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能登から全国へ!アオリイカ全開ティップラン
今や説明が不要なほど浸透した船のアオリイカ釣法・ティップラン。
日本海、西~南日本、東海、関東、東北へとフィールドを拡大する中、関東では沼津から内房にかけて、ほぼ全域で10月中旬以降は出船開始。
さらに日本海新潟以西ではナイトティップランが佳境を迎えている。
そのティップラン発祥の海が石川県・能登。
そして釣法を確立させた一人が、イカ先生・富所潤さんとN-styleの松栄克典船長。
特集本編ではティップランの源流といえる場所から、パイオニアの解説をお届けする。
当地では9月15日の解禁(自主規制)以降、例年以上の好模様が続いている。
地震と豪雨災害により北部は復旧の最中にあるものの、穴水をはじめ南部は通常どおりアクセスでき各種店舗も営業している。
ぜひ、釣り人の力で能登を応援してほしい。
目次
穴水港は金沢、富山の高岡から、ともに車で1時間半で到着
富所 潤(とみどころじゅん)
船のアオリイカ釣法を磨き「イカ釣りの上手な医者」転じて「イカ先生」と呼ばれる。
ティップランエギング、イカメタルのケンサキゲームを確立させた第一人者。
実家は新潟の釣具店「つり具のトミー」。
シマノインストラクター。
釣り方の手順はことあと紹介するとおりで、着底、巻きシャクリ、ポーズ、再着底の繰り返しで、アタリ即合わせが鉄則。
道具は下図のとおりで、スピニングタックル、細い道糸とリーダーを確実に直結すること、そしてサイズ3~3.5号、重さ21~60gの専用餌木を使うのがフォーマット。
釣り人は片舷に並び、船をドテラ流し(横流し)にするのがティップランの基本形。
このほか、夜釣りでアンカリングして狙う「ナイトティップラン」、日中でもエンジン流しで両舷に並ぶ「バーチカルティップラン」などがあるものの、ここではドテラ流しの基本形で話を進めます。
①底ダチが分からない人へ 餌木交換は重さの交換!
私が使っている餌木はノーマルの状態だと21g、これで着底が分からないときはシンカーを足して重くします。
道糸の色を見て水深近くになったら注意して、糸が止まる瞬間を見逃さないようにします。
それでも分からないときはシンカーをどんどん重くします。
または、重い餌木にします。
底が分かる、という意味では、一番重くしたほうがいい、と思うかもしれませんが、そうではありません。
アオリイカがいる場所は根がありますから、重い餌木ほど差し込むように根掛かってしまいます。
つまり、簡単に底ダチが取れるように一番重くするだけではイカが釣れなくなっちゃうわけです。
ではどうするかと言えば、着底が分からなかったら一段階ずつ重くして、着底が分かったら重くするのを止めます。
そして逆に風が緩くなったら、水深が変わっていなくても、餌木を一段階軽くします。
そうすると、根掛かりしにくく、餌木の姿勢もよく結果としてバランスよく釣れますし、餌木のこまめな入れ替えがカラーローテーション以上に効果を上げることがあります。
つまり、底ダチを取る=重さの交換=餌木交換。
どんどん重さを替えてみてください。
②シャクリ回数の勘違い 道糸の”L”を巻き取れ!
ティップランでのシャクリは5~8回ほどですが、最初の2~3シャクリはたわんだ道糸を巻き取ると同時に根掛かりを防ぐためのシャクリです。
投入直後、餌木が着底したときにPEの道糸は海面に浮いていますよね?
つまり、道糸は海中で直線になっているのではなく、逆L字のようなカーブを描いています。
このL字の部分をシャクリながら巻き取り、餌木の重さが乗ってから5回、しっかり巻きシャクリを行い、底から餌木を離しつつアオリイカを誘います。
イメージとしては、餌木が着底したときは底から0mなのではなく、糸フケを考慮してマイナスからスタートします。
ですから、1、2回目のシャクリは、マイナス分を取ると考えてください。
道糸を巻き取るシャクリを2~3回、続いて餌木を動かすシャクリを5回、で、計7~8回になるというわけです。
大切なのは、単なる回数ではなく、餌木の手応えを感じてからのシャクリの回数です。
糸フケが出ているのに5回しかシャクらないと、実質シャクリ2回、へたすれば1回分しか餌木が上へと動いていないので、底に着いてしまったりコウイカ類がヒットします。
ちなみに、糸フケをシャクリながら巻き取るのは、誘い以上に根掛かりを避ける意味があります。
③シャクリの盲点はココ スルスルピタッ。
シャクリをいきなり上手にできる人はいませんから、うまくできなくても気にすることはありません。
巻きシャクリがリズミカルにできない人にアドバイスして効果的なのが、竿尻を脇挟みにして、アジやイサキでコマセを振り出すようにシャクって、竿を上げた分、下げるときに巻く方法です。
コツは竿をシュッと勢いよくシャクること。
そうすれば、おのずとリズムが出てきます。
そしてシャクリ以上に気を付けてほしいのが、シャクった後に竿先をピタリと止めること。
ティップランでアオリイカが餌木を抱く、抱かないを決定付けるのは、シャクった直後から餌木を安定させられるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
とくに脇挟みでシャクったとき、そのまま構えていては竿先がブレやすいので、シャクリ終えたらリールを巻きながら竿を前に出して、腕を自然に伸ばして手のひらに乗せてやります。
この動作を擬音で表すと「スルスル、ピタッ」。
こうすると竿先を安定させやすくなりますので、竿がブレないように意識を集中して、5~10秒、乗りが遠いときは15秒ほどアタリを待ちます。
シャクり終えるときには必ず「スルスル、ピタッ」と覚えてください。
アタリがなければ、ためらわずに再び着底させてください。
また、アタリが出て空振ったときも同様、着底させてください。
そのまま上にシャクリ続けて乗ることもありますが、圧倒的に乗る確率が高いのは再着底させるほう。
着底前にフォールで餌木を抱いているケースも多いので、再着底させるときは竿先に糸が絡まぬよう注意してください。
シャクリがうまくできない人は脇挟みで、シャクリ終えるときはスルスルピタッ、です。
④餌木の色が分からない 色はチョー適当でよい。
餌木の色には過去の実績や科学的な狙いなど色いろありますが、はっきり言って、私は餌木の色にはこだわりません。
なぜなら、市販されている餌木はすべて釣れた実績色。
人の好みはあっても、アオリイカがその時どきに海中で何色を好むかなんて分かりません。
むしろ、交換という意味では、色よりも重さをこまめに替えるために餌木を交換します。
各号数のシンカーが付いている餌木が何色か気にせず使いますから、自然に色も交換していることにはなりますが、カラーローテーションとか、意識することはありません。
言葉は悪いのですが、餌木の色については適当です。
チョー適当と言っていいぐらいです。
色に悩むのはもったいないと思います。
それよりも、バランスよく着底させられる餌木の重さを選んだり、しっかりシャクリができているか、そして竿先をピタッと止めていられるか、そちらに意識を集中したほうがいいと思います。
釣れない理由にもなるのですが、どこに意識を集中して、動作を正確に行うかがティップランでは大切です。
色に悩むより、自分の動作に集中するほうがアオリイカへの近道だと思います。
専用餌木が不可欠。セフィアアントラージュ3号は10色のラインナップ
⑤自分だけ釣れない理由 心理戦に負けているだけ!
私も時折、乗合船で自分だけ釣れないことがあります。
そんなとき、さらに釣れなくなってしまい、悪循環に陥ってしまう人が結構います。
自分だけ釣れないとき、一番多く見られるのが「どんどんペースが速くなる」こと。
たとえば、シャクった後に5~10秒止めるのが基本だとしたら、自分だけ釣れないときは長く止めてアタリを待ったほうがいいんです。
いわゆるロングステイで15秒以上待つとアタる、そんな巡りというか、リズムなのに、周りが早いテンポで釣れていると焦ってしまい、シャクって止めた瞬間のアタリを追い求めてしまったり、止めた瞬間のアタリが分かっていないのではないかと慌てて、どんどんテンポを早めて釣れなくなっていきます。
2つ目が「余計なことをし始める」こと。
単純な動作を正確に繰り返すことで釣れていたはずなのに、自分だけ釣れないとシャクリの回数を少なくしたり増やしたり、シャクリの幅を大きく、または小さくしたりします。
一番大切なのは自分の釣れていたリズムで正確に繰り返すこと。
変えなければ、いつかリズムが合って釣れるはずなのに、それがズレるからなお釣れなくなるし、竿先に糸を絡めて破損するのもそんなとき。
そして3つ目が、周りを見ている間は「竿先から目が離れていて、しかも集中できない」。
あの人また釣れてる、何色の餌木だろう?何回シャクってるのかな?と釣れている人を気にしている間は、自分の竿先はブレていますし、アタっても見逃してしまいます。
ティップランで竿先を止めている間は、話をするだけでもブレますから、よそ見をしたらなおさらです。
つまり、普段自分が釣れている動作も、竿先への集中もできていないのですから、釣れなくなるのは必然。
だれかがバンバン釣ると周りが釣れなくなるのは、そんな心理面が大きいと思います。
日中のティップランは場所が変わっても釣り方は同じ。
ブレずに基本を確実に繰り返して、その精度を上げることが釣果につながります。
ぜひ皆さんも、釣れないときは基本と、そのリズムを思い出して、自分の竿先に集中してくださいね!
透けるイカと透ける餌木、フラッシュブースト
能登の秋イカのサイズは胴長20cm前後。700gほどが最大か
INFORMATION
石川県・能登穴水 N-style
080・1955・1416
▼備考=予約は電話にて受付
釣り船予約サイト「釣割」のスタッフがオススメする釣り船はこちら!
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隔週刊つり情報(2024年11月1号)※無断複製・転載禁止