8～10kgオーバーを全員安打年末恒例！新潟ブリ祭り開催中

新潟上越エリアの冬の風物詩、夜ブリ。

当地では日が沈むと集魚灯を灯して魚を寄せて釣る「電気釣り」と呼ばれる釣り方で狙っている。

今シーズンは例年に比べて少し早い11月下旬に10kgオーバーのブリが食い出し盛り上がっている。

新潟県上越市直江津港の謙信丸での取材日は有間川沖の水深60～70m前後を狙い、8～11・5kgのブリを一人2～7本、12人で全員安打を達成する釣れっぷり。

今年も始まった年末恒例ブリ祭り。

例年なら1月半ばまで釣れるそうだが天候に左右されやすく出船できる日も限られてくるので、早めの予約と状況の確認だけは忘れずに！

胴つき3本バリ仕掛けの上部に金洲カゴなどを付けてオキアミコマセでブリを寄せる。

付けエサはイカの切り身や小型のイカ。

船長によると両方用意して食いのいいエサを探るのがいいとのこと。

今年も新潟県上越エリアで夜ブリがスタートした。

毎年11月末ごろから始まり、年内一杯までと釣期は短かったが、ここ数年はシーズン終了が年明けまで延びるようになり、昨年は1月になっても釣れ続いた。

「今シーズンも1月半ばくらいまで釣れると思います」とは、取材した上越市直江津港謙信丸の兼玉武雄船長。

例年11月後半から5～6kg級が釣れ始め、12月後半から8～10kg級が釣れるようになるのだが、今シーズンは全体的に太った魚が多いそうで、例年より早く11月後半から10kgオーバーのブリが食い出した。

船長いわく、「味は最高」。

この時期の日本海だから天候に左右されやすいが、出船できそうな予報のときは極うまブリを求めてあっという間に予約がいっぱいになるそうだ。

謙信丸では15時と21時出船の2便で12名限定で出船している。

釣り場は航程40分の有間川沖で水深60～70m前後。

底は岩礁帯だがアンカーを打つので、できるだけ根掛かりしにくい場所を選んでいるとか。

新潟の夜ブリは集魚灯を灯して小魚やイカを寄せ、それらを捕食しようと集まってくるブリを狙う、いわゆる食物連鎖の釣り。

集魚灯を船上だけでなく海中にも入れて煌々と照らすため、「電気釣り」とも呼ばれている。

竿は全長2.1～2.7m前後、オモリ300号を背負えるグラス素材の頑丈なもの。

置き竿が基本なので、バット部分が短い深場竿なども扱いやすい。

ほかには相模湾のキハダ用タックルなどを使う人もいる。

船長によると、「以前は3m以上の長竿が流行ったときもありましたが、それは5～6kgがよく釣れていたころの話で、8～10kgが主体の今は、長くて軟らかい竿だとヤリトリに時間がかかってオマツリするのでおすすめしません」

リールはPE8号以上の道糸を巻いた大型電動でダイワなら800～1200番、シマノなら6000～9000番クラスがおすすめ。

謙信丸の船宿仕掛けは左ページ図のとおりで、上部にオキアミコマセを入れる金洲カゴやWキャップカゴなどをセットした全長7mの胴つき3本バリ。

枝スは35号50cm、幹糸は40号で枝間は180cm、ハリはネムリバリ26号。

チモトにはアピール度の高い大きめの夜光玉が付いている。

オモリは300号で強度の高いスナップ付きパワースイベルで接続する。

以前は幹糸30号、枝ス26号、ハリ22号の仕掛けを使っていたが、最近は10kgオーバーもよく釣れるようになって、仕掛けが切られたり、ハリを伸ばされることが多々あったため、ワンランク太い仕掛けにしたとのこと。

このほかロッドキーパーは頑丈なもの、尻手ロープも大物用を装着する。

「厚手のゴム手袋は必ずはめてください」と船長。

仕掛けが長くハリ数もあり、ハリスをたぐるときに魚が暴れるととても危険だ。

オモリを落とすときにも素手だとケガをすることがあるので必ず持参して装着すること。

付けエサはイカの切り身や小型のイカ。

イカの切り身は長さ10cm、幅2cmほどにカットしたもの、小型のイカは主に胴長10cmくらいのヤリイカ。

エサとして売られている冷凍タイプ、スーパーの鮮魚コーナーにある冷蔵タイプのどちらでもOKだ。

エサの付け方は、イカの切り身が潮の抵抗を受けても回転しにくいように身の厚い部分に横から刺す。

小型のイカは胴の先端部にチョン掛けする。

3本バリすべてに切り身もしくは小型のイカを付けてもいいし、迷ったら上と真ん中に切り身、下に小型のイカという具合に両方付けて食いのいいエサを探るものありだ。

なお、謙信丸では「えびすや釣具店」も併営しているので、受付時に仕掛けやコマセカゴ、コマセ、エサ（イカの切り身のみ販売）、氷など釣りに必要な物を購入できる。

釣る前の準備としてコマセカゴにはオキアミを詰めて、船ベリにエサを付けたハリを並べておく。

マグネットシートなどを持参しておくと釣りやすいが、ハリ数が少ないのでなくてもいい。

忘れてはいけないのがドラグの調整。

オマツリを避けるためヒットしたら遊ばせずにゴリ巻きするので、ドラグは両手で強く引っ張ったくらいでは出ない程度にきつめに調整する。

これらを踏まえて、いよいよブリを釣る。

手順は次のとおり。

①投入

ハリに十分に気をつけながらオモリから落としていき、そのまま仕掛けを着底させて糸フケを取る。

②50cm～1m底を切る

集魚灯を灯しているので高いタナで食うかと思いきや、反応が出るのは底付近だ。

③アタリがくるまで待つ

15分待ってもアタリがなければ一度仕掛けを回収し、エサが外れていないかチェックし、コマセを詰めて再投入する。

④アタリをとらえる

突然竿先が海面に突っ込む。

この時点ですでに向こう合わせでハリ掛かりしているし、ネムリ系のハリを使用しているので合わせは入れなくていい。

⑤ヒットしたら

電動リールのスイッチオン。

ドラグはきつめに締めていても魚の疾走が始まるとズルズル糸が出ていきオマツリの原因となるため、太仕掛けに物を言わせ、有無を言わさず巻き上げる。

この釣りは投入からヤリトリ～取り込みまでロッドキーパーにかけたまま行う完全置き竿釣法となる。

ブリがヒットしてロッドキーパーから竿を外すのが遅れると一気に走られ、オマツリの原因となってしまう。

とにかく仕掛けを投入したら置き竿でアタリを待つだけ。

誘いなども必要ない。

目の粗いコマセカゴを使っているので船の揺れでコマセは出る。

だからコマセを振る必要すらない。

取り込みは手を滑らせないように仕掛けをたぐっていき、タモ入れしていく。

取り込んでからも魚が暴れて危険なので、くれぐれも注意してほしい。

なお、3本バリ仕掛けなので食いが立てば多点掛けも当然ある。

2本以上掛かったときはリールへの負荷が相当なものになるので、引きが強いときは手巻きにしてテンションを緩めずにできるだけ早く巻き上げる。

とはいえ、たいていは途中でバレて1本で上がってくる。

取材日も2本掛かって取り込めたのは一度だけだった。

11月25日の取材日は12名の釣り人を乗せて16時に出船、航程40分ほどで有間川沖に到着。

周辺にはブリ狙いの船が集まっているが、集魚灯で寄せるため、お互い邪魔にならないよう各船の間隔は300mほど離れている。

水深70mで反応を見付けると、アンカーを入れて釣り開始となる。

今シーズンの模様をうかがうと、「本来は10kgなんて3～4回乗って1本釣れるかどうかなんですよ。それが今年は21日から食い出して、よく釣れてますね」と船長。

暗くなってから釣れるものだと思って話し込んでいたら、なんといきなり左舷胴の間に並んだ二人に同時ヒット。

上がってきたのは8～9kg級。

幸先のいいスタートを切るがその後はアタリが遠のいてしまう。

やがて暗くなると集魚灯が点灯。海中に入れた集魚灯の光はグリーンで、思いのほか明るい。

しばらくして右舷でブリのラッシュが始まった。

群れで回遊しているようで、だれかにヒットすると次から次へと連鎖するように竿先が海面に突き刺さっていく。

1時間ほどで右舷全員が8～10kg級のブリをキャッチ。

上越エリアのポテンシャルに驚いた。

イカの切り身と小型のイカのどちらで釣れたか皆さんに聞いて回ると、どちらでもよく釣れていた。

食いが立っているときはエサによる食いの違いはあまりないようだ。

右舷が落ち着くと今度は左舷にチャンス到来。

やはり群れで回っていて一人が掛けると隣でもヒットして、やがて右舷全体でバタバタと釣れ上がる。

船長はタモ入れはもちろん、オマツリほどきで大忙しの中、「ブリが寄っているのでコマセをまかなくても釣れますから、オマツリがひどいときはコマセカゴを外してもいいですよ」と教えてくれた。

20時過ぎごろには全員がブリの顔を見ることができた。

その後左舷胴の間の宮嶋さんが2本目となる11kg級をキャッチ。

すると宮嶋さん、「このサイズが釣れればもう十分。満足したので道具を片付けます」と言って釣りを止めてしまった。

確かに丸まる太ったブリが1本釣れれば土産としては十分かもしれない。

東京から仲間と3人で釣りにきた右ミヨシ2番の高橋さんは、「3人仲よく1本ずつ釣れればいいね」と出船前に話していたが、一人で10kg級を3本上げて満足そう。

終盤になるとほとんどの方が3～4本ずつクーラーに収め、左舷ミヨシで7本目が上がったところで21時に沖揚がり。

釣果は8～11・5kgのブリを一人2～7本と皆さん笑顔が絶えない夜釣りとなった。

新潟・上越市直江津港

謙信丸

025・543・8316

▼備考＝予約乗合、12月から15時と21時出船