波高ではなく周期を見るべきことを示した図

波高ではなく周期を見る|台風が遠い日ほど、うねりは長い間隔でやってくる

FISHING JAPAN 編集部

台風22号は8月31日午前3時、日本のはるか東で熱帯低気圧に変わった。23号も日本のはるか東を北上しており、9月2日にはアリューシャン近海で温帯低気圧になる見込みだ。気象庁が8月31日15時に出している情報でも、日本が暴風域に入る確率が0.5%以上となる時間帯はない。今回はどちらも、日本に直接の影響を与えずに終わった。

今回は、それで済んだ。だが「遠いから大丈夫」というこの判断こそが、毎年人を磯から連れ去っている。

台風が遠くにあっても、うねりだけは先に届く。しかも遠い台風のうねりほど、波と波の間隔が長くなる。波は長い距離を進むあいだに、周期の長いものほど速く伝わるので、先着してくるからだ。

ここが判断に使える。風が吹いて立つ普通の波は、間隔がおおむね4〜6秒と短い。一方、遠くの台風から届くうねりは10秒を超えてくることがある。

つまり最も騙されやすいのは、晴れていて、風がなく、波の高さも低いのに、間隔だけが長い日だ。見た目は穏やかで、実際に足元へ来る一波だけが重い。

気象庁の波浪情報には、波の高さだけでなく周期も出ている。出発前にそこを見て、自分の基準を先に決めておきたい。たとえば「波高が低くても、周期が10秒を超えていたら磯には立たない」と決めておけば、現場で迷わない。

なぜ遠いほど間隔が長くなるのか。台風の下では、いろいろな長さの波が同時に生まれている。そのうち間隔の長い波ほど速く進むため、遠くまで来るあいだに先頭へ抜けていく。だから遠方の台風からは、間隔の長い波だけが選り分けられて届く。手前の海が穏やかに見えるのは、短い波が届いていないからにすぎない。

危ないのは磯だけではない。テトラの上、堤防の先端、河口の砂浜。いずれも間隔の長い一波で足元が洗われる。特にテトラは、濡れた面に乗った瞬間に立て直しがきかない。

現場でも確かめられる。釣り座に立つ前に、波が来る間隔を十回数える。間隔が長い、あるいは揃わないと感じたら、その海は磯に上がっていい海ではない。

分かっていても引き返しにくいのが、この判断の難しいところだ。早起きして、高速代を払って、道具も積んできた。だからこそ基準は現場ではなく家で決めておく。「周期10秒を超えたら磯には立たない」と先に決めておけば、現場での葛藤そのものが起きない。

そのうえで基本の備えを重ねる。荷物とクーラーは波の届かない高さに置く。ライフジャケットは必ず着ける。この二つは、間隔の長い一波が来たときにだけ効いてくる。

台風が遠いという情報は、安全の根拠にはならない。見るべき数字は、波の高さではなく波と波の間隔である。

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