なぜ悪いほうの予報を信じるのか 頭のクセの話

予報が割れると、なぜ悪いほうを信じてしまうのか|週末の判断に効く、頭のクセの話

FISHING JAPAN 編集部

週末の天気予報を3つ見比べて、いちばん悪いものを信じた。そんな経験はないでしょうか。

降水確率40%と60%が並んでいたら、頭に残るのは60%のほうです。「昼から回復」と「昼から本降り」が並べば、本降りのほうが強く残ります。

心理学では、こうした偏りをネガティビティ・バイアスと呼びます。良い情報より悪い情報のほうを、人は強く重く受け取る傾向があるという考え方です。危険を早く見つけたほうが生き延びやすかった、という説明がよくされます。

釣りに当てはめると、これは二つの顔を持ちます。

船釣りでは、たいてい正しく働きます。海の上は、逃げ場がありません。悪いほうを信じて予約を見送った日に何も起きなかったとしても、失ったのは一日ぶんの釣行です。逆の判断で外したときに失うものとは、比べものになりません。この頭のクセは、船の上では味方です。

ところが陸っぱりでは、話が変わります。堤防や海釣り施設は、途中でやめて帰れます。それなのに悪いほうの予報を信じて、朝から一日を家で過ごしてしまいます。夕方には晴れていた、ということが起こります。ここでは、同じクセが機会を減らす方向に働きます。

もう一つ、別の頭のクセも絡んできます。思い出しやすい出来事ほど、よくあることだと感じてしまう傾向です。心理学では利用可能性ヒューリスティックと呼ばれます。悪いほうを重く受け取るネガティビティ・バイアスとは別のはたらきで、しかも予報の話では、二つは逆を向きます。

「行かなくて正解だった」日より「行けばよかった」日のほうが、記憶に残ります。残った例が思い出しやすいので、「予報は当たらない」という感覚が育ちます。実際の的中率とは別のところで、そう感じてしまうわけです。

つまり私たちの中では、悪い予報を重く見て出かけない力と、予報そのものを軽んじて出かける力が、同時に働いています。ちぐはぐに感じますが、どちらも同じ人の中にあります。

そこで、予報の読み方を一つ変えてみます。

予報を「行くか、行かないか」を決めるために読むのをやめて、「いつ切り上げるか」を決めるために読んでみます。この読み方なら、悪いほうを信じても行動は止まりません。雨が昼からなら、朝の3時間で組みます。風が午後から強まるなら、風裏の場所を先に選んでおきます。

今週末がちょうどその形です。9月5日(土)の関東はまだもちますが、6日(日)は南部で午前中から崩れます。土曜に出て、昼過ぎには片づける。日曜は最初から予定に入れない。

悪いほうを信じる頭のクセは、無理に消さなくていいものです。行くか行かないかではなく、何時までやるかを決めるほうに使います。それだけで、同じクセが味方に変わります。

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