9月1日は二百十日 来襲した台風は戦後たったひとつ

9月1日に日本へ来襲した台風は、戦後たった一つ|二百十日が暦に残ったのは、当たるからではない

FISHING JAPAN 編集部

昭和20年代以降、9月1日に日本へ来襲した台風は、1949年のキティ台風ただ一つ。東京消防庁がそう書いている。八十年ほどで一度、率にすれば1パーセント強でしかない。

9月1日は二百十日にあたる。立春から数えて210日目で、2026年はちょうどこの日になる。農家にとっては稲の開花期に台風が来る厄日とされ、漁師にとっても海に出ない日とされてきた。この時期に吹く強い風には「野分」という名前まで与えられている。二百二十日という言葉もあり、こちらは今年は9月11日だ。

同じ東京消防庁の説明はこう続く。「統計的にはこの日、特に台風が来襲しやすいというわけではなく、台風期を控えての警戒期と考えられます」。暦が名指しした日と、実際に荒れた日は、ほとんど一致していない。

では、なぜこの言葉が数百年も残ったのか。当たるからではない。忘れないためだと考えるほうが筋が通る。

年に一度、日付を決めて身構える。それがなければ、備えは「そのうちやる」の中に溶けてしまう。当たるかどうかではなく、思い出すきっかけとして機能する日付。暦の役割は予報ではなく、注意の予約なのだ。

海で暮らしてきた人たちは、二百十日を単なる迷信としては扱わなかった。船を陸に上げる、網を片づける、修理に回る。動かない日を先に決めておくことで、判断を天気に委ねずに済む。行かない日を決めておくという技術は、今の釣り人にもそのまま使える。

台風が近づいてから行くかどうかを迷うのは、いちばん判断を誤りやすい形だ。風速何メートルで中止、うねりの周期が何秒で中止と、行く前に線を引いておく。それが二百十日という言葉が残してきたものだと思う。

なお2026年9月1日の関東の波の予報は、東京地方が0.5メートル、神奈川県は東部・西部とも1メートル、千葉県の北東部と南部は1.5メートルでうねりを伴う。同じ千葉県でも東京湾側の北西部は0.5メートルだ。外房と東京湾で3倍の差がある。暦が名指しした一日の関東で、行ける場所と迷う場所が分かれている。「二百十日だから海が荒れる」ではなく、「同じ日でも場所で3倍違う」というのが実際である。

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