釣行の様子

大ヤマメ×長谷川哲哉 がまかつフィールドテスター、聖地・利根川坂東堰に挑む

FISHING JAPAN 編集部

利根川を遡る大ヤマメは、本流師にとって憧れであり、手強いターゲット。

その難敵に本流師・長谷川が挑んだ。

狙うは50cmオーバー。

果たして、長谷川は大ヤマメを手にすることができるのか。

川

本流ヤマメ師にとっての聖地・利根川坂東堰に挑む長谷川。狙うは50cmを超える大ヤマメ。遥か太平洋より200㎞以上を旅してきた好敵手である

50cmを超える大ヤマメを9mの本流竿で狙う

坂東太郎の異名を持ち、日本三大暴れ川のひとつに数えられる利根川。

流域面積日本1位、流路延長日本2位、まごうことなき日本一の大河である。

この利根川に遡ってくる魚がいる。

サクラマス、利根マス、戻りヤマメと釣り方や世代によって、その呼び名は変わるものの、海まで下り再び戻ってきたこの魚を、敬意を表し本流釣り師の長谷川は大ヤマメと呼ぶ。

ヤマメ

近年の研究で海に降りた個体であることが確認されている。分類上はサクラマスで間違いないが、のべ竿で狙う本流師にとってはやはり大ヤマメである

狙うは50cmを超える大ヤマメ。

5月末、はるか太平洋から200kmもの距離を遡上し、聖地・坂東堰へと至る。

長谷川の挑戦が始まった。

坂東堰の下流、流れを二分する中州に対し、本流と分流があり、その分流側に狙いを絞る。

「遡上してくるのは流れが太い本流側。ただ、堰に遡上を阻まれたヤマメは流れの緩い分流側で身体を休める」

釣行の様子

朝まずめ。長い戦いの始まりを覚悟して、本流スペシャルⅡXXH90を伸ばす

早朝5時を過ぎた頃から竿を振り始める。

百篇ひと流しと称されるほどの気難しい魚である。

居れば食うというようなものではない。

1日に1度もないアタリを求め、流心脇の遡上魚が定位するであろう流れに寸分たがわず仕掛けを振り込む。

糸は1.75号、ハリはランカートラウト10号。

そして、竿は本流スペシャルⅡ XXH90。

長谷川が長い年月をかけて鍛えあげた入魂の一作である。

ロッド

がま渓流 本流スペシャルⅡ XXH90

ロッド

がま渓流 本流スペシャルⅡ XXH90

広大な本流域で50cmオーバーの鱒族と真っ向勝負するためのパワーロッド。

軽量で張りがあり、粘りをもあわせもつ次世代カーボンTORAYCA(R)M40Xをマテリアルに用い、掛けるまではシャキッとした張りが、振り込みや自然な仕掛けの流下を意のままにし、ひとたび魚が掛かれば独特の粘りが衝撃を吸収し、魚をいなす。

大ヤマメや大イワナはもちろん、70cm級のニジマスやブラウントラウトもターゲット。 

エサはクロカワムシ。

時折、ミミズに替える。

4時間が過ぎ、5時間が経とうとしてもアタリはない。

否。

本流の遡上型ヤマメ釣りは、こんなものである。

こんなものであることは承知したうえで、それでも自信が揺らぐ。

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釣行の様子

小さなオモリを使って底波をとらえ、流れなりに流すのが長谷川流。 流れになじんだ仕掛けは、緩やかな弧を描き、流れを外すことなく流下していく。 渓流でも本流でも、その攻めは変わらない

仕掛けをひと回り細くする。

ここしかないと見定めたポイントではあるが、休ませる意味も兼ねて、下流に移動し、あるいは背を向けていた本流にも竿を出す。

釣行の様子

広大な流れではあるが、大ヤマメの着く流れの筋はいくつかしかない。そのひと筋に狙いを絞り、幾度も幾度も、寸分たがわずエサを撃ち込み続ける

時合いとなる夕まずめの一瞬、12時間の沈黙を破り強烈な魚信が長谷川を襲った

本命のアタリはない。

ニジマス1尾で納得できるはずもなく、夕まずめを迎えた。

だが、そもそも夕まずめが時合いであり、これまで過ごした10時間は肩慣らしのようなものに過ぎない。

突如、日が傾いた瞬間を待っていたかのように竿が絞られた。

魚を掛けるや、上流に竿を倒し、動きを制す長谷川。

無理に暴れさせることなく、底波に落ち着かせた魚の体力を徐々に搾り取る。

長谷川の立ち位置はほとんど変化がない。

いけるとみるや、素早く浮かせ、タモに滑り込ませたのは38㎝の大ヤマメである。

十分に大きい魚ではあるが、10時間を超える集大成としては納得していない長谷川。

まぁ、釣り人の努力が必ずしも報われるほど甘くないことは重々、承知のうえではある。

だが、この時は違った。

この日、幾度目の振り込みであったろう。

2本の流れが交わる筋に振り込まれた仕掛けがなじみ、底波をとらえると、流れをはらんだ目印が上波よりもゆったりと流れる。

その目印が、上下に小さく揺れた。

瞬間。

長谷川がアワセると本流スペシャルⅡが大きく弧を描く。

釣行の様子

朝5時過ぎから竿を出し、ドラマなく時間の過ぎ去った12時間。 だが、それは夕まずめのための序章に過ぎない。 日が傾き、景色がオレンジ色に染まる頃38㎝が口を使った。 朝から何度も狙った筋である。 ここが勝負どころと判断した長谷川は、深く立ち込み本命の筋に仕掛けを流す。 アワセとともに襲う強烈な引き。 竿を上流に返し、大ヤマメとの勝負が始まった

「デカイ」

全力で下流に下る獲物。

深く立ち込み、のされてはなるものかとタメて応戦しようとするも、一寸、ヤツが早い。

たまらず下流へと走る長谷川。

2歩、3歩、4歩。

これ以上は下らせまいと、瀬尻の大岩前で止め、上流へ引きずり出す。

釣行の様子

利根川の野生が長谷川を襲う。これが最初で最後のチャンスであることは間違いない。竿はまだ余裕がある。止めるか、下るか。迷う前に足が動く

ここからは我慢比べ。

身切れさせず、跳ねさせず、岩に潜り込ませずに、体力を削る。

寄せる。

掬う。

が、届かない。

「まだ、早いか」

あせるな、そう言い聞かせ、2度目、3度目の寄せを見送り、4度目で勝負に出た。

一気に距離をつめ、タモ網へと滑り込ませる。

47cm。

釣行の様子

47cmの大ヤマメ。思わず笑みがこぼれる

「ありがとう」

長谷川から自然と漏れたその言葉は、誰に向けられたものか。

豊かな生命を育む利根川か、遥か彼方よりここまで旅をし自分の想いに答えてくれた大ヤマメか、それとも、見守り続けてくれた仲間へ向けたものか。

あるいは、ここまで育ててくれた師への……。

※当日の様子はYouTube『G WORLD#9 群馬県利根川・本流の大山女魚に挑む!』にて公開中。

【G WORLD】#9 群馬県利根川・本流の大山女魚に挑む!

出典:You Tube

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