釣行の写真

「九州の釣り道場」長崎県宮之浦で怒涛のグレラッシュ。名手・猪熊博之の正確無比なマキエワーク&同調の強い味方「がま磯スーパープレシード1.25号5.0m」の実力を見た

松村計吾

【テレビ大阪系列・毎週土曜日午前7時放送「フィッシングDAYS」サイドストーリー第12話】 番組内で話題になったアイテムについて”深堀”するもう1つの「フィッシングDAYS」。

「フィッシングDAYS」はテレビ大阪を中心に、テレビせとうち、TVQ九州放送、テレビ和歌山、高知放送で放送されている、がまかつ提供・テレビ大阪制作の釣り番組。

ハゼなどの極々小さい魚から、ルアーを使った大型魚釣りまでを、どうやったらより釣れるのかにこだわって制作。

また、釣れた時の釣り人の笑顔にもフォーカスし、釣りの楽しさも徹底的に追求している。

フィッシングDAYS「猪熊博之が攻略 長崎宮ノ浦 激流のグレ」

本州最西端の地にして九州のグレ釣り道場・長崎県宮之浦。平島との水道に激流渦巻く尾上島の北へ渡礁

寒グレシーズン真っ盛りの1月初旬、磯グレの名手・猪熊博之さんが長崎県平戸島の宮之浦に降り立った。

宮之浦は、周辺はもちろん、上阿値賀島、下阿値賀島、そして遠くは五島列島への磯渡し基地ともなっている磯釣りのメッカだ。

各磯ともにグレの魚影はすこぶる濃く、釣りやすい磯から、激流渦巻く本流筋で攻略が難しい磯まで、釣り場のバリエーションは豊富だ。

大型グレ狙いというよりは、良型が数釣れる場所が多く「九州の磯釣り道場」とも言われている。

ここで腕を磨いて、全国レベルのグレ釣り師となった名手も数多い。

当日は南風の影響で渡る磯が限られ、船長との相談の結果、猪熊さんがチョイスしたのは南部に位置する「尾上島の北」。

釣り座から左斜め前方には平島があり、尾上島と平島の間の水道筋から西側へ流れる本流がすさまじい。

釣り座は水道の出口に当たり、目の前には本流筋から生まれる湧昇流が目前に広がって、一見どこに仕掛けを投入してもなじませることなんてできないのではないか・・・と思えるほど。

そんな海況を目の前にして、猪熊さんも釣りを組み立てるべく、じっくりと海を観察することからスタートした。

正確な仕掛け投入は思いのまま。掛かれば曲がり込んで魚を怒らせない「がま磯スーパープレシード」の魅力

目の前に現れては消え、刻々と移動を繰り返す湧昇流に対して「湧昇流と湧昇流の間に一瞬できるヨレを直撃して狙ってみます」と猪熊さん。

足元に打ったマキエには、海が真っ茶色になるほどのエサ取りが集まる。

「これが宮之浦名物のエサ取り集団です」と笑いながら、まずはエサ取りを足元にくぎ付けにするためのマキエを多めに入れる。

本命用のマキエをシャクに入れ、サシエを鈎に付け、投入のタイミングを計る。

渦巻く湧昇流の間で、20mほど前に一瞬ヨレが生まれたのを見逃さず、マキエを正確に投入し、直後に仕掛けを同じポイントへ。

この釣り方の強い味方となるのが、猪熊さんが愛用しているがまかつの「がま磯スーパープレシード」だ。

当日はグレのサイズが30~35cmメインとのことで「1.25号5.0m」をチョイス。

この竿の特徴は、がまかつ伝統の曲がり込んで粘り、魚を暴れさせずに取り込むことができる「本調子」だろう。

ただ、曲がり込むだけの調子ではなく、正確な仕掛けの投入、道糸のメンディングなどの操作性も抜群である。

ちなみに当日スタート時の仕掛けは道糸、ハリスともに1.5号で、ウキは0と00の中間浮力で「013」と表記されているタイプ。

ハリスは4ヒロ取って、ハリスの中にウキを入れ、オモリは使わずに鈎、ハリス、サシエの沈下によりなじませる軽い仕掛けだ。

ウキの下に付けたからまん棒から鈎までは約2ヒロで、これがスタート時のウキ下となる。

鈎はがまかつの「掛りすぎ口太」の4号でスタート。

この鈎は貫通性能を追求して、スレたグレや居食い時にも口元をきっちりととらえることから猪熊さん愛用のグレ鈎である。

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水道筋からの出口は目まぐるしく変わる湧昇流だらけ。マキエと仕掛けの投入点は潮流を見て毎回変更

湧昇流の隙間にできるヨレを直撃し、そのまま流し込んでいくのだが、湧昇流で道糸が取られるのを防ぐため、流れの上へと道糸を入れる。

ただ、複雑にあちこちに現れる湧昇流に対しては、引かれる分だけ道糸を出していた。

「メンディングのためにウキを引っ張ってしまうのはよくないので、こんな場合は糸を出して仕掛けのなじみを優先します。糸ふけが出ているのは承知ですね」と話す。

それでもウキが沈んで、道糸を見ていると「スーパープレシード」の鋭敏な竿先にコツンと反応が伝わり、その後、スーッと引っ張られるのが分かる。

竿を立てるとキューンと心地よい曲がり。

竿を寝かせてまずは寄せ、ある程度まで寄せたら竿を立てて浮かせにかかる。

ただ、そこまでの重量感はなく竿先をたたきながら水面を割ったのは30cm弱のイサギだ。

まだ水温が高いのか、イサギがかなり多い。

毎回、表情を変える湧昇流の隙間をタイミングよく狙うため、時には15mほど沖だったり、30m以上の遠投が必要なこともある。

マキエを投入し、それに合わせるように正確無比な仕掛け投入を繰り返す猪熊さん。

すると、仕掛け投入して15秒も経たないくらいで、竿先が引き込まれ今度はやや重量感のある引きをとらえた。

足元でズーンと重量感が増し、横へ滑るように浮いてきたのは口太グレだ。

32、33cmのアベレージサイズだ。

毎回投入地点が変わるので、パターンがないように見えて、実はこれがパターン。

右へ左へ、近くへ、遠くへと目まぐるしく投入点が変わるが、比較的遠投でグレがヒットする。

この段階で、32、33㎝のグレが怒涛の連発となった。

「がま磯スーパープレシード」の本調子だからこそ楽にできる。本流筋でのやり取りでグレ連発

猪熊さんのやり取りを見ていると、掛けた瞬間は竿を寝かせて寄せ、足元近くまで寄せたら竿を立ててやり取りに入るといった感じでグレを取り込んでいる。

「本流の流れに乗ってしまうと、大型グレがヒットした際にかなり負担となるので、まずは潮筋から離すことを優先してのやり取りです」と言う。

そして、「魚を暴れさせず潮筋から外して寄せられるのは、このスーパープレシードの粘りある本調子であることが大きいですね。これで大型グレが突然ヒットしても慌てることなく対処できるんですよ」とのことだ。

こんな荒々しい海況の中では、大型グレを掛ければパワーのある竿で一気に勝負する・・・と思ってしまいがちだが、本調子ならではの取り込む術があるのだ。

依然ヨレを見つけてマキエを投入し、仕掛けを追随させる。

で、グレがヒットする。

見ているだけで、いとも簡単にグレを掛けているようだが、この状況判断から導き出した釣り方があればこそなのだ。

ただ、サイズ的には32、33㎝と猪熊さん自身は満足していない。

「もう少し大型を狙ってみましょう」と仕掛けを変更した。

マキエの周囲の深ダナを狙うためジンタンオモリを追加。さらなる大型グレを追う

「マキエの下にはアベレージサイズのグレが湧き出してくるイメージです。もっと大型が潜んでいると思いますので、マキエの周辺の深いタナを狙ってみましょう」と、まずはからまん棒の下にジンタンオモリ3号を打った。

狙いはマキエのやや下流側でマキエを拾っているであろう良型グレ。

これまでと同様に湧昇流の間にできるヨレを狙うのは同じだが、マキエを打った少し潮下に仕掛けを正確に投入し、追い打ちのマキエを入れる。

オモリによって少し早めに沈む仕掛けに対して、マキエが追いかけるように、沈み込む流れによって流される。

イメージとしては、マキエの下の浅いタナにはアベレージサイズのグレがエサを拾うため、深いタナまでサシエが届かない。

潮に流され、やや深いタナでエサを拾っているであろう良型グレまでサシエを届けるために、少し投入点をズラすのだ。

マキエと仕掛けを投入し、仕掛けを引っ張りすぎないようにラインを出す猪熊さん。

すると「スーパープレシード」の穂先がスーッと押さえ込まれた。

水平に近い角度でアワせた竿が胴から曲がり込み、これまでよりも重々しい引きをとらえた。

ゆっくりと滑らせるように水平姿勢のまま寄せ、途中で竿を立てると今度は足元への突っ込みがなかなか強い。

ここは「スーパープレシード」の本来の曲がり込みで、タメているとゆったりと浮いてきた。

35cm超の口太グレだ。

まんまと作戦がハマった瞬間だった。

この釣り方がまたパターンとなり、今度は35cmクラスの口太グレがバンバン釣れる。

さらなる大型を求めて、オモリを増やしたり、ハリスの中間に打ってなじみを早くしたりと試行錯誤を重ねたが、36cmが最長となった。

潮が緩んで好機到来!?グレの入れ食い継続も深いタナではイサギ連発

昼を過ぎて、やや潮が緩み、その後本流筋は反対側に流れる潮となった。

釣り座の前は、その本流に引かれるように払い出していた。

それまでの湧昇流は消えて釣りやすくなったタイミングで、再び軽い仕掛けに変更しマキエの潮下を狙う猪熊さん。

潮が緩むとエサ取りが沖へ出やすくなるので、足元へのマキエは多めにして、エサ取りを磯際から離さないようにする。

沖の潮目を狙い、仕掛けがなじんだらウキがゆっくりと沈んでいくが、そのまま流し込むとイサギがヒット。

「この潮では、深いタナへ入れてしまうとイサギが釣れてしまいますね。もう少し浅いタナでないとグレの確率が減ってしまうのが難点ですね」と話す猪熊さん。

潮が緩んで釣りやすくなった・・・と思ったが、そう甘くはなかったようで、マキエと仕掛けをややズラしながら、サイズアップを狙ってみたが、30~35㎝のグレが入れ食い状態のまま終了となった。

さすがに九州のグレ釣り道場と呼ばれるだけあり、グレの魚影の濃さには驚かされる。

それでも、ここまでグレが入れ食いとなったのは猪熊さんの状況判断からの釣りの組み立て、そして、猪熊さんの釣り方の強い味方となった愛竿「スーパープレシード」によるところもあったと実感した。

●交通:長崎自動車道の武雄JCTから西九州自動車道に入り、佐々ICから国道204号で平戸方面へ。
平戸大橋入口から平戸大橋を渡り国道383号、県道19号を経て宮之浦へ。

●問い合わせ:丸銀釣りセンター(TEL:0950・29・1006)

(文・写真/松村計吾)

フィッシングDAYS「猪熊博之が攻略 長崎宮ノ浦 激流のグレ」

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ライター紹介

松村計吾

松村計吾

大学で水産無脊椎動物の研究を経て、釣り出版社に入社後、30年以上釣り雑誌や釣り情報紙の編集を手掛ける。取材などで釣りの現場に出ることはもちろん、休日などのプライベートでも常に釣りシーンにハマっている。得意な釣りは船のテンヤタチウオ、カワハギ、エギング、イカメタルなどだが、日本全国を飛び回りあらゆる釣りを経験。ちなみの甲子園の年間シートも所持。甲子園でのビール消費量も球界一とか・・・。

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