カワハギからのシグナルを感じとれ!究極感度のボートカワハギロッド

松村計吾

関東では古くから親しまれている船のカワハギ釣りは、その奥の深さ、そして釣れるカワハギの美味しさも相まって、今や全国的なターゲットとして広がりを見せている。

関東では禁漁期間を設けているエリアもあれば、年間を通じてオフなくカワハギ釣りに出船している船もある。

ちなみに、関西では三重・国崎沖や兵庫・明石海峡周辺、和歌山・加太、日ノ岬、串本などが有名なカワハギ釣り場となっているが、例年9月中旬からスタートする。

ほかにも四国は高知県や愛媛県、九州は大分県、熊本県、中国地方では山口県の瀬戸内側でもカワハギ釣り人口が増加し、遊漁船が徐々に増えている。

カワハギ釣りの人気は上々となってきている。

今回はテレビ大阪系列で毎週土曜日の朝6時50分から放送する釣り番組「フィッシングDAYS」のロケで、東京湾の出入口にあたる久里浜沖のカワハギ釣りに出掛けた。

久里浜沖を舞台にカワハギ釣りにおけるタックル、アイテム、釣り方などのノウハウを披露してくれたのは、関東の船釣りでは知る人ぞ知るカワハギ釣りの名手、三石忍さん、鶴岡克則さん、田中義博さんの3人。

釣りスタイルが全く違う3人が、それぞれの得意の釣りを展開しながら、最終的には爆釣モード、おまけに3人ともが尺カワハギを仕留めるという快挙。

そんな3人がそれぞれプロデュースして完成させた3タイプのカワハギロッドを使用しての釣りだった。

ここでは当日の様子から、名手3人の釣りと、そこから生まれたこだわりのニューロッドの特徴を紹介する。

秋の本格シーズンに向けて、ロッド選びの参考にしてほしい。

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EXSIGNAL KAWAHAGIシリーズの3機種

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3人の名手がトリプルヒット

腕の延長でもあるカワハギロッドは、もはや身体の一部だ

カワハギは「エサ取り名人」と呼ばれるように、水中でホバリングをしながら、エサを咀嚼するように吸い込んでは吐き出すのを繰り返して、竿先には何の変化もないままエサだけをかすめ取っていく。

釣り人側としては、エサを食う反応を何とか感じ取って掛けていきたい。

まさに魚と人との駆け引きを究極まで高めたのがカワハギ釣りといえる。

そのために、自分が思ったように動かせる操作性や、カワハギの反応をきっちりと伝えてくれる感度など、カワハギ釣りに使用するロッドに求められる機能は、かなりのものだ。

ひと口にカワハギ釣りと言っても、釣り人それぞれに得意の釣りがある。

たとえば、オモリを浮かせた宙層の釣りが得意な人もいれば、とにかくキャストして遠投での釣りを得意とする人、誘いからのゼロテンションでの釣りを得意とする人など、さまざまだ。

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あなたの釣り方はどんなスタイルだろうか

もちろん、その時々の状況に合わせて、いろいろなことをするのが釣り人なのだが、やはり得意、不得意はあって、自分の得意の釣りですべての状況をカバーできれば、それに越したことはないのだがそうはいかない。

また、それぞれの釣りに合った調子のロッドが存在するのも事実で、自分の得意とするスタイルにばっちり合うロッドに出会うことができれば釣果は一気に伸びる。

仕掛けを操作し、微細なカワハギアタリを表現してくれるロッドは、自分の腕の延長ともいえるし、身体の一部である。

今回、久里浜沖の夏カワハギ釣りを披露してくれた三石、鶴岡、田中各氏も、3人ともが得意の釣りスタイルがまったく異なることから、ロッドはもちろん、アイテムの使い方までそれぞれに独自の考え方を持っている。

そんな、3人が自分の得意の釣りを追求していく中で生まれたカワハギロッドが、がまかつから8月に発売される「EXSIGNAL(エクスシグナル)KAWAHAGI」だ。

縦の誘いを得意とする田中義博氏は自身がプロデュースした「172AC(アクティブコンタクト)」でスタートから快進撃

7月初旬の久里浜沖は、産卵を終えたカワハギのシーズンで、体力の回復途上、完全に回復した個体が入り混じっている状況。

また、日により活性に極端な差があり、爆釣モードに入ったと思った翌日には食い渋りに遭遇する…といった具合だ。

また、ポイントの状況によって、誘いやタナなどに偏りがあり、釣り方が合えば、バンバンアタリが出るが、合っていなければエサすらも触らないというナーバスな魚が数多く潜む。

当日お世話になった山下丸は、港から10分ほどの水深15mエリアでスタート。

潮はゆっくりと動いているが、時間が経つにつれ緩んできて、食いが悪くなるかも…との予想だ。

その状況下、いきなりカワハギを連発し始めたのは田中氏。

彼の得意な釣りは縦の誘いを中心とした、宙層での釣り。

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縦の誘いで掛けまくる田中氏

仕掛けとしては、オモリから10㎝上に最下部の鈎、そこから12㎝間隔で2本の鈎の設定。鈎は3本とも「競技カワハギ 速攻」の4号。

フトコロから鈎先がやや外向きに開いている分、宙層などでカワハギの口先にしっかりと鈎が立つ形状だ。

少し前に投入した仕掛けが着底したら、大きく竿で上げて仕掛けを浮かせる。

そこからフワフワとロッドで揺らしながら仕掛けを下げ、途中でステイさせたり、再び誘い上げる。

基本的に底を確認する程度にオモリを着底させるが、基本はオモリを浮かせたまま反応を探る。

つまり、底ではなく少し上を意識しているカワハギにアピールする。

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スタートから良型が連発した

これが大正解で、ロッドを揺すっているうちに、カワハギが触ってくる感触が手に伝わり、掛けアワせるタイミングを計る。

「前アタリの感触も、すごく分かるように設計されているのが、このEXSIGNAL KAWAHAGI 172AC(アクティブコンタクト)なんですよ。今はまさにこのロッドの独断場になりますよ」と言いながらカワハギを連発する。

ちなみに田中氏がプロデュースした「EXSIGNAL KAWAHAGI 172AC」の最大の特徴は、宙層でオモリを浮かせた状態でのアクションを演出しやすい張りのある高操作性にある。

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縦の誘いに力を発揮する「172AC」

また、潮流の変化はもちろん、カワハギが仕掛けにまとわりつくような、荷重変化にも非常に敏感な設計としているので、反応が即時に分かり、活性の高い時には時短でカワハギを掛けていくことが可能だ。

競技会などでは、宙層に限らず、高活性時に一気に数を伸ばすための連発モードを演出してくれるロッドだ。

キャスティングからのゼロテン、そしてマイナステンションで鶴岡氏の出番

少しすると、宙層でのカワハギの反応が鈍くなってきた。

と同時に、鶴岡氏のロッドが心地よく曲がりだした。

鶴岡氏はキャストしてボトムを取ってからロッドを立て気味にして、カーブフォールさせる。

途中では時々ロッドを揺らしながらのフォールを入れてみたり、ときには大きく誘い上げるなどカワハギにアピールさせる。

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キャストしてからのカーブフォール、ゼロテンで反応を探る鶴岡氏

ただ、食わせるのはゼロテンションでの状態か、中オモリを利用してのややたるませ気味(マイナステンション)でアタリを出させている感じだ。

「今回登場した3機種の中では、今使っているEXSIGNAL KAWAHAGI 179SS(センシティブセンサー)だけが、金属穂先であるテクノチタントップを使っているんです」と鶴岡氏。

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テクノチタントップ搭載の「179SS」

そして「チタントップの柔軟性がマイナステンション時でも、海中からの反応を明確に伝えてくれるんです。それでいて、目感度も抜群なんですが、同時に手元へも伝わる手感度も最高に仕上げたロッドで、僕はもうこれが手放せません」とも。

「柔軟」というだけではなく、バット部分にはかなり張りを持たせたパワータイプでもある。

その理由はアンダーキャスト時にもしっかりとオモリが乗って飛距離が出る。

また、遠方でアタリが出た際にも確実に鈎を掛けるためのバットパワーでもある。

まさにボトムでの釣りを中心として、アクション性能に長け、ややテンションを抜いた状況下でも、微細な反応をとらえて、掛けていく釣りに特化したロッドなのだ。

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キャストで沖のポイントからカワハギを引きずり出す

オールマイティに攻める三石さんならではの「175AR(オールラウンド)」はまさに万能タイプ

宙層を中心とした縦の釣りを得意とする田中氏、そしてキャストからのカーブフォール、ゼロテンション、マイナステンションを駆使する横の釣りを得意とする鶴岡氏に、それぞれ状況が合う時間帯があった。

ただ「縦」の時間帯、「横」の時間帯ともに安定したペースで釣り続けていたのが三石さんだ。

田中氏がよく釣っている時間帯には宙層での攻めを展開し、鶴岡氏がペースを上げれば、同様にキャストしての横を釣りを展開していく。

いろいろなノウハウを持ち、状況に合った釣り方を見極めて、どんどん合わせていく三石さんならではの展開だ。

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オールマイティに攻め分ける三石さん

三石さんが使用しているのは「EXSIGNAL KAWAHAGI 175AR(オールラウンド)」。

まさに縦の釣りもこなすことができるかと思えば、ゼロテンからマイナステンションでの釣りでも対応してくれる、まさにその名の通りの「オールマイティ」なロッドである。

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三石さんプロデュース、オールマイティに使える「175AR」

「まず1本を…と考えるなら、絶対にこの175ARですよ」とは三石さん。

簡単に言うと、宙層でのオモリを浮かせた状態でのアクションはもちろん、キャストもしやすいバットの張りを持たせた反面、微細な前アタリが分かりやすく、エサに付いたカワハギが離れない柔軟なティップを搭載していて、手感度、目感度ともにバランスよく設計されている。

実際に自分がどのような釣りがやりやすいのか…は、分かりかねているアングラーも多いだろう。

そんな時にはまず「175AR」からスタートしていろいろな釣り方を試し、その中から自分が縦の釣りが得意なのか、横の釣りが得意なのかを判断していくと、釣果が伸びること間違いなし!

良型揃いの中、三者三様の釣りで3人が尺カワハギを仕留める快挙!

当日、久里浜沖ではアタリ自体は散発ながら、カワハギが寄っているポイントに入ると、カワハギが連発する状況。

そして、アタリがない場所ではまったくの無反応という場面も…。

釣れるカワハギのサイズは平均して大きく、25㎝以上がかなり混じって、小さくても20cm前後とかなりのもの。

そんな中、鶴岡氏がキャストからのカーブフォールで攻めていると、ボトムにオモリが着いた状態から、ややテンションを抜いた時にツンと反応があったと言う。

掛けアワせた「179SS」が心地よく曲がって良型を確信させる。

重量感が伝わった時の曲がり込み方も、きれいな弧を描くのがこのロッドの特徴という。

浮かせてくるほどに重量感が増し、浮かせたカワハギを見てすぐにタモを手にした。

タモにおさまったカワハギはひときわ大きく、計測の結果は30cm!

カワハギの登場だ。

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いきなり飛び出した鶴岡氏の尺カワハギ

そして、再びかなりの重量感をとらえた鶴岡氏だが、魚らしい引きではない。

「もしかするとタコかも」と言いながらゆっくり浮かせていた時だった。

三石さんが「これは大きいよ~」と叫んだ。

大物と確信してゆっくりと浮かせにかかる三石さん。

だが、その前では鶴岡氏がマダコを浮かせて船上は大騒ぎ。

と、その陰でタモ入れした三石さん。

「30㎝あるよ~!でもマダコ騒ぎで誰も見てくれな~い(笑)」と船に上げたカワハギは、計測するとこちらも30㎝の大物。

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三石さんも負けじと30cmのカワハギを仕留めた

「あと、田中さんが釣れば3人そろって尺カワハギですよ~。早く釣ってください~」と、皆が田中氏にプレッシャーをかける。

が、そこは百戦錬磨の名手。

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32㎝の尺カワハギで締めた田中氏

最後の部分で高所を攻略していた田中氏に、大きなカワハギが釣れた。

これは驚くほどの32㎝の逸品でフィニッシュ。

そのサイズゆえに、大きなクーラーボックスが一杯になるほどの爆釣だった。

カワハギ三銃士の競演 新作ロッドで尺オーバー連発

●交通:京急久里浜駅から徒歩10分。車は横浜横須賀道路の佐原ICで下り左折。
少し先の佐原交差点を右折し京浜急行のガード下を通過後、国道134号の久里浜交差点を左折して夫婦橋へ。

●問い合わせ:山下丸(TEL:080・5058・8856)

※当日の様子は、上記のYouTube フィッシングDAYS「カワハギ三銃士の競演 新作ロッドで尺オーバー連発」で視聴できる。

(文・写真/松村計吾)

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ライター紹介

松村計吾

松村計吾

大学で水産無脊椎動物の研究を経て、釣り出版社に入社後、30年以上釣り雑誌や釣り情報紙の編集を手掛ける。取材などで釣りの現場に出ることはもちろん、休日などのプライベートでも常に釣りシーンにハマっている。得意な釣りは船のテンヤタチウオ、カワハギ、エギング、イカメタルなどだが、日本全国を飛び回りあらゆる釣りを経験。ちなみの甲子園の年間シートも所持。甲子園でのビール消費量も球界一とか・・・。