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[E2F(第19回)]東京湾のルアー五目
ヨッシーこと吉岡進がルアー釣りを中心に色いろな釣り物を狙い、毎回釣りの楽しさを伝えていく「EnjoyEveryfishing(略してE2F)」。
第19回はキャスティングで狙う東京湾のルアー五目。
サワラを主体にタチウオやイナダなどが釣れるがとくに今秋はサワラの群れが濃く、出船軒数も増えている人気の釣りである。
9月下旬に釣行したのは東京湾奥千葉市寒川の守山丸。
金子輝人船長が目指したのは木更津沖の水深20m前後、ナブラやトリヤマはなく、魚探に映るベイト(5cm前後のカタクチイワシなど)の反応を探してドテラ流しで探っていく。
目次
Profile
◆よしおかすすむ1982年生まれ。
ヨッシーの愛称で親しまれている。
一つテンヤマダイ、ライト系オフショアルアーを得意とする。
ジャッカルソルトプロスタッフ、シーガーインストラクター。
サワラの釣り方 着底したら早巻きが基本
ブレードジグをキャストして着底したら早巻きするのが定番だが、アタリが遠いときは巻く速度に緩急を付けたり、止めたりして誘うのも有効だ。

ヨッシーは40gのブレードジグ「バンブルズバイトビーンズTGサワラSpecial」をアンダーハンドでキャスト、着底させてからルアーを回収するくらいのスピードで巻くのをひたすら繰り返すがアタリは遠い。
10時半。ヨッシーがルアーをピックアップしようとした瞬間、ロッドが曲がった。
足元でヒットしたのでドラグを効かせてファイトし、仲乗りさんの差し出すタモに収まったのはサワラ。
その後「フラッグトラップブレード」40gという新たな武器を手にキャスト&リトリーブを繰り返し、サワラを追釣。
タチウオやイナダも釣り上げて東京湾のルアー五目を堪能したヨッシー

▲丸まると太ったイナダも釣れた

▲タチウオは1m級の良型ぞろい
#EnjoyEveryFishingTackle&Lureguide
東京湾のルアー五目タックル
スクランバはこれ1本あれば東京湾のサワラゲームはバッチリのサワラ専用ロッド。
ショートバイトやバラシが多いときはやや軟らかめのエクストロSLJの出番となる。
リールはとにかく早く巻けることが重要。
シマノならXG、ダイワならXHとギア比が高い4000~5000番がおすすめ

#船宿インフォメーション
東京湾奥千葉市寒川
守山丸
043・312・2640
ルアー五目やタチウオ、シーバスなど東京湾のルアー釣りを気さくな金子輝人船長が楽しませてくれる。
ルアー五目は片舷12名限定で出船。
安全のためアンダーハンドキャストで、ルアーのフックはカエシを潰してバーブレスにしておこう。
サワラに実績抜群のメタルマジックTG40gの守山丸オリジナルカラーを販売している。
備考=予約乗合、6時出船。
タチウオ、アジにも出船。
各種仕立船も受付中

▲金子輝人船長(右)

▲釣り上げたサワラは仲乗りの板倉さんが神経絞めしてくれる
サワラの顔は怖い。
小さな黒目は無表情で、口はバックリと大きく裂け、ズラリと並んだすきっ歯が鋭く尖る。
残忍そうな顔つきのままに引きは力強い。
船ベリに近付いても獰猛に暴れまくるから、最後の最後まで気が抜けない。
実際海面バラシも多い釣りだ。
非常にスリリングな分、無事にネットインしたときの安堵感と達成感は、ほかの釣りと比べてもかなり大きい。
サワラを釣っただれもが拳を突き上げ、勝利の雄叫びを上げるだろう。
そして、船に取り込まれたばかりのサワラの魚体は素晴らしく美しいのだ。
背中のエメラルドグリーンからお腹のシルバーにかけてのグラデーションは、艶めかしい虹色に輝く。
ほどよくまぶされた斑点がアクセントになり、ため息が出るほどだ。
若干の難点は、流血しやすく、あちこちに濃厚な血しぶきを飛ばすことだろうか。
釣り上げたあとは、ブラシを使っての船体掃除が必須マナーである。
だが、それを補って余りあるダイナミックな引き、そして美しさを目まの当たりにできるのは、まさに釣り人の特権と言える。
そして最大級の特権は、サワラはズバ抜けてうまいということだ。
これはもう、間違いない。
刺身はもちろん、塩焼き、照り焼き、西京焼き、煮つけにソテーにムニエル、フライと、どう調理してもうまい。
抜群にうまい。
「醜い魚ほどうまい」と、よく言われる。サワラは決して醜い魚ではないが、極悪な面構えであることは確かだ。
しかし魚体は美しく、食べてもうまい。
9月26日、東京湾奥は千葉市寒川港から出船する守山丸のルアー五目船は、平日にもかかわらず賑わっていた。
「ルアー五目」と銘打っているだけあって、青物やタチウオなどもターゲットだが、釣り人の頭の中は、あの凶悪なサワラの顔でいっぱいだ。
その中に、E2F取材班がいた。

▲ブレードジグをキャストして早巻きでイナダをキャッチ
ブレードジグがド定番!キャスティングのサワラゲーム
長ながとサワラの魅力を書き記したのには理由がある。
皆さんにもぜひサワラに挑戦していただきたいからなのだが、正直なところハードルは高いのだ。
釣法そのものは、極めてシンプルだ。
ブレードジグを投げて早巻きする。
ただそれだけである。
現在、東京湾のサワラゲームはブレードジグが主流となっている。
40g前後のジグのテールに、ブレード(回転する羽根)が付いたフックを装着したものだ。
これをアンダーキャストで投げ、着底させたら猛然と巻く。
ひたすら巻く。
とにかく巻く。
守山丸の金子輝人船長は、「前はお客さんに『リールが火を噴くぐらいの速さで巻いて』と言ってたけど、今は消防法に引っかかるからね。『腕がもげそうになるぐらい早巻きして』と言ってます」とジョークを飛ばす。
が、ウソとも言えない。
「2日連続で来るお客さんなんて、腕にテーピングしてるよ」と真顔の金子船長なのである。
それぐらいの早巻き。
「早く巻けば巻くほど、サワラのヒット率が高い」と、まことしやかに言われているからリーリングする腕にも力が入る。
「本当に腕がもげそうになるよ」と苦笑いするのは、ライターのタカハシゴーである。
昭和44年製の身体には厳しい釣りだ。
「ただ早巻きするだけならまだしも、アタリが少ないんだ。それがキツくてさ……」
体だけではなく、心も音を上げているようだ。
しかし、こればかりはタカハシゴーを責められない。
実際のところサワラは気まぐれで、いつ食ってくるか読めないのだ。
正直に記しておこう。サワラ狙いに関しては、一日巻きまくってゼロバイト、ということも十分にあり得る。
逆に、ワンキャスト・ワンバイトということも起こる。
実にギャンブル性が高い、ハイリスク・ハイリターンの極みのような釣りなのだ。
そこがまた、多くのアングラーを惹きつけてやまない大きな要因になっている。
だれだって本当はギャンブル的なコトが好きでしょう……?
しかし、世界にただ一人、「サワラゲームはギャンブル」と思っていない男がいる。
E2F取材班を率いるヨッシーこと、ジャッカルプロスタッフの吉岡進である。

▲船ベリを見ると突然走り出すこともあるのでタモ入れするまで油断できない
アタリがなくてもあきらめずひたすらキャスト&リトリーブ
ヨッシーは泣き言も小言も言わず、ひたむきにスピニングリールを巻き続ける。
「釣れないよ……」
「魚、いないんだよ……」
「ムズ……」
「どうすりゃいいのさ……」
「やりようがないじゃん……」
ただ巻き続けるだけの釣り。
そしてそうそうアタリのない釣りに心の声がダダ漏れのタカハシゴーとは対照的である。
「心が折れそうになるのは、おれも分かるよ」とヨッシー。
「チャンスが少ない釣りだからね。アタリがない時間が長いから、『魚、いないんじゃないか』と疑心暗鬼に陥っても仕方ない。でもおれはいつも『魚はたくさん泳いでる』とイメージしてるんだ。ルアーが着水した所から船ベリに巻き切るまでの間、常に魚の大群の中をルアーが通っているものだと想像してる」
これは強い。
「魚はいる。それなのに釣れない」と思えば希望が持てるし、工夫の余地もあるからだ。
そしてヨッシーは実際に早巻きの中でも工夫を凝らしている。
「投げて巻くだけのシンプルな釣りだから、やりようがないと思いやすいんだよね。それが集中力を途切れさせてしまう。でも、そんなことないんだよ。ただ早く巻くだけじゃなく、おれは巻きスピードを微妙に変えたり、途中で巻きを止めたりしてる。だって、海面下にはものすごい数の魚が泳いでるんだもん。……想像上では(笑)。それなのに食ってこないなんて、コッチの問題でしょ?」
工夫をするのは、金子船長も同じだ。
6時に港を離れると、45分後に東京湾アクアライン近くの海域で減速。
ベイトの反応をサーチし始めた。
しかし、なかなか止まらない。
遠くにぼんやりと筑波山が見え、曇り空の下、東京の高層ビル群だけが日差しに照らされている。
細かな加減速を繰り返しながら、東京湾アクアラインの橋梁部分をくぐって南下し、再びくぐり直して北上する。
フィッシュイーターが捕食するイワシなどのベイトがうまい具合にまとまっていないのだ。
その様子を見て取ると、ヨッシーはサンドイッチをぱくつき始めた。
決戦に向けての準備だ。
すぐに食べ終え、鋭い目つきで海を眺めている。
ポイントの海域に到着し、サーチを始めてから40分ほど経過した7時33分、ようやく船が止まった。
船長の「やってみてね〜」との合図が飛ぶ。
水深18m。
投げて、着底させ、早巻きする。
ほんの数回繰り返した約5分後、「はい、上げて〜」と船長。
移動だ。
「これで釣れるの……?」と不安になるタカハシゴーに、ヨッシーが自信満々の笑顔でサムアップを返す。
「釣れる。釣れるよ。サワラは朝寝坊なだけなんだ」
そのサムアップが、やけに力強かった。

▲タカハシゴーが釣り上げたのは131cm、指幅7本級のドラゴンタチウオ
早巻き+食わせの間=サワラのヒット率アップ!?
5〜10分ほどで、どんどん流し変える金子船長。
8時43分からの4流し目に異変が起きたのはタカハシゴーだった。
流し変えの間にヨッシーが、「あれ?ゴーさんのリーダー、かじられてない?」
「うん……。巻いてる途中でアタリらしきものがあったんだけどさ……」
「なんで黙ってるのよ!?」
「なんか軽くなったかな、程度の違和感だったから、勘違いかな〜って……」
「それ、サワラが追っかけてきてたんだよ。惜しい〜っ!」
サワラはキラキラと輝くブレードに反応し、猛スピードでルアーを追うものの、途中で見切ってしまうことが多い。
タカハシゴーのケースでは、「ん……?」と思ったサワラがルアーを追いながらちょっかいを出し、リーダーに鋭い歯が当たった、というのがヨッシーの読みだった。
ヨッシーが早巻きの間にもリーリングを止めるなどしているのは、サワラに見切られる前に食わせの間を作るのが狙いだ。
ダーッと突き進むルアー。
追うサワラ。
巻きを止めると、ルアーがフッと遅くなる。
そのイレギュラーな動きに、たまらずサワラが食いつく……という皮算用である。
そしてヨッシーの目論見は、見事にハマった。
この日の東京湾はしっかりベイトが固まった群れを見つけることがなかなか難しく、かなり苦戦気味だった。
9時過ぎの6流し目、ベイトリールでチャレンジしていたお客さんにヒットがあったが、惜しくも海面バラシ。
続けての7流し目、タカハシゴーに再びのアタリがあったが乗らず。
以降、東京湾は沈黙した。
E2F取材班の一員であり、最近は守山丸の仲乗りとしても活躍しているトモキこと板倉友基さんは「釣れるのは10時半ですよ」と笑った。
10時18分に12流し目が始まると、操舵室から出てきたトモキが「今までで一番いい反応ですよ!」と声を上げた。
その直後、ヨッシーが釣った。
貝殻を。
「幸先いいね」と笑った直後にタチウオを釣った。
流し変えての13流し目、ヨッシーが「おわあっ!」と叫んだ。
水しぶきが船にかかる。
ルアーを船に巻き上げようかという瞬間に、いきなりサワラが飛びついてきたのだ。
「反転する姿が見えたよ! いや〜、ビックリした」
サワラはずっとルアーを追っていたのだろう。
船ベリまできて見切りかけた瞬間に、目ざとく魚影を発見したヨッシーが止めを入れた。
そのイレギュラーな動きにサワラがたまらず食いついたのである。
「これは技ありの1尾だよ!」と、全力で喜ぶヨッシー。
数少ないチャンス--
しかもかなりトリッキーな状況で、見事に成果を上げた。
次の14流し目で、タカハシゴーが指幅7本級、131cmのドラゴン級のタチウオを釣った。
17流し目の11時24分、ヨッシーがサワラを追加。
21流し目の12時55分にさらに1尾を加え、計3尾とした。
22流し目の13時35分、お客さんがイナダを、イチローこと鹿島一郎さんがサワラを釣った。
それからも、粘りに粘った。
守山丸で竿を出した7人全員が諦めることなく投げて巻き続け、金子船長はサワラが食ってくる反応を探し続けた。
日が傾き始めていた。沖揚がり寸前の28流し目、15時ごろにヨッシーがイナダを釣った。
15時20分過ぎに沖揚がりを迎えたときには、29流し目にまで達していた。
残念ながら魚の顔を見られなかったお客さんが多い中、ヨッシーのサワラ3尾、タチウオ1本、そしてイナダ1本という釣果はズバ抜けていた。
ただ早巻きすればいいってものじゃない。
この釣りはやはり工夫次第であり、腕がモノを言う。
シンプルな釣法だからこそ、わずかな差が釣果に影響する。
凶悪な顔つきながら繊細さも持ち合わせるサワラ。
その機微を見抜いたヨッシーの完全勝利だった。

▲▲アタリがなくてもあきらめずに巻き続けることが大事
ヨッシーのメモリアルショット
今回のおやつタイムはヨッシーお気に入りの「みたらしだんご」。
ヨッシーがコンビニで買ってきてE2F取材班にお裾分け。
開始から3時間はノーヒットで完敗。
その後ヨッシーが待望のサワラを釣り上げたのを祝してだんごで乾杯。

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隔週刊つり情報(2024年11月1号)※無断複製・転載禁止

