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[E2F(第16回)]相模湾のルアーシイラ

隔週刊つり情報編集部

Profile よしおか すすむ

1982年生まれ。

ヨッシーの愛称で親しまれている。

一つテンヤマダイ、ライト系オフショアルアーを得意とする。

ジャッカルソルトプロスタッフ、シーガーインストラクター。

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夏の相模湾はキャスティングで狙うルアーシイラがアツい

ヨッシーこと吉岡進がルアー釣りを中心に色いろな釣り物を狙い、毎回釣りの楽しさを伝えていく当連載「Enjoy Every Fishing(略してE2F)」。

第16回はキャスティングで狙う相模湾のルアーシイラ。

今シーズンは小型は少なく、釣れれば80〜110cm前後の良型主体、キメジやカツオも回遊しており盛り上がりを見せている。

シイラ釣りの魅力はヒットする瞬間が丸見えなところ。

ルアーを襲ってきてヒットすると疾走し、派手なジャンプが目の前で繰り広げられる。

6月下旬に釣行したのは相模湾平塚港の庄三郎丸。

当日は雨にもかかわらず3隻出しと盛況。

望月船長が向かったのはパヤオ(浮き魚礁)。

ポイントに到着すると少し沈んでいたがシイラを発見。

同船者の投げたシンキングペンシルにヒットすると、これを皮切りに船中のあちこちで1m級のシイラが次つぎにヒットし、タモ取りが間に合わないほど。

ヨッシーもこのチャンスに沈んでいたシイラをフォールで食わせた。

約1時間ほどフィーバータイムが続き船中全員安打を達成!

その後は潮目を流しながら流れ藻や流木を狙っていくが、雨が強くなり厳しい展開に……。

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パヤオに着いていたシイラは1mオーバーの良型ぞろい

相模湾平塚港は熱かった。

ドヨンとした曇天。

全面的に厚い雲に覆われた空。

これから確実に雨が降る予報。

低い気温。

それがどうした。

そんなこと、構うものか……!

庄三郎丸の船宿に続々と集結するアングラーたちの目は、一様に燃えたぎっていた。

その中に、われらがE2F取材班の姿もあった。

いつもどおり、ジャッカル・プロスタッフのヨッシーこと吉岡進さん、釣友のイチロウこと鹿島一郎さんと、トモキこと板倉友基さん、そしてライターのタカハシゴーの4名である。

普段は聞くに耐えないくだらないバカ話を繰り広げ、朝っぱらからハイテンションなE2F取材班だが、今回は少しばかりおとなしい。

たくさんのお客さんで賑わう船宿から、荷物はトラックに載せ、人はワンボックスカーに乗り、船着き場へ向かう。

システマチックな物流・人流は、スムーズにして迅速だ。

これぞ平塚港のベルトコンベアシステムである。

船に乗ると、最終準備に入る。

この日ー6月21日は金曜日にもかかわらず、次つぎにトラックとワンボックスで荷物と人が運ばれてくる。

船着き場は、まるで魚市場のような活気だ。

2隻用意されていた庄三郎丸のルアーシイラ船は、ほどなくして3隻での出船となった。

夏の相模湾の風物詩、シイラ狙いのキャスティングゲームは、ここのところキメジやカツオも交じりながら絶好調とあって大人気なのである。

大いに気勢が上がる、庄三郎丸のルアーシイラ船。

ゴツいタックルをいくつも持ち込んだベテランの常連さんたちが、テキパキと動き回りながら船長のサポートをしている。

もはやどなたが仲乗りさんで、どなたがお客さんなのか、よく分からない状態だ。

皆さん親切ていねいに接してくれるから立場などどうでもいい感じである。

人なつっこいトモキが、常連さんと話しながら情報収集する。

その話を聞きながら、「そっか。今日は沈み気味かもね……」と、暗い空を見上げてヨッシーが表情を曇らせた。

6時に港を離れた庄三郎丸は、沖を目指す。

ところどころドス黒くて凶悪な雲があるが、そんなものは目に入らない。

「おや、ちょっと明るくなってきた……かな」

「あ、見て見て、あそこら辺、ちょっと雲が切れてる……ように見えるよ」

「おう、日が差してる……感じがしないでもないな」

あくまでもポジティブである。

幸いにも6月も終盤。

暑くも寒くもない気候で、波穏やか、まずまず快適なクルージングだ。

……この時点では。

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出船前に同船した常連さんから近況やヒットパターンなどを教えてもらう

相模湾一帯を移動しながら乗船者全員でシイラを探す

船が走っている間、ベテラン諸氏が楽しげに色いろと教えてくれる。

「ここんとこ、クジラがよく出てるんだよ」

「ク、クジラですか!?」

「そう。イワシクジラとか、ニタリクジラとか言われてるヤツだね。正確にはどっちか分かんないけど……(笑)」

「すげぇ、見たい!」

テンションが上がるE2F取材班。

単純なのである。

だが、一人浮かない顔をしている者がいた。

永遠の初心者、タカハシゴーだ。

実は昨年6月28日、E2F取材班は同じ庄三郎丸でシイラ・キャスティングゲームに挑んでいる。

天候はよかったが、シイラのご機嫌はよくなかった。

なかなか姿を見せないシイラだったが、そこは手練れぞろいのE2F取材班である。

少ないチャンスを確実にモノにして、全員がシイラをキャッチした。

……タカハシゴーを除いて。

彼なりに頑張ってキャストを続けたのだが、シイラは振り向いてくれなかった。

そしてタカハシゴーの心には「シイラ、オソルベシ」の8文字が、バッチバチに刻み込まれたのである。

「クジラは見たいけど……、シイラ、逃げてしまわないですかねえ?」

やたらと心細そうなタカハシゴーに、常連さんが優しく説明してくれた。

「逆ですよ、逆。クジラ、いてくれたほうがいいんです。クジラはイワシを追って、群れを固めてくれる。そんでクジラがブワッとイワシを食うと、そのおこぼれを狙ってシイラやカツオがバーッと集まってくる。クジラがいてくれたら、ラッキー。みんなで探しましょう」

そう、この釣りは船中が一丸となって海をサーチし、なんらかの変化を探すことが非常に重要になってくる。

常連さんが教えてくれたクジラを始め、流木、流れ藻、ちょっとした跳ね、なんでもいいから変化があると、そこにはシイラがいる可能性が高い。

だから船中がワンチームとなり、一丸というより一眼という感じで、とにかく海面をウォッチすることが大切だ。

船に乗っていたのは約10名。

20個の目が一眼となって、ときおり遠くを指さしては「あ、今跳ねたよ!」とか「クジラじゃない!?」とやるのだ。

はっきり言って、それだけでも楽しい……。

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ミヨシの突き出しでシイラを探しながら釣る

釣れすぎでタモ待ち渋滞 良型主体に全員安打達成

そのときは突然やってきた。

相模湾の沖に設置されているパヤオ(浮き魚礁)に船が寄るや否や「いたぞっ!」という叫び声とともに一斉にルアーが飛んだ。

シイラ軍団が海面下を突っ走る。緑に光る魚体。

青いヒレの閃ひらめき。

素早い泳ぎは実にエネルギッシュで夏の海の花火のような爆発力だ。

しかし、美しい光景に見とれているヒマはない。

「投げろ、投げろ!」

「いたぞ!」

「チャンス、チャンス!」

だれもがヒートアップして叫んでいる。

船中のパワーが1点に集中している。

「シイラだ! シイラを獲れ!」

「食った!」

「掛かったよ!」

信じがたいことに、全員の竿が一気にブチ曲がった。

あちこちからジャージャーというドラグ音が鳴り響く。

ドスン、バタン!

さっそく取り込まれたシイラが、力強く船のデッキをたたく。

叫び声。ドラグ音。

デッキがたたかれる音。

そして、魚の匂い。

実に勇壮だ。

釣りという概念を超えたダイナミックさが、ルアーシイラ船にはある。

「タモ、待ってね〜!」

船長が走り回る。

タモ待ち渋滞のうれしい悲鳴だ。

E2F取材班も、めでたく全員がシイラをキャッチした。

永遠の初心者・タカハシゴーでさえ、この勢いに乗ってシイラを釣り上げ、ご満悦だ。

これにて取材は大団円……と思いきや、なんとヨッシーがまだ釣っていない。

「ヒットしたんだけど、バレちゃったよ!」

悔しそうにうなるが、「ま、またチャンスはあるよ。それがシイラ釣りのいいところ」と切り替えも早い。

「マグロやヒラマサのキャスティングゲームだと、一日1回チャンスがあればいいほう。かなりギャンブル性が高いし、ワンミスが本当に致命的になる。でもシイラは、『またすぐに出会えるさ』と思えるし、実際にチャンスの多さが魅力なんだ。にもかかわらず、引きは強くてだいご味たっぷり。大物キャスティングゲームの入門にピッタリな釣り物なんだよ」

ミヨシの突き出しに立って、遠くを見つめるヨッシー。

それは悔しさゆえではなく、次のチャンスをサーチするためだった。

そしてシイラのスパークは何度も起こり、ヨッシーも待望の1尾を上げた。

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ヒットすると強烈な引きと派手なジャンプでファイトする

ルアーシイラは安全第一で船長の指示に従って楽しむ

7時10分にいきなりスタートしたシイラ・ビッグ・フェスティバル・イン・サガミワンは、その始まりと同じぐらい唐突に終わりを告げた。

爆走シイラ軍団はサッサと姿を消し、船が一気に静かになる。

庄三郎丸はパヤオを離れ、次のチャンスを探す。

狙いは潮目だ。

色いろなものがある程度まとまって浮いており、その下にシイラがいる。

船はたまに激しく加速し、急減速する。

一眼となったワンチームが、さらに血眼になって水平線を見やる。

指さす。

叫ぶ。

船、走る。

減速したな、と思うや否や、ルアーが飛ぶ。

「庄三郎丸は、船が止まって船長が『どうぞ』と言う前に、どんどんルアーを投げ込むアグレッシブなスタイルなんだ。そうやってだれかがシイラを引きずり出してくれれば、船全体のチャンスになる。ただテンションが上がっているだけじゃなくて、効率的なんだよ。ただ、このあたりは船によって作法が違うんだ。船長の指示に従うか、常連さんたちの動きをよく見ておく必要があるね」

船のキャスティングゲームには、独特な緊張感がある。

「獲物を獲る。なんとしても獲る」という狩猟本能がむき出しになっていることと、そこにリスクがあるからだ。

「庄三郎丸はバーブレスフックが必須で、サングラスと滑りにくいシューズの着用を推奨している。

これらはすべて危険防止のためだ。

『オーバーヘッドキャストするときは後ろを必ず確認してね』ともアナウンスしてたよね。船の上でルアーを投げるのは、どうしても危険が伴うんだ。しかも魚の姿を見て釣るサイトフィッシングだから、どうしたってアドレナリンが噴き出す。盛り上がりながらも落ち着いていないと、本当にヤバイ目に遭うこともあるからね。まずは船長の指示をよく聞くこと。そしてベテランの常連さんたちの動きをよく見て、分からないことがあったら放っておかずにどんどん聞くこと。釣果よりも、まずは安全第一。慌てないことが大事だよ」

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周りの安全を確認してからキャストする

シイラを探して潮目を流す 沈んでいたらフォールが効く

重苦しい空から、強い雨が落ちてきた。

体感温度がグングン下がり、ガタガタ震えている人もいる。

土砂降りに遭っても、船は熱いままだった。

潮目を丹念に探り、チャンスとあらば全員がルアーを投げる。

シイラがいれば、ほとんどの場合はだれかしらが竿を曲げる。

「雨の影響もあったのか、トモキが朝イチに常連さんから仕入れた情報どおり、シイラはちょっと沈み気味だった。おれが使ってたジャッカル・フォールトリックだとフォールスピードがちょっと遅くて、シイラに見切られてたんだよね。プレッシャーの高い相模湾のシイラはスレっからしが多い。ルアーへの反応はいいけど、すぐに見切る面がある。今日はトモキが4尾釣ってたけど、彼が使ってたのはフォールスピードが速いジャークベイトだった。お客さんでもヒット率が高かった人はジャークベイトがほとんどだったかな。元気いっぱいでノリがよく、どんなルアーでも食ってくるイメージが強いシイラだけど、意外とセレクティブなんだよ。そこがまた、シイラゲームの面白さかな」

風雨はさらに強まってきた。

それでも、ルアーを投げ続ける。

陽気で明るくパワフルなシイラが、土砂降りの中でも釣り人を熱くする。

心の中には真っ青な空と海が広がっている。

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晴れの日は表層に浮いていることが多いがこの日は雨でシイラは沈んでいた

沈んでいるシイラの釣り方

ジャークで誘ってフォールで食わせる

シイラが沈んでいたら進行方向へシンキングペンシルやジャークベイトをキャスト。

着水したらジャークで誘い、追ってきたら目の前にフォールさせる。

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ジャークベイトをフォールさせるパターンでよく釣れた

ヨッシーのメモリアルショット

土砂降りの中、ミヨシの突き出しでシイラを探していたヨッシー。

寒さで雨風がしのげる船尾へ移動を決めたときのワンシーン。

Enjoy Every Fishing Tackle & Lure guide

ヨッシーが使用したロッドはシイラはもちろん、キメジにも対応するパワーを持つジャッカル・スクランバSC-S73ML。

取り回しがよく今回メインで使ったビッグバッカーフォールトリックをジャークで誘うのに最適だ。

カツオ用には40gのルアーに対応するSC-S70Lをチョイス。

船宿インフォメーション

相模湾 平塚港 庄三郎丸

0463・21・1012

庄三郎丸はルアーシイラの老舗で経験豊富な船長が潮目や漂流物、ナブラ、トリヤマなどを探して釣らせてくれる。

安全対策としてキャストは前後左右をしっかり確認してから行うこと(サイドキャストは禁止)、フックはバーブレスにすることなどのルールを守って釣りを楽しみたい。

船内には釣り上げたシイラを収納できる氷が入ったカメが完備されているので、大型クーラーを船に持ち込まなくてもOK。

▼備考=6時出船。土日祝日は予約制。氷は船宿にて販売

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