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G杯覇者が注目のチヌフィールド香川・詫間町で乗っ込み間近の良型を連続キャッチ!キーワードは「再現性」

松村計吾

【テレビ大阪系列・毎週土曜日午前7時放送「フィッシングDAYS」サイドストーリー第21話】番組内で話題になったワザ、アイテムについて”深堀”するもう1つの「フィッシングDAYS」。

「フィッシングDAYS」は、テレビ大阪(毎週土曜日朝7時~)をキーステーションに、テレビせとうち、TVQ九州放送、テレビ和歌山、高知放送で放送されている、がまかつ提供・テレビ大阪制作の釣り番組。

ハゼなどの極々小さい魚から、ルアーを使った大型魚釣り、絶海の孤島の磯釣りまでを、どうやったらより釣れるのかにこだわって制作。

また、釣れた時の釣り人の笑顔にもフォーカスし、釣りの楽しさも徹底的に追求している。

乗っ込み直前 瀬戸内海モンスターチヌ

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当日の釣り場となった志々の石積み

近年注目度が急上昇!ウブなチヌが数多く潜む香川・詫間沖

「チヌ釣り場としては、以前は渡船もないこともあって、かなり歴史は浅いんですよ。ただ、昔からチヌの魚影は抜群に濃くて、最近では大型チヌの好フィールドとして注目度急上昇中です」と話すのは、香川・詫間沖のチヌに精通する波多瑞紀さん。

波多さんと言えば、2017年に開催された「第36回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権」の覇者で、実は優勝するまでの4大会連続で表彰台に上がるという、ある意味辛酸をなめまくった実力派アングラーなのだ。

そんな波多さんがチヌの自己記録である58㎝を釣り上げたのも、詫間沖のエリアだ。

渡船は詫間町の宮ノ下港から出て、沖に浮かぶ志々島や粟島方面の釣り場へ渡してくれる。

3月下旬、前情報では乗っ込み本番とまではいかないものの、1週間ほど前から食いがかなり良くなってきており、「いよいよ本番入りか」というところだった。

ただ、水温自体は10~11度と低めに推移しており、エサを取りに浮くような高活性ではないらしい。

そんな中、船長のススメで上がったのは、食いが比較的良いという志々島の南面にある「志々の石積み」。

その名の通り、地方から突き出たケーソンの先に、石積みが40mほど続いている。

その石積みの先端付近がポイント。

船の魚探で確認しながら近づくと、石積みの少し沖で水深は13~14m、石積みが切れる近い距離で5mほどの水深になっている。

波多さん曰く「石積みから海岸線に沿ってブレイクラインがあるんですが、潮の方向によってマキエが溜まる場所ができるんです。そこがチヌの集まる場所になり、うまく流し込めばチヌが食ってくる…という寸法です」。

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がま磯チヌ競技スペシャル Ⅳ

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(上)当日使用した鈎はチヌエース(下)波多さん愛用の環付きウキ

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ボラ

愛竿「がま磯チヌ競技スペシャルⅣ0号5.3m」を中心としたタックルセッティング

釣行前夜の遅くまでかなりの強風が吹き荒れ、早朝まで雨が残る状況だったが、夜明けを迎える頃には風も多少はおさまり、雨も小降りになった。

当日、竿出しした志々の石積みは、志々島の南面に当たるので、北寄りの風は島の風裏に当たるのが幸いだ。

石積みに上がると、ボラの群れが筋となって浮いている。

ものすごい数だが、「このボラはエサに反応しないんですよ。何をしてるんですかねえ」と波多さんが笑う。

さて、波多さんが愛用するタックルは、竿が「がま磯チヌ競技スペシャルⅣ」の0号5.3m。

「0号というとかなり軟らかすぎてて大型チヌの場所では不利…と思われるかもしれませんが、この竿は柔軟には曲がってくれるけれど、ものすごい粘りがあって、とことん曲がり込んでから魚を浮かせてくれる反発面でのパワーがすごいんですよ。それに胴調子のイメージとは違って、かなり操作性が良い張りを持たせています。僕は大会でもこの竿1本で通してます」と波多さん。

また、かなりの細身で軽量化が図られているため、1日竿を振っても疲れが少ないのもありがたいと言う。

波多さんのタックル構成で特徴的なのが、環付きウキを使用する点。

「宗(むね)ウキ」というウキを使っている。

環付きウキのメリットとは、糸が環を通ることで接点が小さいため、軽い仕掛けを沈めやすいことや、その接点がウキの脚、つまり水中にあるため、水面に出る滑るような潮の流れに影響されにくい点、オモリを追加したり外したりした際にウキの交換が楽な点、そして、何よりも高感度である点などだそうだ。

スタート時の仕掛けは2B負荷のウキにハリス1.7号を2.5ヒロほど取り、ハリスと道糸の結節部より70cm空けてジンタン4号を、さらに70cm空けてジンタン4号を打った2段シズの仕掛けだ。

ここから潮の速さやタナなど、状況に合わせて変更していく。

鈎はがまかつ「G・HARD・V2 チヌエース」の2号と3号を中心に使用する。

この鈎はすっぽ抜けを防止するための、短軸設計&ワイド形状にヒネリを搭載したタイプで、「フトコロの強度を大幅にアップさせているので、2、3号の小鈎でも十分、大チヌと渡り合えるんですよ」と波多さん。

がまかつ がま磯 チヌ競技スペシャル4 0号 5.3m

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(上)25㎝ほどのチャリコも多い(下)感度のよい環付きウキが入るのを待つ

G杯覇者の爆釣への神髄は「再現性」

釣り開始時、潮は満ち込みで昼過ぎまではこの潮が続く。

石積みから宮ノ浦港へ向かって、海岸線と並行に流れたり、やや沖へと向くかと思えば、少し海岸方向へと入り込むような、目まぐるしく変わる潮だ。

この状況で、マキエの溜まる場所(=チヌの集まるポイント)を探すため、マキエはあちこちに打たずに、釣り座から20mほど沖の潮上へ一点集中で撒く。

その上で、仕掛けの投入地点を少しずつ変えることで、ポイントを探っていく。

波多さんがチヌ釣りで信条としているのが「再現性」である。

アタリがあって釣れた状況を再現させることで良いペースで釣れるようになる。

安定したペースで釣れる状況を生み出すことで、G杯のような競技会では常に好成績を残す。

「再現性を持たせるために、まずはウキはウキ止めでしっかりとタナを固定します。その上で投入地点、流れる方向などをしっかりと認識して釣りを組み立てるんです」と言う。

さて、実際にウキ下を竿1.5本程度に調整して仕掛けを投入してみると、かなり潮が速い。

ただ、波多さんはかなり潮先まで流し込む。

「マキエが溜まる場所が重要なので、釣り座からの距離はあまり関係ありません。要はどこでチヌが食うか…なので、潮がいけばそれだけ潮先へと流し込むことが多いですね」と話す。

ただ、かなり流してもエサが取られない状況が続くため、ウキ下をもう少し深く取り、流し込んだ。

すると、40mほども流し込んだだろうか、いきなりウキはスーッと海中へ消えた。

大きくアワせると、心地よく竿が曲がる。

頭を振るようなクンクンとした引きが竿に伝わるが「これはチヌじゃないですね。たぶん、チャリコでしょう」と言いながら水面に浮かせたのは、25cmほどのチャリコ。

そして、同じパターンでチャリコが連発した。

波多さんが「おそらく、まだチヌの活性が上がっていないのでエサ取りの天下になっているんでしょうね」と言いながら再び流すと、今度はエサが残らない。

マキエが効き始めてエサ取りが出てきたのだろうか。

うーん、これは我慢の時間か…。

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(上)1尾目のチヌは40cm弱(下)1尾目のチヌに笑顔が

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(上)当日最大クラスは45cm(下)高集魚レッド

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(上)食い渋りイエロー(下)合わせ技のマーブル

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(上)ネリエ2種類とオキアミ3種類をエサケースに(下)オキアミは頭を取って小さくすることでエサ取りに見つかりにくく

潮が緩みだした瞬間に近距離でチヌ連発

釣り始めて2時間ほどが経った頃、潮が少し緩んできた。

「ちょっと潮が緩んできたので、少し近い場所にチヌが居るんじゃないか思います。ちょっと竿下くらいを狙ってみましょう」と取り出したのはネリエ。

ネリエはオキアミに比べると比重が高く沈みが速いので、それだけ早く仕掛けをなじませることができる。

潮が速い中でもなじみが早いので、投入地点から比較的近くを探ることもできる。

今回、波多さんはブラウン系の「高集魚レッド」、黄色系の「食い渋りイエロー」の2種類を用意していたが、集魚レッドのほうがやや沈みが速いとの判断だった。

直径1㎝ほどの大きさで鈎に付けるが、ブラウン系、黄色系のほか、2種類を混ぜた「マーブル系」としても使うことで、変化を持たせることができる。

ちなみに波多さんはオキアミも数種類用意しており、通常の生オキアミに加えて、加工オキアミの「くわせオキアミスペシャル」、「食い込みイエロー」、自分で生オキアミを液に漬け込んだものなどサシエへのこだわりもすごい。

「確実ではないんですが、チヌは意外と黄色系のエサによく反応するんですよ。なので、オキアミも黄色系は必ず持っていきます。それに漬け込みタイプなどは、生オキアミに比べて沈み方も変わるので、オキアミのエサでも変化をつけることができるんですよ」と言う。

そんな波多さんがサシエの動きでイメージしていることが3つある。

1つは「横の動き」で、これは潮に乗せて流す、いわゆるスライドの動きだ。

もう1つが「縦の動き」で、これは比重の違うサシエを使うことでフォールスピードを変える変化。

最後は「ステイ」。

これは言うに及ばす、チヌの食いが渋い時などにサシエを安定させるイメージだ。

「今、自分がどのような考えで、どんなエサがウケているのかを認識しておくことも再現性を持たせるには重要な要因だと考えています」とのこと。

ネリエをエサに竿下よりも少し先へ仕掛けを投入し、早めのなじみでウキが5mも流れないうちに、ウキがスッと入った。

大きくアワせた波多さんの竿が満月に曲がる。

石積みにそって左右に走る魚を「がま磯チヌ競技スペシャル」で溜めて溜めて浮かせる。

浮いてきたのは40cm級のチヌ。

まだ、乗っ込み最盛期とまではいかないが、それでも少し腹回りがふっくらとしている乗っ込み初期のチヌだ。

同じパターンで再び仕掛けを投入すると、全く同じ地点で再びヒット。

これは40cmを軽く超えている。

測ると45cmの立派なチヌ。

そして3連発!波多さんの言う「再現性」が発揮された瞬間だ。

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再現性を発揮し、連発モードへ

潮が緩むとチヌの食いに拍車がかかり2ケタ釣果に

潮がやや緩んだタイミングで、近距離のポイントを攻めてチヌ連発に持ち込んだ波多さん。

ところが、緩んでいた潮が再び加速し始めた。

潮が速くなると近距離ポイントを攻めにくくなるのだが「今釣れている場所だけじゃなくて、潮の動きが不安定な分、マキエの溜まっている場所が分散しているかと思います。潮が速くなればその条件下で出来るポイントを探しましょう」と言うと、仕掛けなじみの早さを変えるためにサシエをオキアミにローテンションし、攻めるポイントを変えていく。

すると、今度は30m以上も流し込んだところでウキが入った。

再びチヌの釣れる場所を発見したとばかりにやり取りを楽しむ波多さん。

実はその通りで、これまた同じパターンで潮が再び表情を変えるまで、連発に持ち込んだ。

「楽しいですねえ。やっぱりチヌ釣りは最高です」と笑顔で話してくれたが、チヌのサイズが40~45㎝と50㎝には迫らない状況に「このパターンで釣っていくと同じようなサイズが連発します。なので、少し大型狙いにシフトしてみましょう」と波多さん。

「チヌはマキエの溜まる場所に集まると思いますが、大型になればやはり警戒心が強いのでしょう。かなり潮下まで流し込んだところで食うことが多いです」と、実は波多さんの自己記録となる58㎝も、この釣り場で50m近く流し込んだ先でヒットしたものだ。

そこで、エサ取りも多い中だが、できるだけ残るエサ、タナを試行錯誤しつつ、潮先を徹底的に狙う作戦に…。

オキアミで仕掛けなじみを遅らせて、その分、潮先まで仕掛けを流し込む。

その方法で数投目、40mほど先で待望のアタリが出た。

アワせた竿が大きく曲がり、ものすごい重量感が伝わっているのが分かる。

ただ「潮下から寄せるので、ものすごく重たいです」と波多さんが笑う。

大型なのか、潮の影響なのか…。

浮かせたのはサイズアップならずの43㎝。

そして同じ場所で同サイズが…。

ここでも再現性は発揮されたが、チヌのサイズはアップせず。

気がつけば10尾以上のチヌを仕留め、数では楽に2ケタクリアだ。

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(上)チヌを取り込んだ瞬間に次のマキエを入れる(下)石積みの際での攻防。ロッドで溜めに溜める

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潮がやや緩んだ瞬間に近距離でヒット

潮が逆に流れ出してポイント変えるも…

サイズアップがないまま、潮は満潮を過ぎて、今度は下げに入った。

すると、1度止まった潮がすぐさま石積みに当ててくるようになり、そのまま東へと流れるようになった。

釣り座をズラして、今度は石積み先端右から東へと流す波多さんだが、その周辺ではフグがかなりわいているらしい。

エサが取られるのはもちろん、鈎まで取られることもあり、早々に見切りをつけた。

そこで、次に狙ったのは石積み先端左から地方向き、つまりはワンド状の奥、海岸線に向けての遠投で狙う。

潮は石積み先端から海岸線に向けてごくゆっくりと流れているようで「可能性はゼロではないと思います」と言いながらの3投目に、ウキが入った。

しかし、これは軽い。

上がってきたのは25cmほどのチャリコ。

その後も少しずつ投入点、釣り座を変えながらチヌの食う場所を探したが、チヌからの反応はないまま納竿時間となった。

「まだまだ水温が低いこの時期に、これだけチヌが釣れたので数は大満足です。ただサイズが欲しかったですねえ」と波多さん。

続けて「乗っ込み盛期に入ると、チヌもマキエに浮くほど活性が高くなって、サイズも一段とアップしてきます。50cmクラスもかなりの確率で狙えるようになるので、ぜひ皆さんも竿を出して、詫間沖チヌの魅力を感じてもらいたいですね」と締めくくった。

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森渡船

●交通:高松自動車道の三豊鳥坂ICで下り、すぐを右折。
しばらく道なりに進み突き当たり(県道48号)を左折。
道なりに進んで高瀬川、瀬入川を渡ったすぐの詫間町的場信号を右斜め方向へ。
浪打八万神社の前を右折して乗船場へ。

●問い合わせ:森渡船(TEL:090・7626・4903)

(文・写真/松村計吾)

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ライター紹介

松村計吾

松村計吾

大学で水産無脊椎動物の研究を経て、釣り出版社に入社後、30年以上釣り雑誌や釣り情報紙の編集を手掛ける。取材などで釣りの現場に出ることはもちろん、休日などのプライベートでも常に釣りシーンにハマっている。得意な釣りは船のテンヤタチウオ、カワハギ、エギング、イカメタルなどだが、日本全国を飛び回りあらゆる釣りを経験。ちなみの甲子園の年間シートも所持。甲子園でのビール消費量も球界一とか・・・。

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