卵や稚魚を湖上イカダで生産、採集し、人の手で安全に放流する取り組みなどがあります。

また、減少の一因である外来魚に関しては、その駆除をおこなう取り組みも支援しているようです。

その他、産卵期の禁漁による産卵保護活動も盛んに実施されており、結果として2008年以降、ホンモロコの漁獲量は少しずつ増加してきています。

私たち釣り人ができる取り組みとしては、ホンモロコが釣れたらそっとリリースしてあげることです。

かつてのようにホンモロコが多く棲む琵琶湖を取り戻すため、できることから始めていきましょう。

モロコが棲みやすい環境を取り戻そう!

モロコは、琵琶湖だけでなく日本にとっても貴重な存在です。

高級魚として名高い魚だけに、自分で釣ってみたいと思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、絶滅が危惧されるほどの魚であることを忘れず、私たちの手でモロコが棲みやすい環境を作ってあげることが大切です。

魚に対する配慮や心遣いも、釣り人として身につけておきたいマナーですね。

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この記事に関するよくある質問

モロコとはどんな魚ですか?

モロコとは、コイ科タモロコ属に属する淡水魚です。大きいものでは15cmほどにまで成長する個体もいます。琵琶湖の固有種として知られていますが、最近では諏訪湖や山中湖、奥多摩湖などでもその姿を見ることができます。

モロコはなぜ絶滅が危惧されているのですか?

ホンモロコの生息数減少には、琵琶湖の環境変化が密接に関わっています。たとえば、産卵場所の減少や沖合いの環境悪化、外来魚による捕食圧の増加などが挙げられています。

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