アオリイカと色覚をイメージした画像

アオリイカが色を変える仕組みとエギ選びの科学

FISHING JAPAN 編集部

アオリイカの体表には「色素胞」という小さな袋状の細胞が無数に並んでいます。全国いか加工業協同組合の解説によると、この色素胞は放射状に伸びた筋肉に引っ張られることで一瞬で開閉し、神経によって直接コントロールされています。人間の意識的な筋肉の動きと同じ速さで、体の色や模様を変えられる仕組みです。

一方で、興味深いのはアオリイカ自身が色を「見て」いるかどうかです。日本水産学会誌に掲載された研究では、近縁のタコの仲間で色の識別に関する実験が行われ、マダコは条件付け学習でも色を見分けられなかった一方、別種のスナダコでは色識別の可能性が示唆されています。頭足類(イカ・タコの仲間)は一般に、目の中の視細胞が持つ光を感じる色素(視物質)が1種類しかないとされ、色そのものよりも明暗やコントラスト、偏光を手がかりに周囲を認識していると考えられています。

この生態を踏まえると、エギ(疑似餌)選びの発想が変わってきます。「アオリイカに効く色」を人間の感覚で選ぶより、水中でどれだけ明暗のコントラストが出るか、シルエットがはっきりするかを基準にする方が理にかなっています。水深が深く光が届きにくい場所では濃い色でシルエットを強調し、浅場で光量が多い場所では地色を生かして自然な影を作る、という使い分けが考えられます。

水産庁の解説によれば、アオリイカは春から秋にかけて浅い藻場などで産卵し、水温25℃前後で約1か月ほどで孵化します。生後1年ほどの寿命とされ、水温20℃以上で活発に餌を追い、15℃を下回ると食いが落ちるとされています。8月末から9月にかけては、この夏生まれの新子が育ってくる時期にあたり、エギングのハイシーズンに向かう時期です。

明日から変えられることとして、エギの色を選ぶときは「魚から見た色そのもの」ではなく「明暗のコントラストとシルエット」を基準にしてみてください。同じカラーでも、光量の違う時間帯・水深でローテーションする価値があります。

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